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作品名:仙珠伝奇 作者:ジン 竜珠

第80回 第六章・六
 力が欲しい、力が欲しい、力が欲しい、力が欲しい、力が欲しい、力が欲しい、力が欲しい、力が欲しい、力が欲しい、力が欲しい、チ・カ・ラ・ガ・ホ・シ・イ!
 今すぐ、あの鬼をくびり殺せるだけの力が欲しい!
 食いしばった歯茎から出血したのか、口の中が鉄の味で一杯になる。呼吸がまるで猛獣のように荒くなる。自分でも押さえられないほど、暴虐な感情が、感覚が途絶えたはずの全身を駆けめぐる。
 喉の奥から、迸(ほとばし)るように唸り声が漏れる。そして、体の奥底から力が噴出するのを竜聖は感じた。それが爆発しそうになった刹那!
「力を得て、キミは何がしたいんだい?」
 何者かの声が耳に届いたような気がした。
 それは一瞬のことだったが、竜聖が我に返るには充分だった。
「煌竜」
 思わず竜聖は呟いた。単なる夢と思っていた情景が脳裏に蘇る。
 陽光眩しく、桜が咲き乱れる園。そこにいた男装の麗人。彼女は、確かに言った。  「力を求めるのではなく、その力を使って何をしたいのか、忘れないで欲しい。今のキミになら、それが出来るはずだ」
「俺は、力を使って、何をしたいのか」
 ふと記憶の言葉を復唱する。
 記憶の海の底に、何かの「想い」がある。その「想い」を拾い上げるのに、そう時間はかからなかった。
 竜聖は、その「想い」を口に出した。
「『俺』は『俺』のままで、そして『俺』の意思で、『悠姫を護る力』を手に入れてやる!」
 その時だった。まるで永い眠りから目覚めたような、そして悪い夢から解き放たれたような爽快感が、竜聖の体を満たした。体を支配していた暴虐な力は、清流の如く静かな中に輝きを映すものに変化を遂げた。
 自分で自分を規定していた状態から解放されたような、そんな清々しささえ感じる。
 何より、竜聖の心の中には、一点の迷いも曇りもなかった。
 ふと、光に触れたような感じがした。その光の中に煌竜の笑みを見たと思ったのは、錯覚か。
 次の瞬間、竜聖の体は白い炎に包まれていた。その炎とともに、竜聖は、えもいわれぬ充実感を感じていた。
 その炎が消えた時、竜聖は白い服を着て立っている自分に気づいた。


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