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作品名:仙珠伝奇 作者:ジン 竜珠

第73回 第五章・十一
 それを確認してから、悠姫は作戦を説明した。
「まずは、奴から紫火七星を取り返すのが先ね。奴を倒せる唯一の武器だから。それから、竜聖、おそらく奴は以前のように君を気にかけたりはしないと思う。だから君にも容赦なく攻撃の手が伸びると思う。だけど、もしかしたら奴の攻撃は君には通用しないかも知れない。私たちの仙術が一切効かなかったように」
 百パーセントとは言えないが、千岳大帝の攻撃が竜聖に通用しない可能性は考えられた。ただ、あくまでも仙術による攻撃という前提条件だが、と悠姫は付け加える。
「つまり奴にとって君は、全くの不確定要素ということになる。だから、君には奴を攪乱(かくらん)する役をやってもらいたいの。でも、これはあくまでも予測に過ぎないことだから、もし危険なようだったら、下がって。また別の手を使うから」
 その「別の手」というのは、悠姫自身、あまりいい手とは思っていないようで、説明も渋々といった感じだった。
「君の中にある私の『心臓』とリンクさせて、奴を外に逃がさないための結界を張るわ。それがどれだけ保(も)つかわからないけど、少しの間なら、奴の動きを封じることが出来ると思う」
 そしてその間に「エネルギー」を蓄え、使える範囲内で最強の技をぶつけるのである。そしてその時に出来た隙を利用して紫火七星を取り返す、というものだ。
 はっきりいって、作戦と呼ぶのもどうだろうか、と思える程お粗末なものだ。そのことを竜聖が指摘すると、溜め息混じりに悠姫自身も頷いた。
「それじゃあさ、やっぱり最初の作戦で行こうぜ。俺が千岳大帝を攪乱するっていうやつ。具体的には、何をしたらいいんだ?」
 覚悟を決めた竜聖の言葉に、悠姫も吹っ切れたのか、兵摩と交互に見ながら言った。
「兵摩は、結界陣を敷く振りをして、『気』のエネルギーを蓄えておいて欲しいの。その場に残すと奴に気取(けど)られるから、適当な物実(ものざね)に移しておいて。竜聖は、とにかく奴を挑発して欲しいの。出来れば私に対する注意をそらせるぐらい」
 つまり、竜聖と悠姫の二人で、千岳大帝の注意力を二分するのである。
「隙を見て、兵摩は結界陣の呪を発動させて欲しいの。もちろん、『本物』である必要はない。要は千岳大帝の注意をそらすことだから。その隙に、私が紫火七星を取り戻すわ」
「それって」
 と竜聖が口を挟んだ。
「この前やったことと、同じなんじゃ?」
 確かに先日、悠姫がとった行動とほとんど同じだ。だが、悠姫は頷きつつ言った。
「おそらく奴は、私が二度も同じ手を使うとは思わない。今度は兵摩の方が『本命』だと思うでしょうね。だから、兵摩の動きも、この前以上に警戒してかかるはず。だから、私と竜聖で奴の注意をそらさなければいけない。全力でね」
 それに今回は兵摩には「エネルギーの充填」という役目もある。充填されたエネルギーと取り返した紫火七星で、今度こそ滅尽七星真図を完成させるのだ。
 また真図が破壊されるのでは、という竜聖の危惧に対し、悠姫は右の拳を握りしめて応えた。
「何が何でも成功させるの! 失敗なんて考えない!」
 決意というより、もはやあとがない故の必然の言葉であった。


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