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作品名:言凝、幸わう星 作者:ジン 竜珠

第29回 第三章・六
「もしもし。……なんだ、お前か。よくわかったな、この番号。……そうだったな。で、何の用だ? …………何? ……フム、……。……そうか」
 何やら、深刻そうな話だ。相手の声が聞こえるわけじゃないけど、このまま聞いちゃいけない気がしてくる。まだ何やら会話が続いている中、俺は席を外そうと立ち上がった。だが、それと同時に話は終わったらしい。
「わかった、すぐに行く。……ああ、あとで。……悪いな、アーヴィング、ちょいと出かけてくる。遅くなると思うから鍵はかけといてくれ」
「それはいいですけど。なんか、俺に話があったんじゃ?」
「ン? ああ、今すぐどうこうって話じゃないし、明日にでもするわ。きちんと戸締まりしとけよ。それから、間違っても夜遊びになんか出るんじゃねえぞ」
 それだけ言って、真雄さんは出かけていった。
「さて、と」
 俺は、封筒に入っていたもう一つのもの、すなわちレポート用紙を見た。全部で二枚。一枚目にはどこかの住所らしいもの、二枚目には地図らしいものがある。どちらもワープロ出力だったり住宅地図からのコピーだったりと、無個性に徹している。場所的には海浜地区の、工場街の辺りみたいだ。俺は、パソコンのネットで葦原中津市の地図を検索した。
「ここだな。沿岸か。今は、空き地になってるな。ここが一体なんだってんだ?」
 DVDといい、地図といい、何が言いたいのかまったくわからない。本当に、あの男は何を考えて、こんなものを俺に寄越したんだろう?
「そうだ。景なら何か知ってるかもな」
 景はかなりの博識だ。博識なだけじゃなく、勘もいいし思考も柔軟だ。将来は刑事になるとか探偵になるとか言っていたが、実際に何度も事件に口出ししては解決に一役も二役も買っているらしい。これは周囲には秘密のことで、俺や修平が知っているのもほんの数例に過ぎないと思う。
 つまり、こういう得体の知れないことも景なら何か知ってるんじゃないだろうか。
 俺はDVDをパソコンから抜き出し、ケースに収めた。


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