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作品名:言凝、幸わう星 作者:ジン 竜珠

第17回 第二章・七
「……。ま・ず・い」
「え?」
 渾身の力で振り絞った俺の言葉に、リューカの表情が凍りつく。
「まずいもんは、まずい! うまいなんて、言えるか!」
「な、なにおー!? 『おいしい』って、云(ゆ)えー!」
 直截的だな、おい。察するところ、俺に言霊を使ったらしいが、それをもってしても俺の意志を変えることはできなかった。
 つーか、俺じゃなくても、これ食ったら、誰でもおんなじことだと思うぞ。
「聞くまでもないが、コレ作ったのはお前だな?」
 俺はリューカ自身が持っている弁当箱を指さした。
「うん。自信作なのだ」
 そこで胸をそらすな。
「一つ聞くが、お前、味見をしたか?」
「したよ」
 変なことを聞くわね、とでも言いたげな表情だ。じゃあ、なんで、こんな味に? というか、そうなると考えられることは一つしかない。コイツの味覚が破壊的だということ。でも、未来さんの料理がわかるということは、それほど狂った味覚の持ち主というわけではないはずだ。
 首を捻りつつ、俺は言った。
「味見をしてこの味というのは……」
「あー、アーヴィング疑ってる。ちゃんと味見したモン。味見して、シャケは甘かったから塩に漬け込んだんだし、ハンバーグだって、生焼けだったから、これでもかってほど火を通したのよ!」
 そうか。そうでシタカ。
「もしかして、お前、料理するの、これが初めてか?」
「うん。初めてにしては上出来だと思うよ?」
 嬉しそうにリューカは、のたまう。願わくば、この愚か者に料理の神の鉄槌の降(くだ)らんことを。
「とりあえず、お前、未来さんに料理の基礎から教わった方がいい。というか、教われ。これは命令だ」
「何でよー!?」
 と、リューカはふくれ面をしてみせる。
 本気でわかってないのか、こいつ。結局、なんでコイツの料理がまずかったのか、レクチャーするだけで昼休みが終わってしまった。


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