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作品名:言凝、幸わう星 作者:ジン 竜珠

第15回 第二章・五
 さすがに一月半ばの屋上というのは、人が寄りつくところじゃない。今日は朝から天気が良かったおかげでそれほどの寒さじゃないものの、風が吹くとやっぱり冷たい。
「……なんでここに来たんだろ、俺?」
 少し自己嫌悪に陥りながら俺はリューカに言った。
「何しに来たんだよ、こんなところに? ていうか、お前、学校は?」
 この街に越してきたということは、学生なら、学校に通わねばならぬ。もしかしたら学校に通っていない可能性もあるが。
「アーヴィングて、一年生だったんだね。あたしと同じ」
 全然、人の話を聞いてない。まあ、こいつも高一だったというのがわかったからいいか。ということは、まだ転入手続きができていないということだろうか。
 ……まさか、うちの学校に来るんじゃないだろうな?
「まあ、いいか、俺が考えることじゃないし。それより、何しに来たんだ?」
 するとリューカは背負っていた(その時まで気づかなかったが)小さなリュックから、風呂敷に包まれたものを取り出した。
「今朝、アーヴィングのとこで朝ご飯、ご馳走になったじゃない? それ話したら、マスミが『昼ご飯ぐらい持って行って、お返ししなさい』って。でね、未来(みらい)に作ってもらって持ってきたのだ」
 未来というのは、土曜日に、エプロンドレス着ていた女の人だ。あんな格好をしていたから、何となく「メイド」さんというイメージがあるが、どうなんだろう? 現実問題として、あんな格好をしたメイドさんなんているんだろうか?
「未来さん、て、どんな人?」
「未来はメイドさんだよ」
 あっさりと答が出た。
 メイドさん、て……。ほんとにいるんだ、ああいう人って。
「未来はねえ、料理がすっごく上手なんだよ。昔、有名な料理人のお弟子さんをしてたんだって」
 俺は、とりあえず「へえ」とだけ言っておいた。ものすごく気になることができたからだ。
「なあ、マスミさんって、何してる人?」
「言霊」という不思議な力を使い、男を片腕で投げ捨てる怪力を持ち、しかもメイドさんまで雇っている。これでごく普通のOLです、なんて言われても、絶対に信じられない。
「占い師だよ」
「占い師?」
「そ。言霊を駆使して、相談者の問題を見たり、解決策を授けたり、そういうの。世界中でやってるんだよ」
「世界中か」
 なんか、納得できる様な気がする。
「マスミぐらいになると口コミで知れ渡ってるからね、ホームページを開設したり、広告を出さなくても、お客さんでいっぱい。でも、日本じゃあ、あまり知られてないかなあ。政財界とか、そういうところには顔が利くんだけど。そういうわけで、はい!」
 と、リューカが弁当箱を差し出す。


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