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作品名:★Freshness(フレッシュネス)★ 作者:鈴木翔太

最終回 56


「ロレーヌ、俺、思い出したんだよ」
 滑車で飛翔艇をガレージから屋外に運ぶフレイルは、両腕に力を込めながら、幼馴染に話しかけた。
「思い出す? 何を?」
 彼女が問えば、フレイルは振り返らずに口をはたらかせる。
「子供の頃、お前と森でした話だよ。俺が飛翔艇を欲しがった、最初の理由」
 十二年前――五歳のフレイルと七歳のロレーヌは、例の森林内で迷子になり、疲れて地べたに座り込んだ。そのうちに彼女は不安になって泣き始めてしまい、父親に会いたかったのだとしゃくりあげ、迷惑をかけたことを謝ったのである。
 そして当時の鮮度≠フ申し子は、そんない彼女へ向けて、こう告げたのだ。
「『お前の父さんが星になったなら、ぼくがいつか飛翔艇でそこに乗せてくよ』」
 びくりとなったロレーヌは、言葉を胸につまらせ、挙動を止めた。
 フレイルはひとりの力で飛翔艇を移動させて、ゴーグルを彼女に投げ渡す。
 目覚めて以来、自分の身体能力は大きく向上していた。これくらい楽勝だ。
「もう意味はないかもだけどさ。朝でも視える星、追いかけるつもりある?」
 自分の問いかけへの解は、ロレーヌには耳にした時点で決まっていたらしい。
 きっと、その星は目に見るものではなく、心で視るものなのだろう。
 そういう特別な鮮度≠追うのなら、純粋な心が道しるべとなる。
「今からでも、追いつけるかな?」
「俺を信じろよ。絶対に鮮度≠ノ関してだけは、誰にも負けないぜ」
 フレイルがピッと親指を立てたとき、その背後に白烏――リタが姿を見せた。
 リタは小さくなってロレーヌの肩にとまると、後押しするかのように頭で頬をなぞる。その瞬間、彼女の胸からはあらゆる不安が消え去ったようだ。
「連れて行って、フレイル。あなたの鮮度≠ナ!」
「おう、夢は終わらない。これからも追いかけるんだ、みんなで!」
 フレイルはゴーグルを手にすると、彼女に手を貸して飛翔艇に乗り込んだ。
「競争するか、リタ? 負けないぞーっ」
「……! …………♪」
 飛び立つ飛翔艇と白烏は、寄り添い合うように、晴れわたる空へ羽ばたいた。
 まだ見ぬ鮮度=B果てのない夢を目指して。








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