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作品名:★Freshness(フレッシュネス)★ 作者:鈴木翔太

第54回 54


   5 鮮度≠フ彼方

 結晶体をとりまく騒動が解決すると、リジェナはファルシオンを隊長権限にて拘束。職務を逸脱した行動の責任を問うため、審問にかけることを固く誓った。
 リジェナは、ロレーヌと二言三言まじえると、ダグラスと連絡先を交換して、今回の件の後始末をつけるため、一時的に機構本部に帰還。
 フレイルがリタにかなり好感を持たれているので、少年に政府機構特別交渉人という位を授与させ、ふたたび暴走することのないよう見守る役目を担わせた。
 彼女はこの件でリタをただのエネルギー物資として扱うことに抵抗が生まれ、フレイルとの交渉により、リタ自身からの協力を願えないものかと考えている。
 人類の生活が懸かっているからといって、リタの生命を利己的に搾取することは避けねばならない。
 政府機構特別交渉人とは、人類と結晶体との新しい関係性を狙った役職だ。
 ……しかし、この役職は今のところリジェナの独断である。本部に申請が受理されるかはわからないし、受理されたとしても、表立って存在を認められたりはしないだろう。そのうえ結晶体と交渉が上手くいかなければ、ひとりですべての責めを負わされる可能性も高い。極めてリスキーな役職だ。
 ――だけれどフレイルは、この役目をふたつ返事で了承した。
 もっとも、政府機構特別交渉人となったあとからも、フレイルの行動や持論に目立った変化は何もなかったのだが。
 フレイルはこれまでどおり、便利屋Freshnessを営み、地方都市アルシエロの再建に尽力し、飛翔艇獲得の資金を集めるだけのこと。
 ダグラスからの鉄拳や、お詫び会を兼ねた感謝祭での出費は痛かったけれど、そんなことをいつまでも気にする性格でもない。
 少年は存分に心躍った冒険の記憶を胸に、鮮度≠求めてひたすらに歩む。
「うっし! 完成だ! 出来あがったぞ!」
 組み立てられた飛翔艇を満足げに眺め、ひとりガレージで両腕を振りあげる。
 これで夢焦がれた青空を、心ゆくまで舞うことができる。試運転を始めよう。
「早速、ロレーヌに連絡しよう。あいつも喜ぶぞーっ」
 携帯端末を掴み、幼馴染の番号を入力する。ロレーヌには飛翔艇に搭乗させるという望みをかなえると言ってあるだけでなく、幼き日の誓いも絡んで、必ずや同乗してもらいたいのだ。
「あっ、ロレーヌ。飛翔艇ができたんだ、もうホヤホヤ!」
「飛翔艇が? おめでとう、長年の夢が実を結んだね」
「ああ、やっとだよ。それでお前、すぐに来られるか」
「うん。フレイルとの予定だもの、何があっても優先するわ」
 静かだが、彼女の声も嬉しそうに聞こえる。
 あれ以来、ロレーヌの心にはこれまでにない余裕があった。
「じゃあ、事務所のガレージにいるからさ。着いたら、また電話くれよ」
「わかった。……楽しみだね」
 ロレーヌの言うことに、フレイルは電話口だが大きく頷いた。


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