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作品名:★Freshness(フレッシュネス)★ 作者:鈴木翔太

第45回 45


「フレイル――ッ!!」
 ロレーヌは打ちつけた頭部からの流血も気に留めずに、少年が下敷きになった瓦礫に駆け寄った。体勢を整えずに走り出したため、すぐに転んでしまったが、それでも這うように近づいていく。
「フレイル、どこ!? お願いだから返事をして!」
 ロレーヌは声をかけながら、両手で壁版を取り除こうとした。
 だが壁版のあまりの重量に、自分の両手は一分とかからずに握力が底をつく。
 鋭く欠けた壁版に浅く切り傷を負い、手のひらからも血がにじんだ。
「フレイル……返事、してよ……」
 ロレーヌは瞳に涙を湛えて、か細い声で呟く。
 脳内では、これまでに築いた彼との思い出が、止めどなく浮かんでは消える。最も哀しい結論が胸を満たそうとするのを、いやいやをするように首を振るって堰き止める。
 そんなことがあるはずない。彼は、死んでなんかいない!
 したたる涙に歪む視界から、壁版を引きずるように動かした。
 すると、その隙間からは彼の腕が現れて、自分はすぐさま、その手を掴む。
 しかし、彼の手はとても冷たくて感じられて、どんなに力を込めて握っても、何の反応も示してくれない。
「あ……ああぁ……」
 ロレーヌの瞳からは、今度こそ、大粒の涙が流れ始める。声が押し殺せない。
 彼はまだ夢を叶えていない。いいや、見始めたばかりだった。
 彼にはこれから、もっと楽しいことがたくさんあっただろう。
 彼の純粋さなら、もっと多くの鮮度≠ノ出会えたであろう。
「ああぁ、ああああああぁ……!」
 ロレーヌは人目をはばからずに声を上げ、頬を濡らした。
 幼馴染と、もう二度と話せない。笑えない。触れ合えない。
 そうした全部が、哀しくて、悲しくて。ロレーヌは泣きじゃくった。


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