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作品名:★Freshness(フレッシュネス)★ 作者:鈴木翔太

第43回 43


 総毛だつ従牙の視線のおよばぬところでは、アクスが傷ついた身体で、姿勢を変えようと試みていた。
 はじめにファルシオンが放った突撃で肋骨が数本ほど損傷し、腹部からは出血まで起きている。身に着けている上着のなかは、すでに赤黒く染まっていた。
 困ったことだ。僕にヒーロー役は似合いませんか、神様?
 わずかに視線を上向かせ、天上の王に不遜にも悪態をつく。
 自分はもとより不信心者であるものの、すがれるモノあればすがる男である。
 自分はこれだけ損をしたのだから、それにつり合うだけの見返りがなくては、溜飲を下げることなどできはしない。
 今の僕では、飛び降りても助かる気はしませんね……。
 自分では気づかないうちに黒猫にでも横切られていたのだろうか、とアクスは脳内で一日の途中経過を振り返る。
「本当に、今日はなんて日だ…………」
「人生最悪の日、とでも言いたいか?」
 力なくつぶやいた言葉に、ファルシオンは背中から応じる。
 相手は斜めから斬り払う動作で制服を翻すと、独楽みたく身体を回転させて、刃先で光線圧縮砲を弾いた。
 ミシルが身をかわしているあいだに、空いている左の指で砲筒を掴みとると、こちらに向かって照準を合わせる。
「最悪というのなら、これくれいはやらないとな!」
「!!」
 頭ひとつぶんの大きさのある砲口に、アクスは握ったままでいた電磁ロッドを伸び立たせる。発砲されるまえに射線軸を逸らせたならば、最悪の筋書きだけは回避できるだろう。
 レーザーボールが飛び出るほうが早いか、電磁ロッドの一打が早いかの博打。極限状態にまで追い込まれなくては、とてもする気にはなれない行為だった。
「当たれぇ――ッ!」
 綺麗な振りきりで、ロッドは目論見どおり、砲筒を弾き返す。
 体勢を崩されたファルシオンは、立て直そうとして手指に力を込めてしまい、標的とはまるで違う方向へと、レーザーボールを撃ち出してしまった。


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