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作品名:★Freshness(フレッシュネス)★ 作者:鈴木翔太

第38回 38


   4 ツカエルヤツラ

 結晶体の秘密。それはリタさえも知らない、深遠なる謎。
 はるかなる大昔、数多の人々から崇められたふたりの人物。才女と賢老。
 知力と技術において、現代まで並び立てる者のいない、偉人中の偉人である。
 彼女と彼は師弟でなければ恋人でもなく、友と呼ぶにも歳が離れすぎていた。
 しかし、その志すところは近しいものがあり、お互いを尊敬していたようだ。
 両者はそれぞれの知識と技量を重ね合わせ、この世にあるモノ≠創造することを定め、そのための媒介を各地に用意する。
 可能な限り良質な媒介を世に遺すために、ふたりは堅牢なる砦≠増設し、明確なる護り役≠も生み出していった。
 これなる道中の合間、ふたりはさらなる創造を行い続けたと言われているが、これを記録として証明する物は現代ではすでに失われている。
 国連政府機構がこのようなおとぎ話に興味を示したのは、さる研究団が恵褒樹から出でた結晶体の存在を持ち帰り、生体実験をほどこしたあとのことである。研究団の残した記述から、結晶体は凄まじい概念を凝縮した疑似生命だと判明。機構は新世代における動力源として結晶体の性質を活用すべしと、世界じゅうに向けて発信した。
 全人類にとっての永遠の課題であるエネルギー問題はこれによって解消され、人々は安定した豊かな暮らしを得ることに成功したのだ。
 そして人々が豪勢な暮らしをすればするほど、結晶体の生命は各動力のもとに吸いあげられ、衰弱の一途をたどる。
 機構が獣たちから奪い去った結晶体は、その身のすべてを搾り取られ、やがて誰の気に留められることもなく絶命した。
 主をさんざんもてあそばれ、孤独のまま葬られたことに、獣らはとてつもない憎しみを胸に抱いた。
 降誕祭にて再臨を遂げた結晶体を目に、獣たちはその輝かしい姿に涙を流し、決して人間どもの手に渡らぬようにと進化を続けたとされる。
 ――これが、人類と従牙との闘争の始まりだった。


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