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作品名:SとFの誤謬 作者:鈴木翔太

第8回 8




「やだ、どこへ行くのよファントム?」
 天外の奥へ歩き出そうとすると、スぺクトラが、どことなく寂しそうに言う。
 気が強く奔放なように思えても、常識的な感覚を持ち合わせているところは、やはり自分たちがそれだけ成長性のある存在という事実をうかがわせる。
 天外の力は繋がれ≠ホ繋がる≠ルどに位相世界の住人たちから学習する。影響力は互いに大きく、こちらもあちらも、引きあげられているというわけだ。
「留存架(るそんか)は最近、忙しいみたいだからな。ラムとも交信しないと」
 直属の配下。貭治遂身(しちじずいしん)の名を挙げると、彼女は納得した。
 世界の不具合を調整する役割を担当している貭治遂身は、天外の力が自発的に対話してもいい特別な世界柱だ。創世種と同じように協力して創生したために、確定事物としてすべての位相世界に効力を発揮する。
「世界の壁はずいぶん薄くなったものね。大声を出したら隣に聞こえたりして」
「安宿みたいにか? そこまでいったら、俺らが安易に働きすぎってことだろ」
 ラムは、基本世界を超えた者が異なる一輪≠ナ死した際、その者を一時的にあずかる最下位、留存架を任せられている。本来の死後の世界へ送り返すまで、解析する時間を過ごさせる場所だ。
「そもそも、位相世界は頑丈じゃないみたいよ。エンド・オブ・ザ・ワールド」
「メディアも仕事が増えているのか。大方、誰のせいなのかは予想がつくけど」
 スぺクトラが交信しているメディアは、害敵により滅した世界の再生支援を、帰境海(ききょうかい)という天外に非常に近い座標にて行っている。世界柱に住民全員をくるませてヒトとして受け入れる城≠フ女主人なのである。
 安眠と再起。役まわりは真っ向から対立しているが、想像力∞破壊力≠フ作用を考えれば、その性質も道理だった。
「大活躍の敵役は、私たちが否が応にも注目しなくちゃいけない相手だからね」
「天外の力を使い、異なる一輪≠超え、世界柱を倒し、ルールを破る……」
 根頓が仕組んだ働きをはずれ、ひたすら滅亡へと時計の針を進ませようとする厄災認定人物。あまりにも早期に出現した叛虐者(はんぎゃくしゃ)は、今なお活動し続けている。
 あらゆる事柄を、その出生から熟知している叛虐者は危険きわまる相手だ。
 救いがある点でいえば、なんだかんだでヒトのことを愛しているところだが、だからこそ魔の手をゆるめない性分は厄介というほかにない。
「こんなにまで面倒な転変(てんぺん)ってのは、どうして現れちゃったかな」
「ただの転変じゃなくって、あいつの場合は特異天(とくいてん)なのが、輪をかけて面倒よね」


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