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作品名:SとFの誤謬 作者:鈴木翔太

第3回 3


 バカバカしいやり取りが済んだあと、私たちだけの天外に、閃光が乱舞した。
 閃光が纏わりついたのは、天外のほとんどを埋め尽くしている書物の一冊だ。
 書物の題は、智覚書(ちかくしょ)。あらゆる世界に存命する者たちのすべてが記された生命の書である。
「こりゃタイミングがいい。覚醒児(かくせいじ)か?」
「どうだろ? 革命児(かくめいじ)かもよ」
 生きとしいけるもの全部を内包する根頓が、特に生命を管理・識別するために扱っているものに、稼核というものがある。
 稼核は、精神と肉体を結びつける接着剤みたいなもの。これがなければ魂魄は固定されることなく、どこかへと散り散りに飛んで行ってしまうらしい。
 敵に渡すな。大事な稼核。
「あー、これダブってる」
 スぺクトラかファントムと繋がる℃メは、前工程として審影(しんえい)と呼ばれている魄に付随したもの、人物が存在の限界を超えようとしたときに逆の性質で現れるものを凌駕し、聖人または魔人の何れかとなる必要がある。
 これが天外と想像力∞破壊力≠理解し、大宇宙の法則を知った覚醒児。
 そして覚醒児の成立に並行して弾き出された、魔人か聖人となりえた可能性のある審影は死後の世界で――先に話題に出た世界線では幽界と呼ばれていたはず――稼核によって人々の願望群から生み出された魂の基礎と結びつき、革命児と呼ばれる存在として降臨する。
 革命児は生誕から想像力≠ゥ破壊力≠フどちらかと繋がっている≠ェ、素体となった人物の力量以上の能力はなく、どうあがいても進歩しようがない。
 しかし覚醒児のほうは、自らの鍛錬で真理を学び修めているため、以降も己の頑張りしだいで能力を高め、引き出すことができる。
 物事はそれぞれに一長一短だ。帯に短し、たすきに長し。
「ファントムの覚醒児と私の革命児、同時に発現したわ。ほんっとに私と自力で繋がれる<qトは少ないなぁ。努力しろ、努力!」
「努力だけでどうにかなるのなら、魂魄に強度なんていらないだろ。ちなみに、その覚醒児は何色をしてるんだ?」
 ファントムが尋ねているのは、智覚書に記されている項目のひとつだった。
 生命の魂魄には強度が定められており、その順位は色味によって見分けがつくようになっている。目は心の鏡、という言い回しはまったくそのとおりで、瞳を覗き込めば相手の魂魄が何色であるかを知ることができてしまうのだ。


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