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作品名:SとFの誤謬 作者:鈴木翔太

第2回 2


「俺だって似たようなもんだ。俺たちはなんて言うか……」
「舞台装置じみてる? お飾り感満載?」
 そばに座り込んだファントムへ、言葉をたたみかける。
 彼はこれに軽薄そうな微笑みを浮かべて、息をついた。
「そうだな。なんか、そういう感じだな。繋がる¢且閧熨スくはないからさ」
「最近、下≠フ子たち、向上心が足らないわよね。やる気スイッチどこよ?」
 相手に倣って膝をまげ、ふざけながら尋ねる。
「今の顔、いいな。スぺクトラ。こんな立場でなきゃ撫でくり回してる」
「…………すんの?」
「しねぇって。実際にやったら、あんた、消えちゃうんだぞ?」
 こちらに合わせてふざけたらしいファントムは、床面に這わせていた右手を、自身の膝へと移動させた。事故が起こらないようにと考えたのだろう。
「本当にやったら、消えるのはアンタのほうかもしれないよ」
「いや、それはないだろ。俺のほうが繋がる≠フ楽だから」
「カッコ悪いなぁ、今の。自慢してるのが余計にカッコ悪い」
想像力≠ニ破壊力=B
 自分たちはそんな対局の力≠セ。いわゆる天外の力として、別個に存在するようになってから、自分たちはこれまでにいちども、触れ合ったことがない。
 大宇宙全体が根頓という始まりの力≠ナ始動した瞬間から、ふたつの存在は確定していた。超広域空間であり、あらゆる事物を事物たらしめる在処でもある根頓は、段階的に天外と位相世界とを区分して、存続と進化という本能的な欲求を満たすために自分たちを創ったのだ。
 そして、我々の能力の差分は、下の世界≠フ者たちとどれだけ繋がる≠ゥによって変動する。分量が多く偏ったほうが相手に触れた途端に、片方は消えてしまうよう仕組まれていた。
「いや、でもホント、無念だ。あんたみたいな相手がいるのに、触れないとか」
「そんなに……触りたいもの? 確認だけするけど、どこ触りたいの、アンタ」
「そりゃ胸だろ。バスト。おっぱい。下≠フ男たちはみんな触りたがってる」
「私の胸を!?」
「ちがう、ちがう。女性の胸だ。あんたは関係ない」
 なんだ。驚いた。――というか、当たりまえか。
 存在を知られていないのに、そんなはずはなかった。
「まぁ、俺個人にはそういうのないんだけど。多数決だから、な?」
「そんな最低の民主主義、滅んでしまえ」
 唾棄するように言えば、ファントムは吹き出した。
 見透かされたのはわかるが、それをわざわざ本人に告げる必要はないだろう。
 私のこのような意見も、下の世界≠フ習わしに従っているだけだけれども、それなりに長く続けていると相手方の気持ちがわかってくるから不思議だ。


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