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作品名:SとFの誤謬 作者:鈴木翔太

第12回 12


 けれども、その任務をこれまで、俺は果たすことをしてこなかった。
 悪いのは破核を持つ者たちではない。欠陥を切除できない仕組みだ。
 見越して指令をこちらに呼びかけられるのなら、当初から組み込まなければ、それで済ませられたはずではないのか。
「任務放棄ならびに存在否定。こんなことじゃ、まだまだ俺はヒトには遠いな」
 寿命が短く、脆弱なヒトらに、己自身を拒絶している時間などないのだろう。
 未成熟な自分自身の片腕を動かし、禁孔を前方へと移らせて拡大化。中継先のザッピングを行い、留存架に在住しているラムと交信する。
「ファントム。何か変事でも?」
「抜け殻への魂の定着。成功したか? まだ駄目なのか?」
 天衣を規律正しく着用しているラムは、保管している抜け殻へ視線を投げて、首を左右に振ってみせた。
 人間でありながら抜け殻となる道を選び、似核を用いることで人智を超越した稼想実像に進化した『救世主』も、破核から漏れ出した秘跡を視たことで行動を開始した。世界の壁が薄くなっている原因は、自分が処分せずにいた破核たちの向上なき所業と、叛虐者の身勝手によるものだ。
 そうでなくても、内側≠ナ天外の力を行使する場合には、世界柱のルールを捻じ曲げる過程で世界自体が削られてしまい、接点≠ニいう大穴が穿たれるのだが――ふたつ以上の世界線が触れ合う形となるため――発生率が跳ねあがり、歪な形状をした位相世界が宇宙全体に増えている。なかには異なる一輪%ッ士が削られたときに散り散りとなった断界片(ピース)を、妖力を送りこんで使役している妖魔などもいるのである。ここで歯止めをかけないことには、すべてはご破算となってしまうだろう。
 正常な運営を取り戻すためには、留存架の抜け殻を利用して浄化させることが最上の手段だ。増加しすぎた破核を放置することはできないけれど、いっせいに処分しようとすれば関係のない儀性がでる。言い方は悪いが、抜け殻を走狗へと変更すれば過不足ない人災を用意できるだろう。源解和合が出現するのはいつになるか不透明だ。おとなしく待機していては遅きに失する。


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