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作品名:ロスト・ネーム 作者:鈴木翔太

第7回 7


 脳裏に浮上した寸分たがわぬ報告記録。その文面。
 私は、こうまで事細かに二枚の紙っぺらに記された情報を思い出せたことを、己自身で驚いていた。
 興味を抱いたことは確かであったが、まさかここまで瞬間的に、眼前の人物と結びつけて処理できるほど重視していたとは……。
 いいや、だが待て。理を突き詰めて考えるなら、何もおかしなところはない。私はいつか医学を学び、他人救う者となるのだから。そのために他人殺める者を深く受け止めることは、当然の義務だ。
 これなる困惑へと、自分はどうにか納得しうるだけの理由を与えた。
 そう。思い返してみれば、この時から必然であったのかもしれない。
 我が身を必要悪≠ヨ招く視えざる手は、すでに背中を後押ししていたのだ。
 この手の正体は運命か。宿命か。はたまた、もっと些細な因果によるものか。
 理由はどうあれ、私は歩んだ道に悔いはない。彼との結末に、悔いはない。


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