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作品名:ロスト・ネーム 作者:鈴木翔太

第6回 6


 調査報告:〈狂公〉ヴェイグ・デリンジャー
 年齢:二十二歳
 基本装備:細身の刺突剣ラ・イール、大型の戦斧ジャンヌ・ダルク。
 殺人方法:ラ・イール抜刀による高速剣技。太刀筋にはひとつとして無駄はない。抹殺対象の首を一振りで刎ねる手際はただただ見事。気分によってはジャンヌ・ダルクを操り、圧殺せんがごとき力技で抹殺対象の頭蓋を砕くことも。ことジャンヌ・ダルクにおいては持ち手に大蛇みたく連なった鎖を繋いでいるため、投擲武器として用いることもある。
 備考:――なお、〈狂公〉がこれら二つの武器を左右同時に扱うことはごく稀である。彼がそうまで徹底して相手するものがいるとすれば、かの〈双神〉くらいであろう。
 略歴:彼は、ブレイゾンシュタットに古くから居を構えるマジシャンの家系、マルチロール家に向かい入れられた養子であるらしい。他国にてともにあった両親に不幸が起こり、親類縁者を頼った結果、我が街に流れ着いたとのこと。マルチロール家にて学びとった手品の類はすべて、現在の実戦技術として悪用されており、一見して無意味と感じる奇行にも気をゆるめることは許されない。裏稼業人に堕した経緯は、家元との悦楽の相違による離反。その後は、闇夜にまぎれて凶刃を振るうことで食いつないできたようだ。こと悦楽において発揮される独自の法則を以て、同業者からも畏怖を抱かれ〈狂公〉の二つ名をもつ。
 以上の事実を受け止め、貴殿も注意されたし。
 ‐報告記録作成者ミドガル・ド・シュランゲ‐

 調査報告:〈破拳〉蒼流星(そう りゅうせい)
 年齢:二十四歳
 基本装備:両拳の籠手小竜(シャウロン)、小ぶりの太刀影満(かげみつ)。
 殺人方法:小竜による拳撃。鍛えぬいた両拳の冴えからなる籠手の威力は抹殺対象の骨を砕き、臓腑を破裂させる。もちろん、足さばきからなる蹴り技にも注視する必要あり。影満をこと戦況にて閃かせた例は今のところないが、奥の手として帯刀しているこちらにも警戒を怠ってはならない。
 備考:――もとより〈破拳〉においては己の肉体、その細部にいたるまでが真の武器である。目に見える脅威が薄いからといって、決して侮らぬように。
 略歴:極東より連綿と受け継がれた闘拳道場の嫡子として生まれ、以後師範として道場を継ぐために青春を武道に奉じる。幼少の砌より仕込まれた対多数特化型の闘拳こそが、〈破拳〉の武器たる徒手空拳の基盤とされる。そうした正しき武の道を外れた経緯は、兄弟子を自らの手で殺めたため。兄弟子の試合を逸脱した過剰なまでの対戦者への嗜虐を止めるために武器を取り、道場内で殺害することを余儀なくされた。この事実は同じく道場継承に期待されていた門下生より密告され、果たして彼は海を渡り、身を闇に委ねることになった。どうやら、そうした過去を乗り越える兆しを近年見せていたらしいが、現段においては再度暗鬱を覗かせているようだ。
 以上の事実を受け止め、貴殿も注意されたし。
 ‐報告記録作成者ミドガル・ド・シュランゲ‐


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