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作品名:ロスト・ネーム 作者:鈴木翔太

第54回 54


   O.O.S.『青春にサヨナラ』

 デリンジャーは背負った罪過に、両肩が軋むような想いでいた。
 それは、普段と何も変わらない、己にとっては当たり前の風景。
「もう見慣れているはずだろう?」と、心のなかで冷徹な自分自身が嘲笑する。
 自らの友人ならば、特別だとでも言うのだろうか?
 それとも自身の知人だけは、殺したくないとでも?
「ワガママだな。私は」
 デリンジャーは床に転がるラ・イールを拾い、ベルトに巻き込んで固定する。
 それから親友の目蓋を右手で閉じ、親友が愛用していた双剣を両手に掴んだ。
 双剣リトル・ウィングは仕込み武器。使いこなせば遠近両用、好みの距離感で戦闘可能。
「――――借りるぜ、イカルス」
〈狂公〉はリトル・ウィングを懐にしまうと、クレメンツのいる兵装収納庫へ、両足を向けた。
 ――たどり着けば、そこはひどく荒れ模様だった。
 お目当ての少年は、事切れた男を見つめ、床に座り込んでいる。
 倉庫内部はあちこち傷つき、折れ曲がり、砕け散っていた。
 数えきれないほどの薬莢が散らばり、擦り削られた刀身が散乱している。
「帰るぜ。お坊ちゃん」
 デリンジャーが話しかけると、クレメンツは、ビクッと大きく反応した。
 そのあとクレメンツは、右腕で両目をこすり、こちらに向かい駆け寄る。
「外は冷えそうだ。ほれっ、コイツを被っときな」
「……ありがとう」
 帽子を貸してやれば、クレメンツは俯いたままで礼を述べた。
 その帽子の上から頭を撫でれば、クレメンツは小さく嗚咽を漏らす。
「Wow! 似合うぜ、お坊ちゃん。いっつぁ・せくすぅい・ぼーいっ!」
 デリンジャーは調子っぱずれな声を出し、脱出経路にクレメンツを誘導した。


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