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作品名:Freshness(フレッシュネス) 作者:鈴木翔太

第46回 46


 リタは痛ましい姿の彼女に近づいて、瓦礫から見てとれる腕に視線を送る。
 しばらくのあいだ眼に映るものを眺め、その手に撫でられた回数を思い出す。彼は友愛の情を込めて、あの手で何回も自分の頭を撫でてくれた。
『俺とお前とはもう友達だぞ、リタ』
 フレイルの言葉と、温かな微笑みを思い返し、リタは両の拳を握る。
 ほとばしる感情は九つの部位すべてを駆けめぐり、身体に変化をもたらした。
「――――ッッ!!」
 声を発することなく、身体の軋みで吼え猛るリタは、白目を剥き、地面から浮き上がった。全身にはまとわりつくように雷光が閃き、開かれた右手からは、エアキャリアへ轟音とともに弾劾の一撃が下される。
《まずい、我が君をお止めせねば!》
 ミシルが素早く民家に飛び移ると、エアキャリアは電撃に起動部を破壊され、市街ゲート最上地点に設けられている補修整備路に墜落した。
 ほど近くに設備されている映写展開装置も墜落の衝撃によって破損が生じ、上空に映し出されていた映像は消失、街のなかは暗闇に染まる。
 街の様子を照らしているのは、なお上昇を続けているリタの雷光のみである。
 白目のまま涙をこぼすリタは、空から近づいてくる飛翔艇を見るや、右手に雷光を集わせ、そちらも墜落させようと狙いをつける。
 怒れる結晶体の慟哭は、この程度ではおさまらない。


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