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作品名:Freshness(フレッシュネス) 作者:鈴木翔太

第17回 17


《惚けるな、グルナード! 敵は再びオマエの虚を突いてくるぞ!》
 心にとらわれる闘将に叫びを上げ、ミシルは相手のそばに駆け寄ろうとした。
 けれど、今度は智将を阻むようにして、リジェナが武器を手に立ちふさがる。
「すまんな、従牙よ。だが、こちらとて仲間を捨て置けん!」
《そこをどけ、人の子よ! 邪魔立てするならば容赦はせん!》
 両者は眼前の敵を見咎めると、それぞれの得物を閃かせ、まばゆい火花で戦場を照らし出した。火事を引き起こしかねない激しい打ち合いに、ほとんどの獣と兵士は目を奪われて立ちすくむ。華麗さと畏怖の混ぜ込まれた戦士の剣戟に、自分たちとの格の違いを、まざまざと教えられたのである。
 リジェナとファルシオン。グルナードとミシル。
 この戦況を左右するのは、同軍の主力たる、これなる四名の勝敗だ。
 義理をつらぬく獣。理念をいだく兵。女神に微笑まれるは果たしてどちらか。
「お前たちに、私の言葉は通じるのか? 無益な血を流すなと訴えれば、お前たちは頷いてくれるのか!?」
 リジェナは振動刃サーベルを揮いながら、ミシルへ語りかける。
 戦いが不本意であることは、敵であるものたちとて同じはずだ。現状は将と将の活躍による膠着状態であるが、一度どちらかが崩れれば、大量の命が削ぎ取られる泥沼の長期戦となりかねない。
 しからば、それを防ぐ方法は双方の長によってもたらされる和平を置いて、ほかになかった。
「犠牲を生むことに痛む心は、私もお前たちも違いなどないはずだ! 聞け、気高き牙よ! 我ら刃の言葉を!」
 リジェナが機構本部で目にした資料文献によれば、従牙≠ヘ人間と同等の――あるいは人間以上の知能を備えていると記載されていた。であるのなら、今は本能的に活動しているようにしか見えないグルナードとミシルの二匹も、合理性と論理的思考をもちいて問題を解決できるはずだ。
 この状況下ではわずかな望みかも知れないが、藁にもすがるような気持ちで、リジェナは言葉を紡ぎ出して相手に訴えた。
 どうか、我々の呼びかけに応じてほしい、と。


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