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作品名:Freshness(フレッシュネス) 作者:鈴木翔太

第13回 13


   2 交わりし可能性

 ニルゴア森林上空。飛翔艇操舵室より眼下に広がる景色を眺め、リジェナは新卒兵士時代にクレアート地方で経験した、降誕祭の記憶を思い返した。
 政府機構が抱える訓練スクールで特に優秀な成績を有していたリジェナは、当時しごきの鬼として有名であった教官による機構上層部への掛け合いにて、結晶体捕獲作戦における前線部隊へと配属させられたのである。
 それだけの能力があるものと教官に認められたのだと、若さも手伝い女隊士は有頂天になっていた。厳しくつらい教官のしごきに耐え、精神的にも肉体的にも鍛え上げられた自分なら、決してほかの者にも引けをとらないはずだ、と。
 ――しかし、結果はどうだった? 私はかの地で、なんの役に立った?
 作戦実行時の己の無様な姿を心に思い描き、リジェナは唇を噛みしめる。
 かの地にいたのは、戦況と鳥獣に翻弄されるだけの、ただの未熟な小娘。
 それ以上でなければそれ以下でもない、非力で無益な存在であった。
 ともに戦う同士の期待を裏切り、挙げ句の果て、教官に不名誉な退陣を余儀なくさせた、忘れることなどできようもない弱卒の姿。
「……くっ…………!」
 胸の奥底に深々と突き刺さっている棘の痛みに耐えかね、リジェナは握り拳を胸元へ持っていった。今回は間違っても、あんな醜態はさらさない。あの日から十二年もの歳月を経て、六十人もの新規精鋭で組まれた編成部隊の隊長にまで上り詰めたのだ。すべては政府機構における第一使命・市民の安全確保と、教官の構想であった新進気鋭による機構の清浄化のために……!


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