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作品名:真昼の嵐 作者:水星

第8回 8
昼休み、茉優はランチルームから帰る明日香を見つけて声をかけた。

「ちょっと聞いて。明日香」冗談っぽく始まったみぞれの悪口は瞬く間にヒートアップしていった。

「マジでないと思う。クリパから茉優だけ外すなんて」

「そうやん。大体、もともと葵とタカノと私のグループやん。なんで、あいつ途中から入ってきて、幅きかせてんの?」

「ほんまや。葵が優しいからつけあがってんんねんで。なんか上から目線やし、自分が一番と思ってんのと違う?」

「やんな。ほんまやったら偶数のグループって上手く行くはずやのに」

「茉優が人気者やからみぞれは面白くないんやわ」

「わかる〜」通りすがったタカノも入ってきた。「茉優ってトーク上手いし、誰とでも話せるしな。みぞれ、嫉妬してるんちがう?」

「そうそう。茉優が主役の状態がムカツクから、追い出して自分が主役になろうと思ってんねんわ」

「その前にトーク力つけろってこと」タカノがせせら嗤う。

「茉優、かわいそう」「茉優、泣け」みんなで無責任に囃し立て、みぞれをネタに笑い転げた。

 そう、このテンション。ここまでいけば、あとは勝手に広がっていく。茉優は内心ほくそ笑んだ。

「あたし、本当はあの子が転校してきたときから嫌いやった」みぞれのことを何も知らない明日香が意気揚々と話し出す。

根も葉もない噂が、さも本当のことのように語られていった。だが、その根拠はどこにもない。

茉優は知っていた。みんな退屈していて、刺激を求めていた。小さなきっかけさえあれば、どんな方向にでも火ダルマは転がっていく。

火の粉が降ってくる頃には、みぞれは孤立していて、誰がそのきっかけを作ったのかわからなくなっている。

みぞれの自己中なところや、高慢なところが浮き彫りにされ、物凄い悪のように言われる。

だが、その程度の欠点をもった人なんて本当はごろごろいるのだ。

ただ、茉優がそれらをクローズアップし、周囲に知らせ、彼女をいじめのターゲットにしても良いというサインを送っただけだ。

{本当に性格が悪いのは私なのかもしれない}茉優は心の中でつぶやく。だが、心の底にある乾いた砂が風に舞って、罪悪感を消し去っていく。

「あたしさ〜葵に言ってあげるよ。茉優がかわいそうやもん」明日香が茉優の計算通りの行動をとる。

「マジでMさん、どっか行ってほしいわ〜」くだらない呼び名で呼ぶところまで計算通りだった。
  


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