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作品名:真昼の嵐 作者:水星

第6回 6
「え〜っ、流星、また忘れたん?もうちょっとしっかりしいや。二年やで。内申に響くで」

「忘れ物減点されたくないから借りに来てるんやん」流星は照れたように笑った。

流星は中学に入って、突然背が伸びた。小学校時代とはまるで別人だ。手も大きくなって、肩幅も広くなった。

笑うと少し目じりが下がるところや、薄い唇は昔のままだけど、雰囲気はぐっと大人っぽくなっていた。

すっきりとした鼻筋と、細いけれど切れ長の目のせいで、学年ではイケメンのほうに入っている。

軽音のライブには、流星目当てで見に来る女子が現れているほどだ。茉優はほんの少しどきどきしながら、英語の教科書を手に取った。

「りゅうせいく〜ん」その時、甘ったるい悪魔の声が廊下から響いてきた。みぞれがいた。

「あ、ああ。秋元さん」流星が驚いて、みぞれを見た。みぞれは好奇心いっぱいの表情で茉優と流星の間に割って入った。

さりげなく流星の腕をつかんでいる。その白い手を見たとき、茉優は殺意を感じた。

英語の教科書を流星に投げつけるように渡すと、何も言わず教室を出て行った。

廊下を歩いている間も、茉優の頭の中には流星の名を呼ぶみぞれの声がリフレインしていた。

煮えたぎる錫を胸に流し込まれたようだ。女子トイレに駆け込むと、ポケットからブラシを取り出し、イライラと髪を梳かす。

つりあがった目をなんとか元の位置に戻そうと指で目じりを下げていると、タカノが入ってきた。

「茉優。ちょうど良かった。理科のプリントって返って来た?」

「まだやけど」

「良かった。やんな。一瞬、なくしたかと思ったよ。そういや、茉優ってクリスマス会、行くっけ?」

「クリスマス会?」
「聞いてへんの?みぞれの家でみんなでパーティしようって言われたで」

「マジ?聞いてませんけど」思わず声が裏返った。

「マジで?結構、前に言われたで」
「全く、聞いてません!あいつ、私をハブる気か。生意気に」茉優は、吐き捨てるように言った。

「最悪やな、みぞれ。笑顔でハブるとかないわ〜」タカノが明らかに引いていた。

「あ〜もう。気分悪い気分悪い」茉優は、手をごしごし洗うと、せっかく整えた髪をぐしゃぐしゃとかき回しながら、教室に戻った。


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