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作品名:真昼の嵐 作者:水星

第5回 5
タカノとのラインを終えて、最悪な気分に浸る。

みぞれの人をバカにしたような眼差し。あれはバカにしたような、じゃなくて本当に私をバカにしてたんだ。

うっわ、みぞれってマジでアホ。アホでサイテー。

そう何度も言い聞かせるが、胸の内のもやもやは今や、しっかり発火してぼうぼうと燃えたぎっている。

しかも、そんな性格の悪いみぞれを可愛いという見る目のない男子もいるから、余計に腹が立つ。あ〜、もうみぞれ、マジでどっか行け!

茉優はスマホを手に持ったままベッドにあおむけに倒れ込んだ。し〜んとした部屋の中で天井を見ていると、突然空腹を感じた。

みぞれに腹が立ちすぎて、夕飯を取るのをすっかり忘れていた。パパは残業で遅くなるから外で食べてくると話していたっけ。

茉優はのろのろと立ち上がるとキッチンに向かった。冷蔵庫にあったキャベツとネギを適当な大きさに切って、豚肉と一緒に炒める。

やっぱここはラ王でしょ、なんて呟きながらゆでた麺に野菜炒めを載せた。

いただきま〜すなんて、もう何年も言ってない。ママがいた頃はいつも言っていたのに。テレビをつけてバラエティ番組を眺める。

タカノが大好きなアイドルグループの女の子が出ていた。みぞれの何倍も可愛い子だ。茉優はMCの機転の利いた一言に思わず吹き出した。

ひとしきり笑うと、静まり返った部屋の中で、これ食べ終わったらお風呂掃除しないとな、と現実に引き戻された。

「茉優。英語の教科書、貸して」お昼休みに隣のクラスの流星が顔を出した。小学校の時からの学童仲間だ。

両親が共働きで、母親が看護師の流星は、茉優と同じく学童の最終お残り組だ。

五時を過ぎるとパラパラと帰っていく他の子たちをよそ目に二人はいつも一緒に遊んでいた。

流星はレゴが得意で、茉優の為に色々な物を作ってくれた。一番、感激したのは、お姫様に憧れる茉優の為に、ティアラを作ってくれた時だ。

今ならスマホで撮ってツイッターにアップするところだけど、当時の茉優は、流星の手にあるティアラをうっとりと眺めているだけだった。

流星がティアラをそっと茉優の頭に載せ、ありがとうと言おうとしたときに、周りで見ていた男子が「うわ〜。お前ら結婚すんの?」と囃し立てた。

一瞬、かっと顔が火照り、茉優はティアラを振り落とした。床に転がったティアラを見て、流星は一瞬悲しそうな顔をした。

次の日顔を合わせた茉優に流星はいつもと同じ笑顔で挨拶し、茉優は未だにあの時のことを謝れていない。


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