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作品名:改 1 シンラ 作者:ぷーでる

第4回 うまっちゅ!

 霊鳥は鏡村に、
  なかなか姿を現さない。
 
 三峰山の北奥で、ある物の怪が
 その日、侵入してこようとはフチは夢にも思わなかった。

 


 フチが我神屋敷の五階、
   最上階の部屋でくつろぐ。
   


   開いた窓から
    満月に照らされた、光景を眺めている。
     
    
    悪霊からの侵入を防ぐ為に、
       狼達の咆哮が木霊す中で。





 次に、百年ぶりにお茶とせんべいを、
          ちゃぶ台の上に、置く。
 
 フチは「それでもまた、あの美しい霊鳥の姿を
   お目にかかりたいものじゃ」と一言こぼして
             お茶を飲んでフーッと溜息。

 「チュッ!」
 
 

 そこへ、大人の手の握り拳ほどもある、
  でかいドブネズミが一匹、ちゃぶ台の上に音もなく、
          蛇の様にスルスルと這い上がってきた。
  
 
 「うっ?ドブネズミ!何と汚い!」
  ドス黒いドブネズミの姿に、フチはゲッと思う。

 「チュ〜ッ!」
 
 
 ドブネズミは、フチを恐れる事もなく
       ちゃぶ台にあるせんべいを
        うまそうに、ボリボリとかじりだす。
 
 「こりゃっ!このチュウチュウが、
 よりによってこんな汚いドブネズミが会いにくるとは〜?」
 
 
 フチはドブネズミを
  つまみあげる、するとどうだろう?
 
  ドブネズミが突如、
   白い煙に包まれたかと思うと
      二本足青年の姿に変化した。

    白系シルバーの長髪に
     白い和装。足は裸足だった。
 


   でも、せんべいだけは
    しっかり口にくわえたままだ。


 そのまま、フチに
  つまみあげられた格好になっている。
  (体はネズミより大きいのだが、重さは変わらない。)
 
  
 「なんだ、このネズミ男は?」
  フチは、驚いて青年を畳の上に降ろした。
 
  
 「僕は、ネズミ男じゃありません!シンラです!
          それに、さっき呼んだでしょ?」
  
  シンラは、ブチッと切れた。
 
 「はあ?お前の様な、汚いドブネズミなどお呼びではない!」
  フチは物の怪の癖に、なんだ、コイツ?という顔をする。
 
 

 シンラは「僕は、必死で今を生きているんでちゅう。
        それを汚いなんて言わないでちゅう〜」と言って
 
  また、せんべいを手に取り、ボリボリと食べる。
 

 「こらっ!人のモノを勝手に食うな!」

  フチが注意するが、シンラはおかまいなしに
              せんべいを食べ続けた。
 
  何という凄まじい食欲だ。
     ドブネズミは目の前に
      食べ物がある限り食べ続ける。
  
 

 「うまっちゅっ!」
 シンラは、食べる事が何よりも幸せそう。
 
 皿にあったせんべいは、すべて食い尽くされた。
 
  
 「このたわけ〜ッ!」
 
  フチは、とうとう怒って、
   シンラの両頬を手で両側に
    グニュウーッと引っ張った。
 
  
 「べっ?アダダダダッ!やめてちゅう!」
 
  シンラは、あまりの痛さに
   悲鳴をあげフチの手を振り払う。
 
 
 「何しやがる?ふざけやがって、許さね〜ぞ!」
  シンラは、ネズミなのにカッとなって牙をむいた。
  
  (ネズミは牙でなく門歯、だけどシンラは
     門歯じゃなくて狼の様な牙が生えていた)
 
 逆切れして部屋のふすまを外すと
  それでフチの頭に思い切り振り下ろす。
 
 「ベリッ!」(ふすまがフチの頭を突きぬけて破けた音)
 「コラ!」(貫いた、ふすまを外して怒鳴るフチ)
 
 フチは、怒るがシンラは更に大暴れ。
 
 
 部屋の中にあった壺を蹴散らしぶち壊し、
         掛け軸をビリビリに破った。

  

  エスカレートして
    今度は棒で食器を叩き割る。
 



 「ひゃはは!自己中(じこちゅうッ)!」
 
  シンラは、調子に乗っていた。
   ふすまを蹴破って、隣の部屋へ飛び込んで行く。
 


 「このネズミ男!」
 
 フチが、その後を追いかけ
  長刀を手にするとシンラに振り下ろす。
 

 だが、難なく長刀をヒラリと
  素早くかわして、からかう様に逃げて行った。


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