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作品名:ノンカカ国を滅ぼした月鏡の正体 作者:こみふい

最終回 50
迷いが吹っ切れたおかげで告白する勇気も出てきた。玉砕してもいい。この想いをシュンケに伝えると心に決めた。もう決してあと戻りはしない。
告白しようと口を開いた時だ。
「これからも月族の村を訪ねていいか?」
「え?」
ルナは一瞬何を言われたか分からなかった。
「せっかく月族と空族が出会えてこうして縁が出来たのだ。これからもこの縁を大切にしていきたい。」
「も・・・もちろんです!!ぜひ遊びに来てください!私も空族の村へ遊びに行ってもいいですか?」
「もちろんだ、歓迎するぞ。」
ルナは飛び上がらんばかりに喜んだ。いや、実際飛び上がって喜んだ。こんなに心躍ることはない。こんなに幸せなことはない。
喜びに満ち溢れているルナを見ているシュンケも心から嬉しくなった。

その日の午後、ルナはライトルとレンドと共に月族の村へ帰った。でもその胸に一滴の悲しみも不安もない。だってこれからもシュンケと会えるのだから。そう思うだけで足取りは軽く羽が生えたように自由だった。


ところでリコアとスルはというと処刑されることになった。リコアもスルもハラレニ国の出身ではなくカンダカ国で生まれ育った者だった。
若い頃から詐欺や窃盗を繰り返し、殺人までも犯していた。カンダカ国で二人は指名手配されていたのだが、それを逃れて世界各国を逃げ回っていた。
だが逃亡先の国でも詐欺や窃盗、暴行殺人などを犯している極悪犯罪人でようやくハラレニ国で逮捕に至った。初めに犯罪を犯してから逮捕されるまでに実に23年もかかった。
二人の身柄はカンダカ国に引き渡され即処刑となった。月鏡を盗んだことが長い逃亡生活と犯罪行為を繰り返す人生、そして命そのものに鉄の杭を打ち込んだ。
結局は月鏡がリコアとスルの人生に終止符を打ったということになる。
これも神が成せる技なのかどうなのかは定かではない。
ただ一つだけ言えることは月鏡を盗まなかったらこの年に処刑されることはなかったということだ。

ミンピの亡骸は水車小屋の床下で発見された。ラパヌはミンピが殺害されたと知って酷くショックを受け寝込んでしまった。兵士にリコアたちのことを通報した時のラパヌはミンピもリコアたちの正体に気づかずに月族と信じて金を自分に請求したのだと思っていた。
しかしリコアたちの証言によってそれは違うと判明した。ミンピはなにもかも知っていて自分から金を騙し取ったのだということを知り裏切られた気持ちでいっぱいになり塞ぎこんだ。
だがそんなラパヌの心の傷も時間が解決してくれるだろう。そうなることを皆が祈っている。ちなみに300万シドはラパヌの手元に戻って来た。


ハラレニの城の王座の間で国王とレンドは深刻な顔で何やら話し込んでいた。
「国王、あの護符のことなのですがいかがいたしましょうか。このままこの国で保管していてもいいものかどうか・・・。」
国王はレンドにそう問われて金庫室に保管している護符を思い浮かべた。
「リコアとスルが持っていたあの護符か。あれがあるからあの者たちは月鏡を恐れていなかったのだろう。逆に言えばあの護符さえあれば第二のリコアとスルが出てくるということだ。」
「そうなりますね。」
「となるとこれからも月鏡が盗まれる危険性がある。そのような事態はなんとしても避けなければならない。それを阻止する為には世界は護符の存在を知らない方がいい。」
「このまま我が国で国家機密として保管するということですね。」
「そういうことだ。念の為にもう一度聞くが護符はそなたとシュンケしか見なかったのだな?」
「はい。シュンケにこの護符のことを聞かれましたがごまかしました。シュンケもそれ以上は知りたがらないようでした。ただ、リコアたちがすでに他の誰かに見せていた可能性は否めません。」
「それはそうだな。第一、リコアたちも誰かから護符を手に入れたはずだからな。護符のことが世界に知れ渡るのは時間の問題かもしれん。それでもだ。このことは我とそなただけの秘密にしておこう。ただの時間稼ぎに過ぎなくても。」
「かしこまりました。」
レンドは神妙な面持ちで己の胸の中に護符の存在を閉じ込めた。

果たしてこの先もノンカカ国の悲劇が繰り返されないと断言出来るのか。
そんなことは誰にも分からない。

それから数か月の時が経った。月族の村では今日もルナが恋しいシュンケが来るのを心待ちにしていた。先週シュンケがここに来たばかりなのにルナはもうシュンケに会いたがっている。
ちなみに来週の土曜日はルナが空族の村へ行くことになっている。二人はお互いの村を行ったり来たりしている。
ライトルはルナがあまりにもシュンケシュンケというのでルナの祈りが疎かになっていると思いルナを叱った。
「シュンケのことが好きなのは分かった。それはそれで歓迎する。だが月族として祈りは疎かにしては駄目だ。」
「はい、お兄様ごめんなさい。」
ルナは素直に謝った。しかしそれを見ていて腹を立てたのはライトルの妻、ソシアナだ。
もちろん腹を立てた相手はルナではなくライトル。
「あなたは乙女心がまるで分かっていない!そんなんだから駄目なのよ!」
「すまない・・・。」
ソシアナに叱られたライトルはしゅんとして体を小さくしている。そのやりとりを見ていた月族たちは声を上げて笑った。
月族たちはルナとシュンケが結ばれることを心から期待している。そしてその期待は現実ものとなる。
ルナとシュンケはこの一か月後に心も体も結ばれた。

月族と空族の縁は永遠に続く。

世界は今日も青く輝いている。海も山も素晴らしく、空も月も太陽も星も美しい。
美しいもので溢れているこの世界で、人々は泥だらけになりながら明日も懸命に生きていく。
この星の青き輝きはこれからも続く幸せを約束してくれるものだ。



                                    終わり


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