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作品名:ノンカカ国を滅ぼした月鏡の正体 作者:こみふい

第22回 22
30分くらい休んだところでシュンケは二人に声を掛けた。
「そろそろ出発しよう。」
「そうですね。」
それぞれに腰を上げ、ライトルは近くの木に愛馬を繋げていたのでその手綱をほどきにかかる。シュンケはルナに「すまない。」と一言ことわりをいれてからルナを抱え上げた。
その瞬間ルナは心中で「きゃああ///」と悲鳴を上げる。胸が痛いくらいにドキドキしてきて体温が上がって平常心を保てなくなる。シュンケと息が触れ合うくらいに接近して呼吸をするのも苦しくなる。恋する相手がこんなに間近にいるのだからそうなるもの仕方がない。
「飛ぶぞ。」
シュンケの掛け声と共に再び体が浮上していく。ルナはこの離陸する瞬間がたまらなく好きだ。バサバサと羽ばたく音がルナの耳に心地よく響く。
一方、ライトルはシュンケたちの動向を常に気にかけながら、すれ違う人々、遠くにいる人々、前方にいる人々の顔を凝視しリコアたちはいないか確認している。
しばらく飛んでいた時だ。
ゴゴゴゴゴ・・・。。
シュンケたちの背後から大きな機械音がしてきた。シュンケにとっては聞きなじみのある音だ。だがルナは聞きなれない轟音に驚き振り返った。
「心配しなくていい、あれは飛行機だ。」
「随分低い位置を飛んでいるのですね。私も飛行機なるものが飛んでいるのを見たことはありますがこんなに低くは飛んでいなかった。」
「すぐ先に滑走路があるからそこに降りるのだと思う。普段はもっと高い所を飛んでいるぞ。」
飛行機はシュンケたちに近づいてきてあっという間にシュンケの隣に並んだ。隣といってもお互いの顔がなんとなくぼんやり確認出来る程度に離れているだが。あまり近づきすぎると飛行機のプロベラにシュンケたちを巻き込んでしまうのでそれはしない。
飛行機のパイロットはシュンケに向かって大きく手を振っている。声はプロペラ音にかき消されて聞こえないがパイロットの満面の笑顔からしてシュンケに挨拶をしているのだろう。
シュンケは両手が塞がっているので挨拶の代わりに大きく頷いた。シュンケの挨拶に気が付いたパイロットは嬉しそうに親指を掲げサムズアップしながらシュンケから離れて行った。
シュンケは飛行機が先の滑走路に着陸していくのを優し気な眼差しで見守っている。人間がこんなにも飛ぶことを楽しんでいることに嬉しくなった。シュンケの嬉しそうな笑顔を間近で見たルナはますますシュンケを好きになっていく。

どれくらい進んだのだろう。いつものシュンケの飛行スピードならとっくにハラレニに到着しているが今回は月鏡を探す為にゆっくり飛んでいる。途中何度か休憩を入れながらも飛び続けている。

その頃レンドはハラレニに到着した。
国境にはとても高い塀がそびえ立っていて入国するには入国許可書が必要になる。
許可書には3種類あって第1種目がハラレニで商売、貿易を行う者が持つ許可書。
第2種目がハラレニに家族親戚友人など知り合いがいてその者に会いに行くときに必要な許可書。
第3種目が医師や科学者などいわゆるホワイトカラーの人たちがハラレニで活動する場合の許可書。ちなみに国賓や貴族は入国許可書がなくても入国出来る。
もちろんハラレニ国民も身分証明書を提示するだけで入国出来る。
レンドは門番のリデに駆け寄った。
「やぁレンド、随分早い帰国だな。月族は連れてきたのか?」
「月族はシュンケが後から連れてくる。」
「シュンケが?なぜシュンケが連れてくるんだ?」
「詳しい話は後にする。ところで昨日か今日ペラダとトランという者が入国しなかったか?顔はこれだ。」
レンドは懐から人相書きを取り出しリデに見せた。リデは首を傾げる。
「ペラダとトラン?一日百人近く入国するんだ、さすがに全部は覚えられないが・・・。その2名がどうかしたか?」
「月族の村から月鏡を盗みこの国に持ち込む計画らしい。もしくはもう持ち込まれたかもしれん。」
「月鏡を!?」
「あぁ、私はこれから国王に知らせる。じきにシュンケがここに2名の月族を連れてくる。その者たちはペラダたちの顔を知っている。来たらすぐに入国を許可してくれ。」
「分かった!!念のためこれから入国する者の荷物検査を強化するぞ。」
「頼む!だが月鏡にはくれぐれも触れるなよ。」
「分かっている。」
レンドは馬に飛び乗ると城へ向かって突風のように走り去った。


だが残念なことにこの時すでにリコアたちは第2種入国書を使って入国していた。


レンドは国王がいる執務室に駆け込んだ。国王はレンドの切羽詰まった顔を見るなりただ事でないと察した。
「レンド、何があった?」
「月族の村から月鏡が盗まれました。」
「なんと!?」
国王は驚愕している。
「盗んだのは2名、中年の男で名前がペラダとトラン。しかし偽名だと思われます。月族より二人の人相書きを預かってきました。」
それを聞いた国王の目が大きく見開かれた。同時に焦りの色が滲み出てくる。
「人相書きを預かって来たということはその者がこの国にいるということか。」
「月族の話だとおそらくここに向かったとのこと。今朝の5時の時点ですでに月鏡は盗まれていたようです。」
「なんの目的で月鏡を盗んだのか・・・。その2名はハラレニの国民なのか、あるいはここで月鏡を売買するつもりか。いずれにせよ我が国に月鏡があることは避けたい。」
「はい。それでシュンケが月族の者たちをここに連れてきます。」
「シュンケが?なぜシュンケが月族を・・・。」
「詳しいことは後でお話しします。」
「そうだな。とにかく一刻も早く月鏡を探し出さねばならぬ!」
国王はすぐに三人の側近アルタ、トラボルタ、ランを呼び出した。
「ただちに国中に御触れを出す。」
「どのようなお触れでございますか。」
「月鏡を盗んだ者2名がハラレニに入国する、あるいはもうしたかもしれんが。」
「月鏡を!?」
アルタたちは驚きのあまりに息を飲んだ。
「『月鏡を見かけた者は城に報告、あるいは近くにいる兵士に報告するように。もし誰かから月鏡の売買を持ちかけられても同様に報告。月鏡を入手することを固く禁じる。いずれの場合も月鏡には触れてはならぬ。』との内容の御触れを出すように。犯人の人相書きがあるからそれも張り出してくれ。兵たちには我から事情を説明しておく。それと役場に行きペラダとトランという名の男がいるか戸籍を調べてくれ。おそらく偽名だと思うが念のためだ。」
「かしこまりました!」
アルタたちはすぐさま行動に移した。国王はレンドに向き直った。
「レンド。」
「はい。」
「シュンケと月族に協力してやってくれ。」
「かしこまりました!」
レンドは国境の門にとんぼ返りしシュンケたちを待つことにした。


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