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作品名:きみの翼にシロップを。 作者:砂漠のキコリ

第3回 COURSE:T 〜花びら泥棒〜 -A
 真っ暗闇のなかで、イスカはぱっちりとまぶたを開けた。
 驚くほど柔らかな、ベッドのなかである。招待されたアトリ姫とやらの寝室は、なるほど、王族かと見紛うほど豪奢な作りだった。極彩色の織物がベッドの天蓋から垂れ下がる。
 窓にはガラスがない。今はもう……深夜近いだろう。幻燈虫たちも寝静まって、ユーグリエール全域が闇に包まれているに違いない。――否、地底樹の天頂付近に広がるマグナポリスの街だけが、あくせくと電気の光を散りばめているのかもしれないが。
 ともかくも、敵地でのんびりと熟睡するわけにもいかなかったイスカである。
 脳を休めるだけに努め、まぶたを閉じて寝たふりをしていたのだ。戦闘服のインナー姿になってベッドに潜り込み、うつらうつらと夢とうつつのあいだを彷徨うこと、およそ三時間。
 これ以上は気を緩めらぬ、と。重たいまぶたを苦労して持ち上げる。
 直後に、眠気が吹っ飛ぶほど驚いた。
 目の前に少女の小ぶりな鼻があったのだ。つまり息がかかるほどの近くで、アトリ姫が向かい合わせになって眠っている。まぶたが閉じられているとよく分かるが、睫毛が長い。窓から差し込むわずかな光を跳ね返して、まるで濡れているかのように艶めいている。
 イスカの心臓が、徐々に鼓動を落ち着かせてゆく。
 心地よい胸のビートが、ほう、とたまらずため息を零させる。
「綺麗……」
 見たこともないほど愛らしい女の子だ、と思った。
 アトリ姫は私室にイスカを連れ込むと、本当にふたりだけの時間を求めた。甘いお菓子を振る舞ったり、ボードゲームに誘ったりだ。機嫌を損ねることもあるまいとイスカも付き合ったのち、ほどよいところで眠気を訴えた――半分は本当に疲れていたのだ。
 すると彼女は、なんの頓着もなく自分のベッドを分け与えてきたのである。
 その心の壁のなさに、イスカもつい勘違いをしそうになってしまう。
 イスカはゆるゆると腕を持ち上げると、彼女の頬に触れた。
 気づいたのだ。
「……あたたかい…………」
 毛布が、いまだかつて感じたことがないくらいのぬくもりに満ちている。
 理由は分かる。機族である自分の肌は冷たいが、アトリの体には血が流れているのだ。その安らかな体温のせいで、本格的に眠気が押し寄せてくるのを自覚しながら、イスカは彼女の肌に指を這わせた。頬からおとがい、ぷっくりとした唇。ふたりのあいだに差し出されている彼女の手のひらを、ぎゅっと握る。部屋は暗いのに、どんな灯りよりも安心感がある。
 どうしてこんなに、彼女から視線も手のひらも離せないのだろう?
「イスカちゃんは」
 びくっ! とイスカの全身が跳ねた。
 まぶたを閉じたままのアトリが、いきなり唇をにんまりと吊り上げたからだ。
 こちらが声も出せずにいると、宝石じみた瞳が開かれ、闇のなかで光る。
「……イスカちゃんはわたしを食べたいのかな?」
「あっ、ご、ごめっ、起こして――」
 とっさに身を起こしかけて、寸前で気づく。
 ――いま(、、)、なんて言った(、、、、、、)?
 イスカはいよいよ呼吸もままならなくなった。反対にアトリは、しどけなく上体を起こす。
「機族のひとからすると、わたしは美味しそうに見える?」
 喉が詰まりそうになりながらも、イスカはかろうじて口を動かす。
 いつの間にか、体の芯が急速に凍えていくのを感じていた。
「き、気づいて……いたのか……っ!!」
「残念だったね。《ここ》にいるみんなは森人と機族の違いに敏感なの」
 まるで悪意を覗かせず、のんびりと枕もとに肘をつくアトリだ。
「キビタキや騎士のおじさんたちも気づいてるよ? もう少し小声にした方がいいかも」
 イスカはハッ、と。顔を跳ね上げて扉を振り返る。
 気づくのが遅すぎた……!! 壁の向こうから幾人ぶんもの息遣いや、衣擦れの音を聞き取ることができる。確かめるまでもない、武装した戦士たちが待機しているのだ!
 アトリはまるで赤子をあやすかのように、イスカの強張った肩を撫でてきた。
「イスカちゃんが寝るのを待って襲い掛かるつもりなんだね。ご飯をわたしの部屋で食べておいてよかったよ、さもないと毒を盛られてた」
「……くっ」
 頭を上げているのも億劫になって、イスカは荒い息をつきつつベッドに沈み込む。
 アトリの声は、あたかも天命を告げる女神のように穏やかに響いた。
「わたしたちに捕まった機族がどうなるか知ってる? 体の機械の部分を生きたまま抉り取られるの。先に殺しちゃうと機能不全? になっちゃうんだって。そうして体を失っちゃった機族のそのあとは……あんまり見たくないな。ひどいものだよ」
 その話はイスカも知っている。全身機械のジェイ・ジェイ隊長しかり、機族が全身をよどみなく動かせるのは、機械部分に生体金属が用いられているからだ。これを転用しようと思ったら、やはり殺したり腐らせたりせずに切り離すことが望ましい。
 無論、そのさい、被験者には神経が引き剥がされる壮絶な痛みがもたらされるだろうが――
 機族とて、捕らえた森人から血液を搾り取るために同様の……あるいはもっとむごい仕打ちをしているのだ。是非を問うつもりはない。
 分からないのはひとつだ。イスカはパニックになりそうな頭をどうにか落ち着けて、枯れた声で問う。くしくも取り乱さずに済んでいるのは、アトリの手のぬくもりのおかげだ。
「どうしてそれを、ボクに言う?」
 教えられなければ、イスカは寸前まで気がつけなかった。
 本当に眠気に負けて、目が覚めた時には取り返しのつかないことになっていた可能性だってある。おそらくはアトリも寝たふりをしていた。そうなる前に、イスカに声をかけるために。
 いったいなぜ?
 イスカはもはや、蜘蛛に囚われた羽虫も同じだった。どうすることもできずに仰向けになる自分に、アトリは艶っぽく覆いかぶさってくる。
 まるで先ほどの意趣返しかのように、間近からこちらの頬を撫でてきた。
「……ねえ、どうして騎士のおじさんたちは迂闊に踏み込んでこられないんだと思う? みんなで一生懸命になってわたしとイスカちゃんと引き離そうとした本当の理由は、なに?」
「……どういうこと」
 頬を這うぞくりとした感触を覚えながら、イスカは問う。
 天使めいた彼女は、言った。
 ――悪魔のように。
「わたしと取引、しない?」

     † † †

 少女の甲高い悲鳴が響いた。
 真っ暗闇の廊下で、警備兵たちは鋭く顔を見合わせた。すぐに、隊長が二、三度指を捻る。彼らは一気呵成に床を蹴飛ばし、アトリ姫の寝室へと駆け込んだ。
「動くな!!」
 直後に、彼らの足を押し止める声。
 正確には、目の前の光景だ。わずかな灯りの射し込む窓を背中にして、ふたりぶんのシルエットが重なっている。警備兵らの危惧した通り……彼らの守護するべきアトリ姫が、不埒な機族の少年に羽交い絞めにされているではないか!
 アトリ姫の顔色は真っ白だ。少年は、そんな彼女の喉もとに小太刀を当てている。
「ボクはここから消える。それ以上近づけば殺す。追手の影が見えたら殺す」
「や、やれるものか!」
 居間ではにこやかに対応していた警備兵の隊長が、怒気を迸らせる。
「機族がたったひとりで、このエリオンフィールドから逃げおおせられると思うな! 人質がいなくなれば、き、貴様は我らが騎士団から袋叩きだ!」
「ボクが死んでも惜しむひとはいない。けど、この子が死んだら?」
 隊長はすぐさま顔面蒼白になる。それが答えだ。
「……命がけのオニごっこの始まりだ!」
 機族の少年はアトリ姫を抱え上げ、身を翻した。警備兵たちが「あっ!」と虚を突かれているあいだに、窓から飛び出す。
 隊長が泡を食って窓に駆け寄ると、植物園を逃げ去っていく背中が見えた。
「追い詰めろ! どこにも行き場などない!!」
 警備兵たちは猛々しい靴音とともに寝室を駆け出していく。
 ――もし、彼らが夜戦に長けた《カラス羽》なら、あるいは誰かひとりでも残って部屋を確かめていたら、すぐに気がついただろう。
 しっかりと戦闘服を着込んだ機族の少年のみならず、アトリ姫もまた、外出用の伝統装束に身を包んでいたことに。姫のカバンや、長旅に活用できそうな一切の私物が、ごっそりとクローゼットからなくなっていることに……。

「――第一関門突破だね、イスカちゃん!」
 イスカにお姫さま抱っこされながら、実に嬉しそうに笑っているアトリである。
 無論、先ほどの《芝居》は彼女の差し金だ。ベッドのなかで警備兵の存在を知らせてきたアトリは、絶体絶命のイスカへとこんな取引を持ち掛けてきたのだ。
 自分を人質にして警備兵たちを撒けばいい、と。
 その代わり、自分をこの《鳥籠》から連れ出してほしいと――
 彼女の事情などさっぱり分からないが、とにかくイスカが逃げ延びるにはその取引に応じるしかなかった。小太刀はとっくに腰の鞘に仕舞っており、イスカは人質を宝物のように抱えて暗闇の植物園をひた走る。
 背後からは猛々しい靴音が迫っていた。先ほどの脅しは単なるハッタリでしかない。この人質がいなくなれば彼らも困るのかもしれないが、イスカはもっと困る。
「出口はどこ!?」
「このまま走った先が鳥籠の端だから、柵の切れ間から飛べば…………って、あ、そっか!」
 アトリ姫は大げさに口もとを手のひらで覆った。
 失念していたのだろう、機族であるイスカは彼女のような翼はない。反対に彼女に抱えて飛んでもらうという手もあるが、その光景を警備兵に見られでもしたらふたりの共謀であることがバレてしまう。すると、追手の遠慮がなくなる。
 ――外界と行き来する道がないなんて、別荘と言うより檻という方が近いんじゃないか?
 それらを目まぐるしく思考しながらも、イスカは速度を緩めなかった。どうするの? とアトリが視線で問うてくる。警備兵たちの足音は遠慮なしに包囲を狭めてくる。
 やがて、鳥籠を構成する金属柵に行き着いてしまった。地底樹(ユーグリエール)の枝にぶら下げられたこの籠は、根に近く幹までの距離もさほどない。この条件であれば……いけるだろう。
 イスカはいったん、アトリを地面に下ろすと、マントの袖をまくった。
 両腕には三次元起動装置たる、ハーネストナイフが装着されている。動力は圧縮空気だ。重くてかさばるし、使用回数も限られるが、この程度の悪路なら難なく突破してくれるだろう。
「しばらく両腕が塞がるから、しっかり掴まっていて」
「……うんっ!」
 と弾むような声で応えて、首筋にしっかりと両腕を回してくるアトリである。
 ……先ほどから疑問なのだが、なぜそうも嬉しそうにイスカにくっついてくるのだろうか。いかんせん人付き合いの経験が不足しているので、イスカは憮然と視線を逸らすに努める。
 両腕の発射口を頭上に向け、小指でトリガーを絞る。
 猛烈なガスとともに小刀が射出され、一気に上昇したのちに、枝に突き刺さったのが分かった。リールが自動で巻き取られ、ぴん、とワイヤーを張る。
 警備兵たちが背後に追いついてきたのは、その時だ。
「諦めろ、小僧! どこにも逃げられは――」
「ま〜だだよ、っと」
 戯れるように言って、イスカはとんっ、と地面を蹴り出す。
 ふたりぶんの体重が、あっけなく虚空にさらされた。足もとには遥か眼下まで何もない。警備兵たちが「あっ!」と、またもや驚愕の声を上げるのを最後に聞いた。
 ぎしっ! とイスカの両腕に負担がかかる。
 それに耐えると、続いて慣性で凄まじい加速が掛かった。ワイヤーに吊られたふたりは、空気の壁を切り裂いて虚空を飛び抜ける。耳もとで轟々と風が唸った。
「うぅっ……ひゃああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!」
 耳もとでアトリが叫んだ。悲鳴ではない、笑って喜んでいるのだ。
「見て見てイスカちゃん!! 下っ! すっごい……景色!!」
「ああ!!」
 風切り音に負けじと、イスカも馬鹿でかい声で叫び返す。
「ボクたちは、今、エリオンフィールドの空を飛んでる!!」
 地底樹の根には天然の灯りが多い。ふたりの足もとには、森人たちの街灯りが散りばめられていた。サファイアの蒼、ルビーの紅、エメラルドの翠……樹木と一体化した温かみのある街並み。通りのひとつひとつすら指でなぞれるような気がする。
 アトリはイスカの首に左腕を絡め、右手のひらで吹きすさぶ風を撫でた。
「いぃ……やっほぉ――――――――――ううっっっ!!」
 一方、額に汗を浮かばせながらふたりぶんの荷重に耐えているイスカである。
「あ、暴れないでっ」
 巻き取られてきたワイヤーが、ばちん! と音を立てて左腕に格納。
 再びトリガーを絞れば、猛烈なガスとともに刃が風を貫いた。

     † † †

 ハーネストナイフのガスが切れる間際に、どうにかユーグリエールの根もとまで辿り着いたふたりである。街灯りを避けて降下したものの、すぐにも追手がかかるだろう。残りの装備は腰の二刀小太刀のみ……多勢に囲まれたら今度こそ分が悪い。
 だというのに、アトリ姫はくるくると踊るように回り、実に呑気な様子だ。
「やったぁ! 脱出成功っ!」
「……どういうつもり?」
 この段階になって、ようやくイスカは彼女の真意を問い質した。
 流されるままに協力したが、「人質のふりをして家出をしたい」などいかにも尋常ではない。取引を持ち掛ける相手が、自らにとっての天敵である機族となればなおさらだ。
 ここで仮にイスカが小太刀を抜けば、彼女はたやすく命を刈り取られるのである――
 しかしアトリは、イスカがそれをしない、ということを見抜いているようでもあった。
「えへへぇ、実はわたし、イスカちゃんに連れて行ってもらいたいところがあるのっ」
「どこに?」
 アトリはぴん、と人差し指を伸ばして頭上を指し示す。
「地底樹(ユーグリエール)のてっぺん」
 イスカはぽかん、と間抜けに口を開いてしまった。
 説明が足りないと思ったのか、アトリは両手のひらをわたわたと上下させた。
「えっとね? 機族たちの街……マグナポリスの最上層には、外の世界へと繋がる《空の蓋》があるんでしょう? そこにわたしを連れて行ってほしいの」
「……ヘルヘイヴ・ゲートのこと?」
 マグナポリスの最重要施設のひとつだ。遺跡めいた外観で、その物々しいシェルターの向こうには、この《鳥籠の中の世界》に移り住むより前に人類が暮らしていた外の世界――いわゆる《地上世界》が存在しているのだという。
 しかし、その場所には今もおぞましい瘴気が満ちており、ヘルヘイヴ・ゲートは硬く口を閉ざすことで地底世界を守っているのだとか。マグナポリスの軍人たちでさえ好きこのんで近づこうとはしない、時おり中枢技術局のメンテナンスが入るだけの、うら淋しい場所である。
 ……機族たちがなぜ、比較的資源の豊かなユーグリエールの根もとではなく、枯れた枝ばかりの上層に街を構えているのかといえば、このゲートが理由だ。仮に、翼を持つ森人族に頭の上を押さえられてしまっては、機族側には為すすべがなくなる。是が非でもユーグリエールの上層領域を確保するのは、両種族の対立が始まった頃からの宿命なのだと。
 お前たちの拠りどころは我々が押さえている。
 自由に飛び回れる《空》などどこにもありはしないぞ――というわけである。
 イスカは、より慎重になって問うた。
「きみは、そこに、行きたい?」
「そうそう」
「…………」
 これにはイスカも、おとがいに指を当てて思案せざるを得ない。
 しかし、悩んでいたのはほんの数秒だけだった。すぐに腕組みを解いて、かぶりを振る。
「……わかった。いいよ」
「ホントにっ!?」
「ただし」
 イスカはぴしっ、と人差し指を立てて、釘を刺すことを忘れない。
「……約束できるのは《連れていく》まで。そのあとのことは……ボクには保証できない」
「だいじょぶダイジョーブ! あとは自分でなんとかするから!」
「……ほんとに分かってるのかな」
 敵対している間柄ながら、イスカはつい本気で心配してしまいそうになる。
 どのみち、イスカが本拠地まで帰り着くためには人質が必要だ。仮に「力ずくで」となったら労力は二倍、三倍だろうが、彼女が自分からついてきてくれるのなら願ったりではないか。
 そもそもが、天上軍降下部隊としての任務は森人を捕獲してくることなのである。あるいは彼女を「戦利品」と考えることもできるだろうが、それにしたって今はやはり手荒な真似はできない。森人が機族を生きたまま解体するのと同様、機族が摂る血液も《鮮度》が重要だ。彼女から命の雫を搾り取るのは、マグナポリスの基地に帰還してからが望ましいだろう。
 ヘルヘイヴ・ゲートまで連れていく? 構わない。どうせその扉は開かない。
 するとそこは、彼女にとって敵地のど真ん中だ。あとのことは……知らない。
 そこで考えるのをやめ、イスカは再三、ゆるくかぶりを振って邪念を追い払った。
「……でも、ここからどうやってマグナポリスへ向かう? すぐに追手がかかるだろうし、ゆいいつ上層と下層を繋ぐ友好(メイプル)街道は……両軍が目を光らせてる。機族のボクと森人のきみとじゃ、どこにも安心できる場所なんてない」
「それもだいじょぶ! ひとつ心当たりがあるんだよね〜」
 わたしについてきて! なんて言って、リーダーシップを振りかざすアトリである。
 どこに行くのかさっぱりだが、イスカは肩をすくめながらもついていくしかない。
 その背中に純白の羽根を持つアトリは、心なしか足取りも軽やかだ。一方、整備なんてされてやしない、でこぼこの根を踏み越えながら、イスカは人知れず熱いため息をつく。
 ……機族は極論、栄養を摂らずとも問題ない。しかし食事とは別に必要になるものがある。それはヒトがヒトである以上、生きていくためになくてはならない神秘の燃料――
「……お腹すいたな」
 その時、イスカの虚ろな瞳には、アトリの真っ白なうなじが映り込んでいた。



〈つづく〉


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