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作品名:魔法使いは星月夜を抱く 作者:alone

第10回 2−5

「魔法は便利でさまざまな願いを叶えてくれる力がある。けれど、そうだからこそ、その力を悪用しようとする人間もいてしまう。
 ずっと昔、見た者を一種の催眠状態に陥らせて思いのままに操ることができるという図柄を発見した人がいたの。その人はどういう図柄かは明かさなかったけれど、存在することを知った人たちは、その図柄がどういうものかを突き止めようとした。
 実験を重ね、試行錯誤を行い、今ではある程度の催眠効果を持つ図柄がつくりだされてしまった。そしてその図柄を悪用する人間も現れてしまった」
 ルリレラは黙ってクローディレーヌの言葉に聞き入っていた。
「私たちアルケニムス教団はそういった力を管理する組織でもあって、悪用されていないか調査する役割を担っているの。そしてもし悪用が確認されれば、一刻も早い事態の収拾が求められる」
「それじゃあ、最後に映ったあの変な絵は……」
「おそらく私が追っている例の図柄でしょうね」
 クローディレーヌはどこを見るでもなくその場で考え込んでいた。これからどうするべきかを考えている様子だ。それを見てルリレラは事態の深刻さを感じつつも、申し出る。
「クローディーさん、お願いがあります。私も調査に参加させてください!」
 知ってしまった今、ルリレラは知らなかったで済ませることはできないと考えて申し出ていた。興味関心といった浮ついた自己満足的な動機ではなく、純粋に、警防隊らしく人々の生活と安全を守りたいという一心から。
 ルリレラの突然の申し出に、クローディレーヌは少し驚きの表情を浮かべたが、すぐに柔らかな笑みを湛えて答えた。
「私もルリレラが協力してくれるのなら嬉しいよ」
「ありがとうございます!」
 そのとき、突如として凄まじい爆発音が轟き、建物全体が震えた。部屋の外では驚きの声が方々から上がり、何事だと喚き騒ぎたて、慌てふためく物音が地鳴りのように荒々しく響いた。
「いったい何が!」
「分からない。でも嫌な予感がする」
 扉に近づくと慌ただしい足音が続々と外に出ていく気配がした。怒鳴り声に似た大声で言葉が交わされている。
「留置場で爆発!」「襲撃されたようです」
「容疑者が連れ去られました!」「犯人は現在逃走中!」
「全員出動!」「絶対に逃がすな!」
 突如発生した竜巻が駆け抜けていったように騒々しい物音は遠のいていく。あとに残された静けさは人の気配を伴わず、無人になったことを物語っていた。
「とりあえずは誰にも見つからず出て行けそうね」
「でも容疑者が連れ去られたって、どうしましょう?」
「彼のことはもっと詳しく調べたかったけれど、今となってはもうどうしようもないわね。けれど連れ去ったということは何かしら関係のある者の犯行だと思う。まずは襲撃されたっていう留置場を見て、犯人の痕跡を探しましょう」


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