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作品名:除獣怪 ―ノケモノノケ― 水行区編 作者:ススム

第5回 第三暦・陽 人の形
 ついにこのときがやってきた。
 今日をもって、丸々一か月続いた地獄の日々から俺はようやく解放されるのだ。
「準備はできましたか、お兄様?」
「おう」
 階下からの呼び掛けに俺は意気揚々と答える。
 屋敷の入口に向かえば千和は待ちきれないとばかりに、足をぷらぷらと振っていた。
「お兄様っ、早く早く!」
 年以上に幼いその仕草から見て、余程楽しみにしているのだろう。
 これから乾座(いぬいざ)で行われる演武芸(えんぶげい)大会を。
 まあ観るだけの千和は気楽なものだろうが、参加する俺としては楽もあれば苦もあった。というか、九割九分が苦だ。
 もちろん、俺は自発的にこんなものに出たがる酔狂ではない。
 それというのも、今から一か月前に城門守護四士・焔暦寺楠永との勝負に負けた結果である。
 あのとき、楠永は俺にこう言った。
「水行区と金行区の境に、乾座という劇場があってね。来月、そこで演武芸大会という大会が開かれるんだ。
 名前の通りに水行区の町人たちが演芸を、金行区の侍たちが武芸を、それぞれ披露して優勝を決めるのさ。
 僕の頼みはね、十字郎くん。君にその大会に参加して欲しいんだ。
 大会の参加団体の一つに、亥の処に住んでいる萩(はぎ)という家があって、優勝を目指して懸命に稽古に励んでいたらしい。
 それが不幸なことに、少し前に水行区で起きた災害で旦那さんが腕の骨を折ってしまったんだそうだ。
 このままでは棄権するしかないということで、僕に代理で参加して欲しいと奥さんから頼まれていたんだけど。
 知っての通り僕は火行区を任されている城門守護四士。
 立場的にあまり時間は取れないし、水行区と金行区の住人の交流に割り込むのも、できれば控えたかったんだ。
 でも萩家の奥さんも困っているようだったしどうしたものか……と、そこにちょうどよく君が現れた。
 君は金行区のお侍で、それも戌の処なら会場の乾座にも、萩家のある亥の処にも近い。まさに打ってつけというわけだよ」
 というわけで、俺は次の日から萩家の人たちに混じって稽古に参加することとなった。
 楠永が来ることを期待していた彼らの落胆はありありと見て取れて、俺は初日から肩身の狭い思いをする。
 さらに優勝を目指すというだけあって毎日の稽古量も尋常ではなく、俺に対しても容赦のない指導がされた。 
 何とかその地獄に耐え抜くうちに、気付けば俺が温応に戻ってきたころには満開だった桜はすっかり散り、上を見れば青空を鯉が泳いでいた。
 そして大会当日を迎えたのである。
 後は最終稽古と本番の二回を残すのみ。それが終われば、完全に自由だ!
 演武芸大会は昼の部と夜の部に分かれており、萩家は夜の部で出ることになっている。
 ただし、本番前の最終稽古は昼の部が終わった後に行われるので、結局は昼の部の時点で会場入りする必要があるのだ。
 乾座に到着すると、俺は楽屋裏に通じる裏口へ、千和は客席に通じる正面入り口へとそれぞれ別れる。
「それではお兄様、頑張ってくださいね」
「…………ああ」
 満面の笑みの千和に対して、俺は今更になって憂鬱になり始めていた。
 裏口に回ると、辺りをきょろきょろと見回す中年男がいた。
 出っ歯と飛び出した無精ひげから、鼠を思わせる風貌だ。
 探し物をしているか待ち人でもいるのだろうと、俺は気にせず通り過ぎた。
 楽屋裏に入り萩家の控室を目指す。
 その途中、意外な人物に出くわした。
「あれ? ちわわちゃんの兄貴の……十字郎さんだっけ?」
 彦田家次男――彦田浮悌(うきやす)である。
「ああ、彦田家の……」
「浮悌でいいぜ。何せあんたは俺の将来の義兄になる人かもしれないからな」
 それは絶対にないが、とりあえず本人がいいというのならそう呼ばせてもらうことにしよう。
「浮悌もこの大会に参加してたのか」
「ああ、うちは毎年のことだ。今年でこの大会は第十回だから、ガキのころからの常連だよ。十字郎さんも参加してたんだな。あれ? でも演目に狛走家の名前はなかったと思うけど」
「俺は萩家ってところに混じって参加するからな」
 浮悌は俺の言葉に目を丸くする。
「名門の狛走家の長男が? 何でわざわざ他所に混じるんだよ?」
「色々あってな。代理の代理で出ることになったんだ」
 俺は楠永との勝負に負けたこと、そのときの約束で、楠永が代理を頼まれていた萩家の役者を引き受けたことを教えた。
「なるほどね。いや、実は楠永の奴がこの大会に出るらしいってのを聞いて、今探してたところだったのさ」
「何か用があったのか?」
 俺からの問いに浮悌は得意気に答える。
「用っていうか、前々からあいつとはどちらが真のもてる男か決着をつけたいと思っててよ。どうやら俺に会うのが怖くて逃げたらしいな」
「いや、勝負するまでもねえだろ……」
 小声で呟いたつもりだったが、思いのほか耳がよかったのか俺の言葉は浮悌にしっかりと届いていた。
「十字郎さんもそう思うか。確かに俺の方がもてるに決まってるもんな」
 何という前向き解釈。
 こいつ、もしかして結構いい奴なんじゃないか?
 初対面の印象では決して高くなかった俺の浮悌に対する好感度が、ここにきて急上昇する。
 それでも妹をやる気はないがな。
「ところで、十字郎さんがいるってことはちわわちゃんも来てるのか?」
 俺の心を読み取ったかのように、浮悌は千和を話題にする。
「ああ、客席にいる。かなり楽しみにしてたみたいだぜ」
「おお! そんなに俺に期待してくれちゃってんのか。こりゃあやる気が漲ってくるぜ。じゃ、俺はそろそろいかねえとやばいんでな。失礼するぜ。よっしゃあ、やってやるぜ!」
 浮悌はそう言うと、舞台袖の方へと駆けて行った。
 まあ、元気がいいのはいいことだ。
 今から出番ってことは彦田家は昼の部での出場らしい。 
 どんなものなのか少し気になったので、後で千和に感想を聞こうと思った。
 改めて萩家の控室を探していると、またも正面から人が歩いてくる。
 三十路くらいと思われる女性(超絶美人)だった。
 これまた綺麗な顔の女の子の人形を抱えているのから考えると、人形師のようだ。
 かなり精巧な絡繰人形で、繋がっている糸が見えなければ本物としか思えなかっただろう。
 そのとき、俺と彼女の目が合った。
 じろじろ見過ぎてしまったかと、俺は相手が美人なこともあってやや気後れする。
 人形師の女性は、しかし物腰柔らかくにこやかに微笑んだ。
「こんにちは」
「こ、こんにちは」
 俺たちは通路途中で足を止めて挨拶を交わす。
 自然、会話を続ける雰囲気となっていた。
「あなたも大会の参加者ですよね。夜の部ですか?」
「ああ。代理の代理で、萩家と一緒に出る狛走十字郎だ」
「私は市松竹恵(いちまつ たけえ)。人形師です。私も夜の部で出ることになっているんです」
「人形師……やっぱり。その人形、まるで生きてるみたいで驚いた」
 我ながら月並みな褒め言葉だな。
 竹恵さんはこんなこと言われ慣れているのか、返事も流暢だった。
「ありがとうございます。この子は私の自慢の人形なんです」
 それから、お互いに頑張ろうと言い合って俺たちは別れる。
 市松竹恵さんか。
 この大会、随分と色んな人たちが参加しているらしい。
 できることなら、俺も観る側に回りたかったぜ。千和が羨ましい。 
 俺は己の運命を呪いながら、萩家の控室にたどり着いた。
 浮悌や竹恵さんと話していて少し遅れたが、稽古は昼の部が終わってからだから問題はないだろう。
 そんな俺の楽観を、萩家の奥さんの怒声が吹き飛ばした。
「遅いっ! 何をしていたの!?」
「い、いや、遅れたのは悪かったけど、そんなに大声出さなくても……まだ時間はあるだろ?」
「はあ? あなたね、稽古はここでだってできるんですよ! 時間なんていくらあっても足りないわよ!!」
 嘘……だろ。何てこった。まさか、地獄はまだ続くというのか?
 その後は控室で徹底的にしごかれて、予定通りに昼の部終演後、舞台での最終稽古も意地で乗り切る。
 それでも夜の部が始まるまでには時間があるので、本番ぎりぎりまで稽古が続くのではと恐怖していたが……。
 最終稽古は正真正銘の最後ということで、さすがに残りの時間は心と体を休ませるよう言われた。
 はあ。まじで死ぬかと思った。何とか生き残れた。
 俺は息も絶え絶えに劇場を出る。
 すると、入るときにもいた鼠みたいな中年男が、未だにうろついていた。
「…………なあ」
 さすがに不審に思って、俺はその男に声をかける。
「え、あ、は、はい?」
 鼠似の男は俺を見て予想以上に困惑する。
「お前、朝からずっといるけどこの劇場に何か用があるのか?」
「い、いえ、用というか……あの……し、失礼します!」
 慌てて踵を返すと、転びかけたりしながら危なっかしい足取りで逃げていく鼠似の男。
 怪しい奴ではあったが、何か人畜無害な臭いもする男だったので、俺は見なかったことにしようと決めた。
 まあ、本音は疲れていて一刻も早く休みたい以外にはないんだけどな。
 屋敷に着くと、先に戻ってきていた千和が俺を見るなり昼の部の感想を聞かせてくれた。
 どうやら期待に十分応えてくれる劇ばかりだったようだ。
 俺は聞こうと思っていた劇の感想を求めた。
「そういえば彦田家も参加してたらしいけど、どんな感じだったんだ?」
 喜色満面だった千和の顔が、少し困惑したものになる。
「どんなと言われますと……猿芝居といった感じで」
「猿芝居? どっちの意味だ?」
「ひどい芝居という意味で。いえ、趣向自体は大変よかったんですのよ。真剣を使っていて迫力がありましたし」
 なるほど、面白そうだな。
 なら一体何が問題だったんだろうか? いや、予想はついてんだけど。
「錦斗雲様や奥方様の演技は素晴らしかったんですが、浮悌様が……」
 やっぱりな。
「浮悌がどうしたんだ?」
「何度も科白を間違えてらしたり、果ては舞台から落ちられたり。意気込みがあるのは痛いほどに伝わったのですけれど」
 どうやら緊張のし過ぎでやる気が空回ってしまったらしい。
 哀れ浮悌。そんなお前が俺は好きだ。
「ともかくとても楽しめましたわ。できることなら雉ノ丞(きじのじょう)様と一緒に観劇したかったのですが、その代わりお隣の席の方とお友達になれましたし」
「そいつはよかったな」
 雉ノ丞とやらがいないのと、千和に友達ができたことと、二つの意味で俺は言った。
「ええ。夜の部でも一緒に観ようと約束しましたわ。ですから期待していますわよ、お兄様。私に恥をかかせないでくださいね」
「まあ、頑張らせてもらうよ」
 嫌だ嫌だと言ってはいても、曲がりなりにも一か月間俺なりに努力してきたんだ。
 代理の代理ではあるが一応は萩家の役者の一人として、最高の劇にしたいという気持ちも自然と芽生えていた。
 そして、あっという間に夜の部開始の時間が迫る。
 朝と同じように千和と二人で屋敷を出て、劇場の入口で別れて楽屋裏に回る。
 違うこととといえば、あの鼠似の男が張り付いていないことくらいだ。
 今度は誰と話すこともなくまっすぐに控室へ。
 早めに着いたつもりだったが、すでに萩家の役者のほとんどが揃っていた。
 皆それぞれに集中力を高めている様子である。
 手持無沙汰な俺は、部屋の隅に積まれている冊子の山から一つを抜き取る。それはこの演武芸大会の演目表だった。
 今までは自分の役をこなすのに精一杯だったが、浮悌や竹恵さんと話すことで、俺は今更ながらに他の役者にも興味を持ち始めていた。
 夜の部の参加団体が載っているところまで紙を繰る。
 夜の部に参加するのは全部で四組。
 俺たち萩家の雅楽・市松竹恵さんの人形劇の他に、紅葉(もみじ)家の獅子舞・牡丹(ぼたん)家の能。
 順番は牡丹家・紅葉家・萩家・市松家で、一回の公演はおよそ一時間。紅葉家と萩家の間に三十分の休憩がある。
 と、読み進めていき最後に大会の要項の欄に目が留まる。
「えっ!?」
 思わず声を上げてしまい、萩家の方々の集中を乱してしまったが、そんなことは気にならないほど衝撃的な事実がそこには書かれていた。
 この大会で優勝した団体は、夏に将軍様の御前で劇を披露できるとあるのだ。
 つまり、あの門の内側――親父が行ったきり戻ってこないという土行区・温応城に行くことができる。
 そういえば、彦田家当主の錦斗雲様。
 あの人は親父が将軍様に招かれたことを妬んでいると噂されるほど、この町の中心に行きたがっていた。
 彦田家が毎年この大会に参加しているのは、これを狙ってのことに違いない。
 待てよ。確か親父が消息を絶ったのは一年前だから、昨年の優勝者に聞けば何か分かるかもしれない。
 俺は居ても立っても居られずに、萩家の奥さんの方へ声を飛ばした。
「ちょっと! 去年この大会で優勝したのが誰なのか教えてくれないか!?」
 萩家の奥さんは俺の顔を見て露骨に嫌そうな顔をする。
 まあ、周りがこれからの劇に備える中で、去年の話なんかを持ち出す奴にいい思いはしないだろう。
 俺が楠永からの紹介で来ていなければ、答えてさえくれなかったかもしれない。
「昨年度の優勝者は市松竹恵という、人形師ですよ。でも、今年の彼女は敵ではないでしょう。去年の優勝は所詮まぐれ。
 敵は過去最多優勝の紅葉家と牡丹家の二つのみ。今年こそ、彼女たちに並び立たなければなりません」
 そんな風に俺が生んだ微妙な空気を、役者たちを鼓舞する流れに変えた。
 が、俺はまたもそれに水を差す。
「あのさ」
「…………何でしょうか?」
「少し出たいんだけどいいか? 出番までには戻るから」
「あなた本当にっ……もう、いいです。ご自由に」
 何とも居心地の悪い(俺のせいだが)控室から抜け出して、俺は竹恵さんの控室へ向かう。
「市松竹恵様控え……ここだな」
 確認してから俺は竹恵さんの名前を呼んだ。
「こんなときにすみません。昼に話した狛走十字郎だけど、少し話がある」
 部屋の中からは返事がなかった。しかし、人の気配はする。
 悪いと思いながらも、俺は控室の戸を開けた。
 当然ながら竹恵さんの姿はない。つまりは無人である。
 では気配の正体が何だったのかいえば、五体の等身大人形だった。
 どれも見事なものだったが造りかけらしく、腕だったり髪だったり服だったり、とにかく何かしらが欠けている。
 いないのならば出直そうと思った矢先、その内の一体に俺の目は奪われる。
 それは頭のない女性の人形だった。
 その人形が気になったのは、誰かに似ていると感じたからだ。
 しかし、肝心の顔がないのでそれが誰なのか分からない。
 今しがた、俺の脳裏に映り込んだあれは一体何者だったのか?
 その答えが欲しくて、俺は部屋に上がり込み女性の人形に近付く。
 すると、何と向こうからもこちらに近寄り――俺の首を締め付けてきた!
「なっ……!?」
 俺は混乱しつつも、必死で抵抗し女性の人形を引き剥がす。
 そのとき、俺の手が人形が動く謎の正体を感知する。
 糸だ。この人形には目に見えないほどの細い糸が繋がっている。
 糸は俺の頭上を越して後ろへと流れていた。
 俺の視線はそれをたどって背後へと向かい、そして人形師・市松竹恵の姿を捉えた。
「竹恵……さん?」
「ここで何をしているんですか?」
 昼に会ったときとは別人のような険しい顔つき。
「あ、勝手に部屋に入って悪かった。あまりに綺麗な人形だったもんで、つい」
 俺は慌てて弁明しようとするが、竹恵さんは聞く耳を持とうとしない。
「ここに二十体ほどの人形が置いてあったはずです。どこに隠しました?」
「隠した? いやいや、俺じゃない。そんな数の人形見てもいない」
「問答無用! 私の人形たちをどこへやったのか、今すぐ教えなさい!!」
 竹恵さんが腕を振り上げ振り下ろすのに合わせて、残り四体の人形たちも動き出し一斉に俺を襲う。
 俺は反射的に抜刀し、峰打ちでやり過ごしながら誤解を解くことに努めた。
「ちょっと待ってくれ。俺は本当に何も知らない。俺が来たときは、もうこの五体しかなかったんだ」
「私が目を離していた隙に人形が消えていた。そして、部屋には変な目で残った人形を見つめるあなた。誰がやったかは明白です」
 確かに俺が怪しいことは確かだ。それは認めよう。
 だが、断じて変な目で見ていたりはしなかった。それだけは認めるわけにはいかない。
 とにかく説得は無駄らしい。その上、竹恵さんの操る人形はかなり手強く、片手間でどうにかなる相手ではなかった。
 俺は本腰を据えて戦闘に意識を切り替える。
 竹恵さんの商売道具である人形を壊すわけにはいかないだろう。竹恵さん本人を狙うというのもなしだ。
 そうなると、狙いは必然的にその間の糸になる。
 糸さえ斬れば人形を動かせない。竹恵さんをこれ以上刺激せずに人形たちを無力化するには最適の方法のはずだ。
 俺は早速、突進してきた人形の一体を掻い潜り、その背後に回り刀を振り下ろす。
 目論み通りに糸の斬れた人形は畳に伏せたまま静止する。
 続けて、二体目の人形の糸も斬ることに成功した。この調子で三体目に移ろうとした、そのときだった。
 突如、視覚外からの攻撃が俺を襲う。
「がっ……!」
 攻撃そのものよりも意識の外から狙われたことで、俺は大きく動揺した。
 その隙に俺の手足は三体の人形に掴まれたかと思えば、大した抵抗もできないまま体を反転させられる。
 さすがは人形師。人体の構造は熟知しているということか。
 そんな風に感心するが、俺が竹恵さんの人形師としての神髄を知るのは次の瞬間だった。
 振り向かされた視線の先には、すでに糸を斬ったはずの一体目の人形が立ち上がっていたのである。
 衝撃の光景に目を見開く俺に、それを上回る一撃が去来する。
「ぐぅ――げほっげほっ! に、人形のくせに……こんな腰の入った拳打ってくんじゃねえよ」
 手も足も封じられた俺には、自分でも意味不明な文句を吐くので精一杯だった。
 いや待て。確かさっきまでは手足のうち一本は自由だったはず。
 気付けば、二体目の人形もちゃっかり俺の拘束に加わっていた。
 そいつをよく見ることで、俺は斬った糸が再び人形に繋がれていることを確かめる。
 竹恵さんは俺と戦闘を展開しながら、糸の再接続をも行っていたのだ。
 驚くまでの早業。これなら俺の勝ち筋は、五体同時に糸を斬る他にない。
「これで終わりです!」
 竹恵さんの勝利を確信した叫びが響く。
 と同時に、目前の人形は初撃と同じく俺の首を締め上げてきた。
 その瞬間、俺も勝利を確信する。
「ふぬぅ! おりゃあ!!」
 俺は首の筋肉に思い切り力を込めると、そのまま縦上下に大きく動かした。
 これに竹恵さんは反応できなかったらしく、また糸の強度も追いつかなかった。
 ブチッブチッと汚い音を立てて糸は引き千切れる。
 竹恵さんの動揺が残り四体の人形たちにも反映されたのを感じると、今度は手足に力を込めて一気に前へ突き出す。
 人形たちが俺を掴む力はかなり強い。これもまた、真っ先に悲鳴を上げるのは糸の方だ。
 竹恵さんの敗因。それは俺と五体の人形すべてを繋いでしまったこと。
「まあ、剣士としてこの勝ち方はどうかと思うけどな」
 俺はほとんど役に立たなかった刀を納めながらぼやく。
 竹恵さんを見れば、その長い黒髪を垂らして項垂れていた。
 その様子は、倒れた五体の人形いずれよりも生気が感じられないほどである。
「あ、あの竹恵さん。大丈夫か?」
 まさかどこか怪我をさせてしまったのかと、俺は思わずその場に駆け寄る。
 近付いてみると、竹恵さんはぶつぶつと何事か呟いているのが分かった。
「……め。駄目。もう……もう間に合わない。あの子は……もう」
「た、竹恵さん? 竹恵さん!?」
 その尋常ならざる言動に心が震えながらも、俺は彼女を正気に戻そうと努力する。
「何言ってるんだ? あの子って?」
 竹恵さんは俺の声が届いたのか、ゆっくりと顔を起こした。
 乱れた黒髪は目元や口元にへばりつき、俺の恐怖は一層喚起される。
「あの子……あなたと会ったときに私の持っていた人形……あの人形は、私の娘なんです」
「娘? 本当に人間、だったのか。あの人形は?」
 竹恵さんはこくりと頷いた……かと思ったが、それは再び項垂れただけだった。
「私は人形師としての究極――生きた人形を作りたかった。それは亡くなった夫との夢でもあったから。
 でも、でもでもでも! いくら努力しても、いくら試行錯誤しても、私の人形は動くことも話すことも息をすることもなかった。
 演武芸大会で優勝しても! どれだけ周りから称賛されても! 私にとって理想とは程遠かった!!」
 いきなり始まった竹恵さんの嘆きの怨嗟。 
 明らかに俺を相手として話していないが、何も言わずに聞くことにした。
 きっと俺が人形の糸を切ったとき、竹恵さんの中でも何かが切れたのだ。
 ならば、竹恵さんがこうなった原因は俺にある。
 その償いをするためには、これらの言葉を受け止めるべきだ。そう思った。
「そしてあるとき私は気付いたのです。人形と人間の間には、二つを隔てる壁があると。
 その壁は決して厚くはない。けれど、確かに存在するものなのです。
 私の人形が動かないのは、話さないのは、息をしないのは、その壁が見えないから。その一点だけが問題なのだと。
 そこで私は考えました。人形を人間に近付けるだけでは見えなかった壁も、人間を人形に近付けることで見えてくるのではないかと」
 正直、竹恵さんの話で理解できるのは『人形師として生きた人形を作りたい』という部分だけで、後は狂っているとしか思えなかった。
 だが、その部分だけでも分かってしまえば、竹恵さんの思いの強さを否定することはできない。
「でも……私のそんな馬鹿な考えのせいで……娘は……娘は」
「つまり、あなたの人形を盗んだ奴が、娘さんも人形と勘違いして一緒に誘拐した。そういうことだな?」
 竹恵さんは今度ははっきりと俺の言葉に頷いた。
「もう駄目です。あの子はたとえ誘拐されたって、身動き一つ取らず声一つ立てず呼吸一つさえ吐かない。
 そして、殺されるときにだって。犯人が人形を壊しているのなら、あの子も一緒に死んでいるでしょう。
 そうじゃなくてもあの子が人間だと分かれば、きっと抵抗しないままに殺されてしまっているはずです」
 ようやく竹恵さんがあそこまで取り乱し、いきなり俺を攻撃した異常な行動と繋がった。
 そして、そうと分かればやることは一つだ。
「ふざけんな! 親がそんな簡単に、子供のことを諦めるんじゃねえ!!」
 俺は怒鳴った。心の奥には助けてくれなかった親父のことがあった。
「自分が間違っていたことに気付いたんだろ? 娘を苦しめていたことが分かったんだろ?
 だったら、次に何をすればいいかなんて決まってるじゃねえか。助けるために全力で、動け!」
 竹恵さんは再度顔を上げて俺の目を見ると、やがて自分の力で立ち上がる。
「そう……そうですね。その通りです。あなたの言う通り。私はまた、間違いを犯すところでした」
 やっと竹恵さんに生気が宿る。
 俺への疑念も同時になくなったようで、昼に会ったときと同じように、いやあのとき以上に美しい微笑みと共に言った。
「ありがとうございます、十字郎さん」
 人形を盗難、そして竹恵さんの娘を誘拐した犯人を、俺たちは一緒に突き止めることにした。
 竹恵さんが部屋を空けた時間を確認すると、ちょうど牡丹家から紅葉家に劇が移る前後十五分ほどということだ。
 つまり、人形を盗み出すまでにかけられる時間は最大で三十分。
「盗まれた人形が娘さんも含めて二十体。そのすべてが等身大なんだよな? 
 とてもじゃないが単独じゃ不可能だな。せめて人形の半分――十人弱は人数がいるだろう」
「問題はそれだけではありません。二十体もの人形を運び出すのに、そのままでは目立ち過ぎます。
 きっと人形を隠せて、それでいて一気に運ぶための道具を使ったに違いありません」
 複数犯で道具も用意していたことを考えると、当たり前だが衝動的ではなく計画的犯行のようだ。
「ちなみに、竹恵さんはその人形たちをどうやって運んできたんだ?」
「三日前からこの劇場に置かせてもらっていました。その際は人を雇って運び込んでもらいました」
「三日前から……か」
 ならば、盗む機会はもっと前からあったことになるが、なぜ劇当日なんだ?
 劇当日だから……か? 
「心当たりは? あまり時間がない以上、ある程度は当て推量で考えざるをえない」
「牡丹家と紅葉家……それから萩家の方々でしょうか。去年、私がこの大会で優勝したとき、かなりひどいことを言われたので」
 犯人がその三家のいずれかだとすれば、目的は竹恵さんを劇に出られないようにすること。
 それならば三日前から盗む機会がありながら、劇直前を狙ったこととの辻褄も合う。よし、この線で考えていくとしよう。
 俺は萩家の控室から持ってきていた演目表を開く。
 牡丹家。劇が終わってからの十五分間に時間がある。しかし、彼らの人数は四人と少ない。人形を運ぶ道具も持っていないようだ。
 紅葉家。劇が始まるまでの十五分間に時間がある。人数は六人だが、彼らの演目は獅子舞。その包みを使えば人形を一気に運べるかもしれない。
 萩家。ずっと控室にいたのを俺が見ているため時間は一切ない。人数こそ三十人と大所帯だが、道具の方もなさそうだ。
 この中だと一番疑わしいのは紅葉家か?
 そう思って、俺はこの考えを口にしてみるが竹恵さんは浮かない表情をした。
「確かに一番可能性はありそうですけど、やっぱり六人という人数は二十体の人形を一気に運ぶにはちょっと少ないと思います。
 何回かに分けて運ぶとなると、今度は十五分という時間が障害です。
 次に劇を控えていることを考えると、実際にかけられる時間はもっと少ないでしょうし」
「なら牡丹家が実は何かの道具を隠し持っていて……も駄目か。人数が四人だと十五分どころか三十分丸々あっても厳しそうだ」
「十字郎さんを疑うわけではないんですけど、萩家の方々がずっと控室にいたのは確かなんですか?」
「どういうことだ?」
「いえ、もしも萩家の方の中から十人ほど抜け出して、紅葉家の獅子舞を盗み出せば……と思いまして」
 言われて、俺は思い返してみるが結果は竹恵さんの考えを否定するものだった。
「そりゃあ、ずっと見ていたわけじゃないし何人か出入りもしていたとは思うけど。
 さすがに十人も一変にいなくなれば覚えていると思うぜ。
 俺が見ている限りは、役者のほとんどは最初の劇が始まる前からずっと……」
「そうですか。そうなると犯人は別にいるんでしょうか」
 竹恵さんはそんな風に思考を次へと進めていたが、当の俺は今の自分自身の言葉に引っ掛かりを覚えていた。
 役者の『ほとんど』が揃っていた。そうだ、三十人もいちいち数えて確認なんてしていられない。
 例えば、最初から二人いなかったとしても気付けるはずがない。
 それから、一人ずつ出ていけばもう二人減っても気にならない。
 さらに、そこから何人か出入りして全体の人数をあやふやにしていけば、三十人から六人減っていても――。
「分かった! 犯人が!! やっぱりあの三家だったんだ」
「え? 本当ですか? 三家って、牡丹家ですか? 紅葉家ですか? 萩家ですか?」
「全部だよ。三家が共犯だったんだ」
 俺は竹恵さんに説明する。
 まずは萩家が人数を上下させて俺の認識を歪めたこと。
「なるほど。確かに、そうやれば六人くらいまでなら気付かないかもしれません。元々、十字郎さんは萩家の役者たちに関心が薄いようですし」
「そう。そうやって、まずは抜け出した四人が牡丹家の劇に出る」
「あっ!」
 この言葉で竹恵さんも真実にたどりついたようだ。
 俺は語調を強めて続けていく。
「その間、牡丹家の四人と紅葉家の六人。合わせて十人は自由に動ける。そして、次の劇を気にする必要もない」
「牡丹家の劇を演じた、その実は萩家の四人に、もう二人の萩家の役者が加わって、その六人で紅葉家の劇を行うからですね」
「そうだ。牡丹家の能も、紅葉家の獅子舞も、役者の顔は観客には見えない。同じ役者が立て続けに演じていても分からない」
 こうして人数は十人。時間は三十分。どちらも十分だ。
 残るは道具。ここまでくれば、獅子舞じゃなくてもいい。もっと適したものを用意してきていたに違いない。
 俺は萩家の奥さんの言葉を思い出す。
『でも、今年の彼女は敵ではないでしょう。去年の優勝は所詮まぐれ。敵は過去最多優勝の紅葉家と牡丹家の二つのみ』
 あれは邪魔な竹恵さんを排除した上で、三家の間で決着をつける。そういう意味だったんだ。 
「十字郎さん! 犯人が分かったのなら、すぐにでも」
「ああ、分かってる。ちょうど時間だしな」
 俺と竹恵さんは萩家の控室に向かう。
 がらり戸を開けて、まずは真っ先に役者たちの人数を確認する。
 二十一、二十二、二十三……二十四人。分かった上で見てみればいつもより大分少ない。
「時間ぎりぎりですよ」
 戻ってきた俺に萩家の奥さんが憎まれ口を叩くが、いつもの勢いがない。
 俺の隣に立つ竹恵さんを見て動揺しているようだ。
「そう言うなよ。ぎりぎりでも間に合っただろ?」
 俺の言動から、すべてがばれていることを悟ったのか、萩家の奥さんはふうと溜息を吐き言った。
「まあ、楠永様から紹介されるだけはあった、ということですか」
「人形はどこです!?」
 竹恵さんが今にも殴りかかりかねない剣幕で怒鳴る。
「子の処の港から、海に捨てているはず。今からじゃ、馬車を使ってもぎりぎりでしょうね」
「行くぞ、竹恵さん!」
 犯人たちに制裁を下すのは後だ。今は人形を、そして竹恵さんの娘を救い出さなければならない。
 それは竹恵さんも重々承知しているのだろう。即座に出口へ走り出す。
 外へ飛び出し辺りを見回すが、馬車なんてこんな夜中に都合よく見つかるはずもない。
 くそっ。やっぱり間に合わなかったのか!?
 それでも諦めず、全力で駆け出そうとした――そのとき。
 闇の奥から現れたのは二つの眼。やがて、その眼の持ち主は黒い衣を着ているのだと分かる。
「お、お前はあのときのっ!」
 何でこいつがこんなところに?
「まさか、お前も萩家の奴らに協力していたのか?」
「………………」
 黒装束は相も変わらず沈黙を崩さない。
 俺の中で、初めてこいつと出会ったときの恐怖が呼び起こされる。
 それを必死で取り払おうと、俺は虚勢を張って大声を出す。
「な、何とか言いやがれ!? お前、天賀御庭番とかいう幕府の手下なんだろ!? やっぱり、幕府の連中はよからぬことを企んで――」
 俺が言えたのはそこまでだった。
 黒装束は目にも止まらぬ速さで俺の間合いを侵略すると、あの苦無を首元へ突きつけていた。
 俺はあのときと同じように体が震え出し、首の皮が苦無の刃によって薄く切れる。
「俺は」
 そのとき、あの黒装束がついに口を開いた。
 といっても覆面越しであり、おそらくは意識して声音を変えているようで、地声とは程遠かった。
 ただ、そこに込められた怒りの念はあらん限りに感じ取れる。
「俺は地賀(ちが)忍軍の琥珀(こはく)。天賀の連中などと一緒にするな」
「地賀……琥珀」
 俺は黒装束の名を呼ぶ。
 それに満足したわけでもないだろうが、琥珀はそのまま背中を見せると闇の中に消える。
「ま、待てっ!」
「待って」
 すぐにそれを追おうとした俺を、さらに静止する声が聞こえる。
 だが、この場にいるのは俺以外には竹恵さんだけのはずだ。
 しかし、今のは明らかに竹恵さんの声ではない。もっと幼い女の子の声。
「待って。あの人は、悪い人じゃ……ないの」
 声のした方にあったのは荷台と、その上に積まれた大量の人形の山。
 その中で、最も幼く最も美しい人形が起き上がった。
 彼女はこちらへ歩きながら、懸命に声を出し、必死で息をしていた。
 明るい昼の通路では糸があるだけで人形に見えた少女が、暗い夜の外路なのに今ではもう人間にしか見えない。
「う、梅子(うめこ)……あなた声を」
 母が娘の名前を呼ぶ。娘はそれに答える。
「うん。あの黒い人がね、助けて、くれて。あっ、ごめんなさい。わたし……」
 慌てて口を噤み心を閉ざそうとした梅子を、竹恵さんは走り寄って抱きしめた。
「いいの。もういいのよ、梅子。お母さんが悪かったの。ごめんね。ごめん……なさい」
「お母さん? うっ……ひっく、うわあああああああん」
 静かに涙を零した竹恵さんを見て、釣られるように梅子は大粒の涙を流し出す。
 二人はそれまで閉じ込めていた感情を、その涙に込めて流し続けた。
 それも押し静まるころになって、劇場の方から牡丹家・紅葉家・萩家の失格を告げる案内が聞こえてくる。
「そうだ。早く劇場に戻らねえと、あなたたちも失格に……」
 俺のそんな心配は、しかし今の彼女たちには無用で、おまけに無粋だった。
「いえ、いいんです。私たちは来年、母娘で揃って出て優勝しますから」
 泣き腫らした目を細めながら竹恵さんは言った。 
「十字郎さんも、よければ来年は代理ではなくご家族の方と出てみませんか?」
 家族? 千和と一緒にか? 
 想像してみて、俺の体に悪寒が走る。
「ああ、うん。稽古中に死ななかったらな……」
 俺の返答に市松母娘は意味が分からなかったのか、揃って首を傾げていた。
 そして、やがて市松家の失格と今大会の優勝者が発表された。残念ながら、それは彦田家ではなかったが。
 そうだ。優勝者と聞いて、俺は竹恵さんを訪ねた理由を思い出した。
「なあ、少し聞きたいんだけど。俺の親父、狛走一黙斎について――」

                       ◆

 後日、俺は代理を務めた者の義務として楠永に事の顛末を話した。
 楠永の感想は一言。
「そうなんだ。思ったよりも大変だったみたいだね」
 それを聞いて、俺の推測は確信に至る。
「やっぱりお前、萩家の奥さんがやろうとしていることが分かってたんじゃないのか?」
「何をするかまでは分からなかったけど、何かをするだろうことは分かっていたよ。そういう目をしていたからね」
「………………」
 ちなみに、萩家の証言によれば旦那さんの骨折はやはり仮病。
 楠永が入ればまず間違いなく優勝できるため、その場合は計画を中止して残りの二家を出し抜くつもりだったらしい。
 ところが、実際に来たのは芸術の『げ』の字も解さない犬侍(誰がだこの野郎)だったので、予定通りに計画を実行したということだ。
 俺が思うに、楠永はきっと真実のかなり深いところまで見通していたのだろう。
 自分が出場すれば萩家を裁くことができない。だから俺を代理に立て、萩家に罪を犯させて捕まえられるようにした。
 もしもこの考えが当たっているのだとすれば、今回の件で最も残酷だった心持たぬ人形は、この焔暦寺楠永なのかもしれない。
 しかし、楠永も俺を利用するばかりではなく、しっかりと見返りも用意してくれていた。
 俺を市松竹恵に会わせることで、遠回しに親父のことを教えてくれたのだ。
 あの質問に対して、竹恵さんはこう言った。
『十字郎さんの父・狛走一黙斎様は、将軍様の懐刀として温応城中央門・麒麟橋の守護に就いています』
 それを聞いて、俺は一つの決心を定めたのだ。
 これを思い付くことができたのも、ある意味では楠永のおかげである。
 だから千和の次にこの男に伝えたいというのもあって、今日はここに来たのだ。
「楠永、今回の件で俺はあることを始めることにした。城門守護四士の世話にもなるだろうから、伝えておこうと思ってな」
「分かっていたよ、そういう目をしていたから。それで? あることって?」
「代行屋だ」
 それはかつて親父が行っていた仕事。
 今では親父の私室で埃を被っている看板を、俺の手でもう一度、狛走家の誇りに戻そうと誓ったのだ。
 きっと、そうすることで親父について知ることができる。親父に近付けると考えて。


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