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作品名:時空流離譚 作者:ススム

第2回 垂涎の玉 テーマ【秘宝】
 君はラムネに似ているね。
 くびれた体に甘い香り。
 透き通ってて爽やかで、けれどちょっぴり刺激的。
 涼しい見た目で僕の火照りを冷ましてくれる。
 弾ける泡が僕の空腹を満たしてくれる。
 いつだって乾いた僕を潤すために、僕に体を傾ける。
 それでもたった一つだけ。
 僕に触らせてくれないね。
 君の中身を全部飲み干し空っぽにしたと思っても、最後にそれだけ残ってる。
 君の中を転がって、カラコロカラコロと音立てる。
 丸くて小さなその玉が、僕は欲しくてたまらない。
 どんなに振り回して逆さに振っても、喉元のところで引っ掛かる。
 その口に舌を差し込んでいくら掻き回してみたとこで、先に当たって引っ込んで僕を焦らすばかり。
 すぐそこにあるのに届かない。
 その事実が僕のもどかしさを加速する。
 結局、僕はこうするしかなかったよ。
 君の中の玉を手に入れるには、君の体を砕き割るしか。
 でもさ。そうして手にしたこの玉は、僕には全く価値がない。
 僕のよだれでベトベトになって、気持ち悪いだけのガラクタだった。
 それでやっと気付いたんだ。
 これは君の中にあったからこそ輝けるものだったんだって。
 君はそれが分かっていたから、僕にこの玉を触らせてくれなかったんだって。
 僕に残ったものは底冷えするような寒気と胃の中から沸き上がってくる何か。
 本当に、君はラムネによく似てる。


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