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作品名:腐蝕ノイローゼ 作者:葦原瑞穂

第11回 二千年の谷
二千年の谷の底へと降りていく

誰も彼もが引き止めようとした

月が三度 強く輝き

その後 静寂が世界の表面を打った



人の 僅かに五十年ばかりの命を賭して

次の世に 未開の地を切り拓こうとする

怖れが人の足を怯ませ

怠惰が人の心を留まらせるが

ただ確実な死を眼前にして

それでも我々は進まなければならないのだ



我々を見送る者達の

無事を祈る唄声が聴こえる

子供達は炎を焚き

開拓者達の魂が帰るべき場所を照らす

女達は物語を編む

谷の底へ消えていく松明の列は

やがて逝く全ての魂が

終焉に迷わぬ為の焔なのだと



今日我々は二千年の谷を降りる

かつて父親達がそうしたように

我々は我々の魂を灰にする



神なき世に 命の焔を絶やさぬ為に


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