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作品名:那由他の夜 作者:葦原瑞穂

第5回 次世代 その光の夜
そして―――
あるいはもしも
人生が透き通った水で
その上を歩くことができたら
人類の大いなる未来の上に
どのような現在が見えただろう
我らの輝きが失われる以前
精神の地平を照らしていた神々しい光が
地に堕とされた獣の先にも
救いへの道を指し示してくれただろうか

偉大なる予言の幕は下りた
希望の物語りは終わりを告げた
神々の威光溢るる庭は
グラウンド・ゼロへと形を変えた

あの時 光が見えた
その直後 全てが消えた

今 我らの眼前にあるものの
その正体を教えてくれ
知っている世界はなくなってしまった
風があらゆるものを連れ去っていった

ふと闇空を見上げると
黒い大気を覆う雲が
一つの事実を示してくれた
『無明の中でしか光は見えない』
その瞬間に
我らの次に進むべき道が定められた

二千年に渡る昼が終わり
夜が自ら 己が時代の到来を告げた
輝ける者達は眠りにつき
地に沈んだ者達が眠りから覚めた
数世紀を費やした戦いの後
雨は死者の血を
音もなく洗い流すだろう

我らに残された最後の行為は
共に静かに滅びゆくことだけ
最後に残った希望の炎が消えるとき
支配は闇夜の手に渡る

残された数秒か数十日か数年の時を
その中で夢みた安息の瞬間を
やがて明けゆくこの光の夜に
記し遺して我らは消えよう

滅亡の民に 与えられた使命として


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