小説&まんが投稿
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:うめちゃんとふしぎなおともだち 第2弾 作者:烏山鉄夫

最終回 第8話 たぬきバスのたび
 うめちゃんのおうちの前で、
 「ドドドドドッ、ドドドドッ・・・・・・」
と言う、低くて大きな音がしました。まどの外を見ると、大きな大きなたぬきが立っていました。
 たぬ兵衛さんが、
 「おや、たぬきバスがきましたよ」
と言って、どんぐりの柄のふろしきを持ってお出かけをしようとするので、うめちゃんもお兄さんの小さなカバンを持ちました。
 たぬきバスは、たぬきが化けた姿で、普段の四本足で立っています。とびらは一つ。横ずわりの長いいすはふかふかしていてすわり心地が良さそう。昔のバスみたいに、運転士と車掌が乗っています。
 たぬきが三匹、りすが二匹、さるが一匹。
 もうすでに、お客が乗っています。
 「このバスは、向こうのたぬきケ原からきたのです。さあ、乗りましょう」
と言って、たぬ兵衛さんが車掌にどんぐりをわたしました。
 車掌のたぬきは、
 「はい、二人ですね。どうぞ」
と言って、葉っぱをくれました。バスのきっぷなのです。
 「うめちゃん。この葉っぱは、なくすとたいへんです。きちんと持っていてください ね」
 「うん、わかった」
 「発車オーライ!」
 車掌の合図で、ぶるぶるとふるえると、
 「ダダダッ」
と、ものすごい音をたてて、ゆっくりと動き出しました。
 「次は、ゆめのなか二丁目。お降りの方はありませんか」
 「降ります!」
と、たぬきがさけびました。そして、ゴミすて場に止まり、そのたぬきが降りていきました。ゴミすて場の目印のかんばんを停留所の標識にしているようです。
 「次は、ねこ町天神前、お降りの方はありませんか」
 うさぎが一羽乗ってきました。
 「おや、君がうめちゃんかい?」
 「うん、そうだよ」
 「次は毛玉町、五本杉ゆきはお乗りかえ」
 路線を進むごとに、色々な動物が乗ったり降りたりをくりかえし、たぬきが化けているせいかあまり速くなく、動物たちにとってはちょうど良い乗り物なのかも知れません。
 うめちゃんは、たぬきバスが気に入ってしまいました。
 大きな山がちかづいてきました。
 「うめちゃん、見てください。あの山が、私たちの住むポンポコ山ですよ」
 「ふうん、丸くてかわいいお山だね」
 「ホホホッ」
 車掌があんないをしました。
 「次は、ポンポコ山入口です」
 しばらく走ると、急にバスが止まりました。
 たぬ兵衛さんがまどから顔を出したので、うめちゃんもまねをして外を見てみました。
 そこには、犬のおじいさんが立っており、
 「おや、ワン兵衛さん。こんにちは」
と、あいさつをすると、
 「おお、たぬ兵衛どんか。お出かけしていたのか。ワンッ!」
と、へんじのつもりかほえました。
 「次は、どんぐり畑」
 「うめちゃん。この奥にほら穴がありまして、そこは医者のくま先生のおうちです。それと、私のどんぐり畑があります」
 「次は、どんぐり池ほとりです」
 「この池には、どじょうとかめが住んでいます。また、私たちと仲良しになったカッパが遊びにきた時に、お宿にすることもあります。それから、昔のことですが、海からくじらさんが遊びにきたことがあるのです」
 「へえ、でも、そのくじらさんはどうやって、お山にきたの?」
 「さあ、私がうまれる前のことですから、よくわからないのです」
 「あれ、そうなの?ざんねんだね」
 山道なので、急な坂となり、バスはますますゆっくり走ります。
 「次は、村役場前」
 ポンポコ山は「村」であり、だからいちばんえらいたぬきは「村長」なのですが、
 「りっぱなひげをはやして、とてもいばっているのです」
と言って、いやな顔をしました。
 「お次は、たぬき学校入口」
 ポンポコ山のたぬきや、ほかの生き物たちがかよう学校で、たぬ兵衛さんたちもここでべんきょうをしたそうです。
 「次は、しゃもじです」
 漢字で書くと社茂寺で、名前はおもしろいけれど、古くてきちんとした寺です。
 「私のいちぞくのおはかもあるので、おぼんになると和尚さんに、ありがたいお経をとなえてもらいます。もちろん、はつもうでもこの寺 にいくのですよ」
 そして、バスは広いところで止まり、お客がぞろぞろと降りていきます。停留所としては、この場所をポンポコ山と呼んでいるみたいです。
 車庫のかわりに木造の家があって、バスはもとのたぬきに化けてひと休みをするようです。
 たぬ兵衛さんのおうちは、そこから少し歩いたところにありました。
 木造だけどとてもりっぱなおやしきで、たぬ兵衛さんはお金持ちなのだとすぐにわかります。きっと、みんながうらやむほどどんぐりをたくさん持っているのでしょう。
 「どうもどうも」
 「お帰りなさい。おや、あなたがうめちゃんかい?」
と、たぬ兵衛さんより小さいけれども、でもうめちゃんから見たらとても大きなたぬきさんが出むかえてくれました。
 「はい、そうです。遊びにきました」
 「そうかい、ゆっくりしていってね。ところで、アンタ、あたいのどんぐりを食べたでしょうっ!」
 「どうも、食べました」
 「もうっ、うめちゃんがくると言うから。とびきりおいしそうなものをしまっておいたと言うのに・・・・・・アンタ、今日のおやつはぬきですからね」
 「どうも、すみません」
 このたぬきさんは、たぬ兵衛さんのおくさんで、「おたぬ」さんです。
 ドドドドッと、ものすごい音がしました。話し声を聞きつけて、子たぬきがろう下をいきおいよく走ってきたのです。
 「ああっ、じいじ。お帰りなさい」
 「おや、ぽん吉にぽん助にぽん子かい?良い子にしていましたか?」
 三匹の子たぬきは、手をあげて、 
 「はいっ」
と、元気よくへんじをしました。
 「ふにゅっ?」
 うめちゃんを見つめて、ふしぎそうな顔をしています。
 「はいはい。私と仲良しになった、うめちゃんですよ。ぽんちゃんたちも、おともだちになれるかな?」
 「子たぬきちゃん、こんにちは」
 「うみちゃんと言うの?仲良ししよう」
 「うん!良いよ」
 「うみちゃんは、どんぐりすき?」
 「うん、すきだよ。ころころって、丸くてかわいいよね」
 「うん・・・・・・今日のおやつは、焼きどんぐりだって、ママが言っていたよ」
 「うわあ、おいしそうだね」
 頭のてっぺんにある耳に、お花のかざりをつけた子たぬきたちのお母さんが、おぼんにのせた焼いたどんぐりを持って、へやに入ってきました。
 「ママ、うみちゃんとおともだちになったよ」
 「あら、良かったわね。うめちゃん、いらっしゃい」
 「こんにちは」
と、あいさつをし、しっぽをふりました。
 子たぬきたちは、どんぐりを見てよだれをたらしています。
 うめちゃんは、こうしてたぬきさんたちといっしょにかんげいのごちそうを食べました。
 やっぱり、うめちゃんには苦かったけれど、うれしくてのこさずに食べました。

 夜になりました。
 お月様もやってきて、たぬきさんたちが、ぽんぽこ、ぽんぽことお腹をたたいてお祭りがはじまりました。
 とても楽しくて、あっというまに空のくらさがうすらいできて、とうとう、
 「コッケコッコー、あっさでっすよお」
と、にわとりのなき声が聞こえてきました。
 うめちゃんは、たぬきさんのおうちに泊まることにしました。


← 前の回  ■ 目次

■ 小説&まんが投稿屋 トップページ
アクセス: 162