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作品名:うめちゃんとふしぎなおともだち 作者:烏山鉄夫

最終回 どんぐりパーティー
うめちゃんは、急いでおさんぽから帰ってきました。
そして、きょろきょろとしました。部屋のすみにたぬきの置き物・・・・・・たぬ兵衛さんたちが立ったままねています。
「ああ、良かった」
「おやおや、うめちゃんですか?お帰りなさい」
「ただいま。あれ、まだきていないのか・・・・・・」
「おやおや、どうしましたか?」
「あのね、たぬ兵衛さん。おさんぽをしていたら、たぬきのおじさんに会ったの。あとでうめのうちにあそびにくるんだって!」
とこうふんした口調で言うと、たぬ兵衛さんもそれを聞いて、
「おやおや、それは丸太山のぽん吉さんですよ。お手紙がきていました。ずいぶん久しぶりですね」
と言って、目を丸くしてにこにことしました。
一時間くらいしてから、うめちゃんの部屋のたぬきさんたちが、カサコソと動き始めました。
「そろそろ、ぽん吉さんがくるころですね」
と、たぬ兵衛さんが言うと、
「そうですね。おや、お外から声が聞こえてきましたよ」
と、ぽんぽこ兵衛さんが嬉しそうにへんじをしました。
うめちゃんも、それとなく聞いていましたので、早くこないかとそわそわしていました。そう言えばおみやげをくれると言っていましたが、一体なにをくれるのか、とても楽しみにしていました。
「ごめんください」
と言って、窓の外に少し大きめの置き物のたぬきさんが立っています。
「おやおや、ぽん吉さん、なつかしいですね。二百五十年ぶりですが、お元気でしたか」
「はい、おかげさまで。おみやげを持ってまいりました。丸太山のどんぐりを練り込んだお団子です」
「ホホホッ、聞いただけでおいしそうですね」
「どうもです。そして、うめちゃんにも兄丸デパートで買っただるま落としならぬ『たぬき落とし』をさしあげます」
たぬ兵衛さんたちは、さっそくぽん吉さんのために、宴会のしたくを始めました。とっくりとさかずきを沢山ならべました。お皿に山盛りのどんぐりやきのこ、なにかの葉で作ったお漬け物が、うめちゃんにもおいしそうに見えて、お腹が空いてきました。
うめちゃんは、ふだんお水をのむのに使うお皿を運んできました。お兄さんがすでにお水を入れておいてくれたので、こぼさないようにゆっくりと運びました。
たぬきさんたちは、それが終わるのを待っていてくれました。そして、宴会が始まりました。
たぬきさんたちは、とっくりの中のお酒をのんでいます。うめちゃんはまだ子犬ですので、お水をゆっくりのみました。どんぐりも初めて食べました。とても苦いけれども、でも食べ出したら止まらなくなる、ふしぎな味がします。
たぬきさんたちは、すっかり酔ってしまいました。最初は、丸太山のたぬきさんのようすを聞いていましたが、そのうち、おいしいどんぐりの食べ方に話題が変わり、ついにお話すらしないで腹づつみを打ち合って、はしゃぎ出しました。
「ほほほっ、それ、どんどこどん!ぽんぽこぽんっ!」
「わはははっ、ぽんぽこぽん。それ、どんどん、ぽこぽこどんっ!」
うめちゃんも、しっぽをずっとふっていたので、ちょっぴりつかれてきました。
うめちゃんは、たぬきさんたちの腹づつみがうるさいので、少しはなれて窓のそばに行きました。そして空を見上げると、きれいな丸いお月様がうかんでいました。お月様も両手で耳をふさいで、
「もう、うるさいなあ」
と言って、おこったように目を閉じていました。
うめちゃんは、お兄さんに聞いたことを思い出しました。
「うめ、お月さんにはね、うさぎが住んでいるんだよ」
うめちゃんは、うさぎさんもおこっているのでは、と心配になりました。
それでうめちゃんは空に向かって、
「お月さん、うさぎさん。たぬきさんの代わりに言います。ごめんなさい」
と、さけんでみました。するとお月様に聞こえたらしく、にこっと笑ってくれました。そして、うすい雲がながれてきてかくれてしまいました。
「ああっ、お月さんも夜だからねるんだ」
うすい雲が、お月様の布団に見えるのです。きっとあたたかい気持ちの良い布団なのでしょう。
さすがにたぬきさんたちもつかれてしまい、お休みをするようです。
ぽん吉さんは、
「くさもち山のたぬ太さんが、やっとまつぼっくりさんに会えたそうですよ」
「おや、それはうらやましいですね。たぬ太さんのおいわいに、もう一度お酒をのみましょう」
と言って、たぬきさんたちはおちょこのぶつけ合いをしました。
「ねえ、たぬ兵衛じいじ。まつぼっくりさんって、だれ?」
「はいはい、まつぼっくりに手や足がはえたお化けです。このお化けに会えると、とても良いことがあるのですよ。でも、だれでも会えるわけではないのです。まつぼっくりさんは、とても恥しがり屋で、とても走るのがはやいので、六百年生きていてもまだ会ったことがないのです」
お化けと聞いて、うめちゃんはちょっとこわくなりました。でも、まつぼっくりさんに会いたいと思いました。
ところで、「良いこと」とは、どんなことなのでしょう。うめちゃんは、たぬきさんに聞いてみました。
「はいはい。たとえば、きのこ山のたぬ助さんは山火事にあったけれど、一族みんな助かりました。それから、だんご山のポン三郎さんは、かわいいおよめさんをもらえました。茶柱山のポン子さんは、きれいなお花畑におうちができました」
と、たぬ兵衛さんが話してくれました。
きっと、まつぼっくりさんはお化けだから、長生きをしているのかも知れません。だから、最近のことではないのでしょう。
うめちゃんは、まつぼっくりさんと会ったら、どんな良いことがまっているのかしら。とても楽しみになりました。
うめちゃんは、ねむくなってきました。大きなタオルを運んできて、その上で「ふせ」をすると、
「たぬきさん。うめは、もうねるね。お休みなさい」
「おやおや、もうそんな時間ですか。はいはい、うめちゃんお休み。それでは、みなさん今日はお開きにしましょう」
「そうしましょう」
と言って、たぬきさんたちもいつもの置き物に変身をしました。

うめちゃんは、すやすやとねています。
「ぐわらぐわら、ぐうすかぴい」
「ぐわらぐわら、ぐわらあ」
「ぐわらぐわら、ぐわらぴい」
うめちゃんは、おきてしまいました。ものすごい大きな声は、たぬきさんたちのいびきなのです。それも、一つ目からじゅんばんに、四人のたぬきさんが全部を言うので、まるで怪獣の合唱みたいです。
うめちゃんは、お兄さんの布団にもぐり込み、からだを丸くして耳をふさぎながら、ようやくぐっすりねることができました。
次の日の朝、お兄さんがおきると、びっくりして、
「もう、うめ。どんぐりでいたずらをしたな。たぬきさんも、ひっくり返っているじゃないか」
と言って、置き物を立ててあげました。
お兄さんは、どんぐりパーティーのことを知らないのです。だから、うめちゃんと、たぬきさんと、みなさんだけの「ひみつ」ですよ。

それからしばらくして、お兄さんがうめちゃんのために絵本を読んでくれました。それは、「ざしきわらし」と言う、ゆうれいなのかお化けなのかよくわからないけれど、会えると良いことがあると言うふしぎなお兄さん、お姉さんのお話でした。
「あれ、ざしきわらしさんって、たぬきさんが言っていた、まつぼっくりさんに似ているなあ」
と思って、くすくすと笑いました。
でも、お兄さんには、「ワンワン」としか聞こえなかったらしく、
「うん?うめ、こわかったか。でも、オレ、ざしきわらしに会ってみたいんだ」
と言いました。
「それで、オレ、スミちゃんとけっこんするんだ」
と言いました。


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