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作品名:うめちゃんとふしぎなおともだち 作者:烏山鉄夫

第3回 うめちゃんのさんぽ
今日は、土曜日です。うめちゃんは大すきなお兄さんとさんぽに行きました。
朝からよく晴れていて、少し風もあって、お出かけをするのがうれしくなります。お兄さんも土曜日は学校がお休みになるせいか、とてもすきな曜日らし

く、にこにことして楽しそうです。
近所の土手を歩いていました。大きな川がちょっとだけこわいです。風が吹いていてうめちゃんの毛がさらさらとたなびき、何だかくすぐったいのですが

、お兄さんの頭もふわふわとゆれているので、同じなのかなと思ってがまんをしていました。
道ばたにたくさんの花が咲いています。うめちゃんは、花をよく見ようとして顔を近付けました。
「うわっ、びっくりした」
花のみつを吸おうとみつばちが止まっていて、うめちゃんにおどろいて逃げてしまったのです。
「うめ、みつばちさんのお仕事をじゃましちゃ駄目だぞ。今度からは気を付けような」
と言って、お兄さんに怒られてしまいました。
でも、うめちゃんはよく知っているのです。みつばちさんは、そのようなことではおこらない優しい虫だということを。
しばらく歩いていると、前からお姉さんが歩いてきました。そのお姉さんはお兄さんに気が付くと、お兄さんの名前を言いました。
「村井くんだ!」
「うん、犬のさんぽ中だよ」
どうやら、このお姉さんはお兄さんのおともだちのようです。
「あら、かわいい。あなたがうめちゃん?」
うめちゃんは、しっぽをふっておへんじをしました。
「へえ、スミちゃん。かみの毛を長くたらしても、よく似合うね」
「あら、そう?学校へ行く時だけ三つ編みにしているんだ」
「三つ編みもかわいいよ」
「いやだ、はずかしい・・・・・・」
と言って、話題を変えました。
「そうそう、村井くんは英語の宿題、もうやったかしら?」
「いや、やっていない。オレ、英語は苦手なんだ」
「そうなんだ・・・・・・これから用事があるの。じゃあ、さようなら」
「うん、バイバイ」
「うめちゃんも、さようなら」
と言いながら、お姉さんはお別れのあいさつのつもりで、うめちゃんの頭をなでてから、腰まである長くて黒い髪の毛をふわりふわりとゆらしながら、遠

くへ行ってしまいました。
お兄さんは、お姉さんのうしろすがたを、いつまでも、いつまでも見送っていました。
うめちゃんは、はやくおさんぽの続きをしたいのですが、お兄さんのためにじっとして待っていました。
うめちゃんたちは、また歩き出しました。
「あれ、たぬきさんだ。おさんぽに行くのかな?」
うめちゃんは、前を歩くおじさんをみて、にこっと笑いました。
そして、おいこしざまに、たぬきさんへのあいさつのつもりでとびついてみました。すると、お兄さんがあわてて、
「こら、うめ、だめだろう。おじさん、ごめんなさい」
と言って、おじさんにあやまりました。
お兄さんは、このおじさんがたぬきさんであると気が付いていないのです。うめちゃんは少しがっかりしました。
おじさんは、
「おやおや、かわいいお姉さんですね。ところで、たぬきのたぬ兵衛さんは知りませんか?」
と聞きました。
「おじさん、たぬ兵衛さんのおともだちなの?うめのおうちに住んでいるよ」
「ホホホッ、そうでしたか。どうりで、お姉さんはたぬきになれていると思いました」
きっとお兄さんは、おじさんがだまってにこにことうめちゃんの背中をなでていると思っているのでしょう。
「それでは、あとであそびに参ります。その前にお買い物をします」
「何を買うの?」
と、うめちゃんは聞きました。
「はいはい、たぬ兵衛さんにおみやげを買います」
「おみやげ?何それ、おいしいもの?」
「ホホホッ、そうかも知れません。それでは、ええと、うめちゃんにもおみやげを買いましょう」
うめちゃんは、ニコッと笑いました。
「それでは、うめちゃん。またあとで」
と言って、おじさんは歩いて行ってしまいました。
うめちゃんは、おうちの近くまで帰ってきました。
すると、道ばたの電柱のかげにに三毛ねこさんがおひるねをしていました。うめちゃんたちの足音に気が付いてうすく目を開きました。
「ねこさん、こんにちは」
ねこさんは、背のびをして、
「ああ、よくねた」
と言ってから、
「はい、こんにちは。あら、もしかして、うめちゃん?」
「どうしてわかったの?」
「うちのおじいちゃんとおばあちゃんが、あそびに行った時のことをおしえてくれたの。だから、わたしもうめちゃんと仲良しになりたいなと思っていた

の」
「あっ、ねこのおじいさんとおばあさんのおうちのお姉ちゃんなの?」
「ええ、そうよ。わたし、ニャア子と言うの。よろしくね」
「また、おともだちができた。うれしいな」
「わたしもよ・・・・・・あら、まただわ」
「どうしたの?」
「また、子ねこちゃんたちのいたずらで、しっぽにリボンを付けられちゃった」
と言って、長いしっぽをぱたんぱたんと動かしました。
「まっ、いいか。かわいいから、このままにしておこうっと」
「ニャア子お姉さんは、おしゃれでかわいいねこさんなのね」
とうめちゃんが言うと、お姉さんは目を細めました。
「うめちゃんも、しっぽがとてもかわいいわよ」
うめちゃんもみじかいしっぽをものすごい速さでゆらしました。
「ふふふっ」
と、ニャア子お姉さんは優しく笑いました。そして、思い出したように、
「そう言えば、さっきたぬきのぽん兵衛さんが通ったけれど、またいたずらをするのかしら?」
と言いました。
「あっ、さっきのたぬきさんのことだ」
と気が付くと、うめちゃんは早くおうちに帰りたくなりました。
「うめのおうちにたぬきさんがご用があってあそびにきたんだよ」
「あら、うめちゃん。たぬきさんともおともだちになったの?たぬきさんは、とてもいたずらがすきだから、よく気を付けてね」
と言って、心配をしてくれました。
よほど、たぬきさんにいやなことをされたのかも知れません。
うめちゃんは、まだ子犬なのでたぬきさんと一緒にあそびたいし、いたずらもしてみたいのですが、ニャア子お姉さんにきらわれるのはいやだな、と思い

ました。
「さあ、うめ。そろそろ帰ろう」
と、お兄さんが言いました。
「お姉さん、さようなら」
「はい。うめちゃん、さようなら。またお話をしましょうね」
と言って、手をふるかわりにしっぽをゆっくり、ゆっくりゆらしてくれました。
うめちゃんは、急いで帰ろうとして走りました。
「おい、うめ。どうしたんだ?そんなに走って何か用事があるのか?」
とお兄さんは言います。
そうです。お兄さんは、さっきのたぬきのおじさんが、あそびにくることを知らないのです。うめちゃんだけ・・・・・・たぬきさんとのひみつの約束なのです。


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