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作品名:うめちゃんとふしぎなおともだち 作者:烏山鉄夫

第2回 ねこのおじいさん
うめちゃんは、今日もおるすばんです。
お父さんも、お母さんも「会社」と言うところへ行っています。大すきなお兄さんは「中学校」というところへ行き、「べんきょう」をしているのだそうです。
だから、うめちゃんは一人であそんでいましたが、背のびをしてかぎを「ガチャン」と言わせて窓を開けました。
よくおさんぽに行くので、おうちのそとのことはよく知っています。それでも、天気が良いのでしっぽをふってながめていました。
すると、下の方から、
「ここだ、ここだ」
と言う声が聞こえました。
庭をのぞきこむと、ねこのおじいさんとおばあさんが座っていました。
ねこのおじいさんは、目を細くして、
「ばあさん、このお宅でまちがいないようだね」
「そうですねえ、おじいさん」
と言って、おばあさんも目を細くしてお返事をしました。
「おやおや、こんにちは。あなたがうめちゃんかい?」
「こんにちは、そうです。ねこのおじいさん、おばあさん、どんなご用ですか?」
「たぬ兵衛さんとそのおともだちのお宅にあそびにきました」
うめちゃんは、にこっと笑いました。このねこさんは、うめちゃんのおうちに住んでいるたぬきさんのおともだちと知って、仲良しになりたいと思いました。
うめちゃんは、お水をのむためのお皿をひきずるようにして運んでくると、
「はい、ねこのおじいさんとおばあさん。お水をどうぞ」
と言っておもてなしをしました。
「ばあさん、せっかくですから、いただくとしようかね」
「そうですねえ、おじいさん」
と言って、二人は小さな舌を出して「ぺちゃぺちゃ」と音をさせながらお水をのむと、
「うめちゃんのおうちの、お水はとってもおいしいねえ」
とお礼を言いました。
「おじいさんは、何という名前なの?」
「はいはい。わたしは、ニャン兵衛です。ばあさんは、おみけと言います」
「あら、すてきな名前だね」
「おや、そうですか。うめちゃんも良い名前ですよ。ねえ、ばあさんや」
おじいさんはますます目を細めて、まるでねてしまったみたいです。
「そうですねえ、おじいさん」
「わたしの名前は、どうして知っているの?」
「はいはい、それはたぬ兵衛さんから聞いたからですよ。新しいおともだちができたとおしえてくれたのです」
と、ねこのおじいさんとおばあさんは、ずっと優しい顔で話をしてくれます。うめちゃんもしっぽをふっています。
うめちゃんは、たくさんのおともだちができたし、たくさんのおじいさん、おばあさんができた気分で、すごくうれしくなりました。
「おじいさんもポンポコ山に住んでいるの?」
「いえいえ、わたしたちは『ねこまち』と言うところでくらしています。わたしは、そのねこまちの町長をやっているのです」
うめちゃんは、むずかしい言葉を聞いて、首をかしげてしまいました。
「ちょうちょう?あっ、あのひらひらととんでくる虫さん?」
「おやおや、そのちょうちょうではありません。ねこまちで一番えらいねこのことも、ちょうちょうと言うのですよ」
「ふうん、そうなんだ。すごいねこさんなのね」
と、感心をしました。
うめちゃんは、ねこのおじいさんの顔をじっと見ていました。
「おやおや、どうしましたか?」
「どうして、ねこさんのお顔は、そんなに丸いのですか?」
「おやおや、それはかんたんなことですよ。わたしたちねこは、顔を洗う時に、手首につばをつけて顔をこするのです。ぐるぐるとこすっているうちに、ねこの顔は丸くなってしまったのですよ」
うめちゃんは、本当かなと思いましたが、おじいさんの言うことなので信じることにしました。それに、とても優しそうなので、うそをついているようには見えません。
ねこさんたちは、また目を細めました。うめちゃんもしっぽをゆっくりとふりました。とても楽しくなり、のんびりとしてきて、ねむくなってきました。
「おじいさん、いっしょにおひるねがしたいな」
「ばあさん、うめちゃんのお宅で少し休んでいくとするかね」
「そうですねえ、おじいさん」
と言ってから、ごろんと横になりました。うめちゃんもまねをしてごろんとしました。
しばらくすると、
「くう、すう、すう、くう」
と言う声が聞こえてきました。ねこさんたちがいびきをかいているのです。
「むにゃむにゃ、すやすや」
と、ゆめちゃんも負けずに寝息をもらしました。
どのくらい時間がたったのでしょう。窓からさし込む光が、すっかり橙色に変わってしまいました。
ガチャン、と音がして、
「ただいま。ゆめ、あそぼう」
と、大すきなお兄さんの声が聞こえました。
やがて、お兄さんはうめちゃんを見つけると、
「なんだ、おひるねをしていたのか」
と言いました。そして、うめちゃんのそばで寝ている二匹のねこに気がついて、おどろいてしまいました。
ねこさんたちも、あわてて起きあがって帰ろうとしました。
「あれ、帰っちゃうの?うちのうめのおともだちでしょう?もう少しうちにいても良いのに・・・・・・」
と、とても残念そうに言うと、ねこさんたちは立ち止まりました。
お兄さんは、ねこのおじいさんに近寄ると、背中をなでました。茶色と白色のしま模様の背中は、ふかふかとした毛におおわれています。おじいさんは、うれしそうに目を細めました。
ねこさんは、ゆっくりしっぽをふって、お兄さんのあいさつにこたえました。
「おやおや、うめちゃんのお兄さんは優しいですね」
「うん、そうだよ。だから、とてもすきなの」
うめちゃんとおじいさんがお話をしていても、お兄さんは聞くことができません。でも、すっかりおともだちになったことはわかるので、ねこが勝手におうちにあがり込んだのに、怒らないし文句も言わないのです。
お兄さんは、ねこのおじいさんとおばあさんの背中を順番になでながら、
「このねこは、飼いねこなのかな。ずいぶん毛並みが良いみたいだけど」
と、言いました。
このねこさんたちは、野良ねこです。でも、うめちゃんもお兄さんも、とても優しいので安心をしているのです。
「うめ、そろそろごはんにしよう」
と言ってから、お兄さんは台所へ行きました。
「おじいちゃん、おばあちゃん、もう帰っちゃうの?」
と聞きました。
うめちゃんは、せっかく新しいおともだちができたのに、お別れをするのがいやなのです。そう言えば、今日はたぬきさんがいません。ポンポコ山にお出かけをしているのかも知れません。おとしよりでも仲良くしてくれる生き物は、みんなすきなのです。
「さあ、うめ。おなかがすいただろう」
と言って、お兄さんはお皿に盛ったえさを、うめちゃんのそばに置きました。
「ねこさんも食べますか?」
と言って、小さなお皿をさし出しました。
「やっぱり、犬用だからお気にめさないかな」
と言って、お兄さんは笑いました。
ねこのおじいさんは、お皿に顔を近付けてにおいをかぐと、
「ばあさん、おいしそうですから、いただくとしようかね」
「おや、そうですか。それではごちそうになりましょうかねえ、おじいさん」
言い合うと、小さな口でえさをポリポリと食べました。
ねこさんは、食べ終えると口のまわりを舌でなめました。
お兄さんは、学校の制服を着たままなことに気が付いて、押入れを開けて着がえを始めました。
それを見て、ねこさんたちはすき間に入り込んでしまいました。
「あっ、ねこさん、そこはだめですよ」
とお兄さんが注意をしました。
「今日は、うめちゃんのお宅に泊っても良いですか」
「いいよ、おじいさん」
と言って、うめちゃんはうれしそうにしっぽをふりました。
「もう、しょうがないなあ。それにしても、このねこさんたちは、ちっとも啼かないなあ」
と、お兄さんは感心しています。本当はねこ語をずっと話しているのですが、お兄さんにはわからないのです。うめちゃんは、それが残念でしかたありませんでした。
けっきょく、ねこのおじいさんとおばあさんは押入れの中で朝までねたのです。
うめちゃんは、ねこさんのおかげで楽しい夜をすごせたのです。


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