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作品名:うめちゃんとふしぎなおともだち 作者:烏山鉄夫

第1回 こいぬのうめちゃん
うめちゃんは、うまれたばかりのしば犬の女の子です。
今日もおるすばんをしていました。うめちゃんのかいぬしは、いつも朝におでかけをして、夕方になるまで帰ってきません。
うめちゃんは、かいぬしのお兄さんが大すきなので、はやく帰ってこないかなと待ちどおしいのです。いっしょにおやつを食べて、あそびたいなと思いました。
「カタカタカタ」
と、なにかの音がしました。お兄さんが帰ってきたと思って急いでげんかんに行きました。
でも、だれもいませんでした。うめちゃんは、もといた所へもどると、また、
「カタカタカタ」
と、へんな音が聞こえました。
よく見ると、お部屋にかざってある置き物のたぬきがうごいているではありませんか。
「どうも、こんにちは」
たぬきさんがあいさつをしました。なんと、しゃべることもできるのです。
うめちゃんは、びっくりしてしまいました。
でも、うめちゃんは、すぐにお返事をしました。
「たぬきのおじいちゃん、こんにちは」
「はい、はい、よくできました。うめちゃんは、いつもお利口をしているので、ごほうびにお話をしにきました」
「おじいちゃん、お名前は?」
「はい、はい、わたしはたぬ兵衛です」
「ふうん、たぬ兵衛じいじって呼んでも良いですか?」
と、うめちゃんが聞きました。
「はい、はい、もちろんです。わたしは、六百五十才です」
うめちゃんは、六百五十才がどれだけ長生きなのかわかりませんが、でも優しそうなおじいさんなので、すっかりすきになりました。
うめちゃんは、たぬきさんにどんどん質問をしました。
「たぬ兵衛じいじに、おともだちはいないの?」
「おやおや、いっぱいいますよ」
と答えると、たぬ兵衛さんのとなりにかざってある別のたぬきがカタカタと動きました。
でも、うめちゃんはもうおどろきませんでした。
「わたしは、ぽんぽこ兵衛です。どうぞ、よろしくおねがいします」
そして、もう一体置いてあるたぬきも、カタカタと動くと、
「どうも、わたしは、たぬ右衛門です。どうぞ、よろしく。子供の時からの仲良し三人組なので、みんな六百五十才です」
うめちゃんは、たくさんのおじいさんと仲良くなれたのでごきげんで、しっぽをふりました。たぬきさんも楽しそうに、三人とも同じはやさで、ぶらん、ぶらんと、右へ左へと大きなしっぽを動かしています。
「たぬきさんは、おやつを食べるの?」
「もちろん食べますよ。一番すきなのは、どんぐりです」
「どんぐりを食べちゃうの?」
「はい、はい、おやつ用のどんぐりと、お金用のどんぐりがあります」
「お金もどんぐりなの?」
「そうですよ。くぬぎの五百ドングリが十個で一マツボックリで、マツボックリをたくさん持っているたぬきが、お金持ちなのです」
と、たぬ兵衛さんが言いました。
「たぬ兵衛じいじは、マツボックリを何個持っているの?」
「ええとですね・・・・・・百個あります。だからたぬき銀行にしまってあるのです」
「どうも、わたしの分もありますよ。うめちゃんとやらも、どんぐりをたくさん集めて、お山にあそびにきてください」
と、たぬ右衛門さんが言いました。
「お山?」
「どうも、わたしたちは、本当はポンポコ山と言うところに住んでいるのです。うめちゃんのおうちでくらしているのは、おるすばんのお仕事をするためなのです」
「そうなんだ。でも、もう、うめがいるから平気だよ」
「おやおや、それでは、わたしたちがあそびに行けなくなってしまいます」
「あっ、それはたいへん!」
と、うめちゃんは言いました。せっかく仲良しになれたのにさみしいので、
「また、いっしょにおるすばんをしてくれますか」
と聞きました。
「どうも、どうも、もちろんです。もっとお話をしたりあそんだりしましょう」
うめちゃんは、ニッコリとしました。
「どうして、じいじたちは、そんなかっこうをしているの?」
「これは、わたしたちたぬきが、人間にとってえんぎの良い生きものとよぶからですよ。これは、昔のかさ、こちらはとっくりと言って、昔の水とうみたいなものです。この手帳は、人間たちは通い帳と思っていますが、実は全国のたぬきの住所録で、お電話をかけたり手紙を出したりする時につかいます」
「全国って何かしら?」
「日本中ってことですよ」
と言ってから、たぬ兵衛さんは中を見せてくれました。
でも、筆で書いてあるし、たぬき語と言ってたぬきがお話したりかいたりする文字なので、うめちゃんにはむずかしくて読むことができませんでした。
「ほうら、ドングリ山だとかマツボックリ山に住んでいるたぬきが、これだけいるのですよ」
「そんなに、お山にたぬきさんがいるの?すごいな」
「どうも、どうも。きっと、うめちゃんもおともだちになれますよ」
と、たぬ兵衛さんが言いました。
「どうも、どうも」と言うのは、たぬ右衛門さんのくちぐせなのですが、子供のころからの仲良しと言うだけあって、みんなにうつってしまったみたいですね。
それからうめちゃんは歌をうたいました。すると、たぬきさんたちは、
「ホホホホホッ」
と笑いながら、目を丸くしてよろこびました。
「ホホホホホッ、今度はわたしが歌います」
と、たぬ兵衛さんが言うと、ほかのたぬきさんが手びょうしをしました。

  どんぐりのみのりゆたかなさとやまで
  いきものがみんなほほえむゆめのやま

  ゆっくりとながれるじかんさとやまに
  すんでいるみんななかよしゆめのやま

  まんげつのよるはおまつりさとやまへ
  さあおいでみんなだいすきゆめのやま

うめちゃんの知らない歌でしたが、なぜだかとても楽しい気分になりました。
「それは、たぬきさんが作ったの?」
と聞くと、そうですよと言いながら、この楽しい歌の歌詞を書いた紙をくれました。でも、たぬき語が筆で書いてあるので、やはりうめちゃんはすぐ読むことができません。せっかくなので紙をていねいに折りたたんで、うめちゃんのだいじなおもちゃ箱にしまいました。
うめちゃんは、箱の中にあった折り鶴を見つけてたぬ兵衛さんにわたしました。
「一個しかないけれど、お礼にこれをあげるね」
「ホホホッ、うめちゃんの宝物をもらいました。どうもありがとう」
うめちゃんも、しっぽをふってよろこびました。
ガチャン、と音がして、
「ただいま」
と、大すきなお兄さんが帰ってきました。
すると、たぬきさんたちはあわてて元のばしょにもどり、置き物に変身をしました。
「くくくくくっ」
とうめちゃんは笑いました。
「やあ、うめ。良い子にしていたかな?」
とお兄さんに言われて、お返事のかわりに、
「ワン!」
とほえました。
「あれ、おやつを食べなかったのか・・・・・・」
あっ、すっかりわすれていました。お兄さんが、背中をやさしくなでてくれました。
今日はとても楽しい一日でした。
あしたも楽しい一日になりますように。


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