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作品名:春夏秋冬 作者:烏山鉄夫

第3回 妄想 ―平成25年 前篇
相模灘蒼き風呂敷横目にし 伸びる鉄路に銀色の箱

富戸港に漁村の香ただよいて のどかさありし元日の昼

かにやえび鮪など食べ酒を呑み ゆあみをしてから布団にもぐる

総決算年を忘るるいで湯哉 長く浸かるは大晦日の夜

富士の山湘南の浜見守りて 女神に会いし心持ち哉

年が明け平穏もどる日常に 雀さえずり日向ぼっこ哉

猫が啼く声が哀れに響くなり 我も泣きたし恋人もなく

数の子を全て食べ終えわかれかな 正月去りて梅の香近し

空を見て思い馳せるや女神たち 片恋のみの意気地なし哉

初恋をなかった事にす三十路かな 転石苔を生やすひまなし

お下げ髪似合いし人ぞ一目惚れ 告白出来ず今に至れり

家近し通う道も同じにて 会うたびこころはじけるばかり

大人しき眼鏡の奥の優しさに 引き込まれたる思い出あまた

好いた人声をかけるの勇気なし 身体に触れる度胸も足らず

用意して相々傘を待つ身なり 雨は降らねど涙流るる

猫を見てなつく姿は可愛らし 女ならばとわがままを言う

酒を呑む隣りにおなごおらぬなり 一人宴会早く酔う哉

世間には美人多きが嬉しかり されど振り向く人は少なし

獣ゆえ恋さえ罪に問われけり 好きになるとは手込めと同じ

初雪の白さに思う彼の人や 雲にかくれし恋しき顔も

降り積もる雪に浮かぶは思い人 白き肌に衣着せたし

関東に始めて降るは吹雪かな 美人の産地覗くが如し

鬼怒川の岸に求めし旅枕 ゆばの味わい盃の供

幼な児の唄声楽し日曜日 天にてこだまさせつつ歩く

節分の豆も飛ぶなり弘法寺に 腕伸ばして福を呼びよせ

雨音が静かなる部屋鳴り響き 立春の知らせ配達の声

強き風春の訪れ焦り哉 梅も咲かぬし虫まだ飛ばぬ

轟々と春一番が吹き荒れる 吾妄想も風に飛ばさん

強き風世間の音を消し去りて 夢の世界に放り出されし

もてなくて電車ばかりを追いかけし 我笑う声に聞こゆ風の音

目覚めれば同じ散らかし具合にて 安心すなり吾の部屋哉

寒々と心冷やす雨の音 己が選びし孤独の筈が

雨の中何処へ行くのかからす殿 声のみ残して姿くらます

雨雲で小暗き街を眺めつつ 目で追いかける傘さす美人

帰宅して何やら騒ぐ妹の 声に安堵す金曜日なり

東から舞台にのぼる太陽が つかれて帰る真間の山哉

バスに乗りおばの住む家おとないし まぐろの解体歓喜す

梨畑脇の小径に氷張り 昼解けても夜また固まる

風車忙しそうに廻りたる 猫の昼寝がねたましき哉

風の音がか細く低く聞こえたり 悪魔となえし呪文のごとく

寒き夜布団かぶるも効き目なし 暗き天井にらみつけ

凍える身地震と思いラジオつけ 報が無き故恥を知るなり

何時の日か女神に逢うを信じつつ まだかまだかと待ち受けるなり

窓開けて風と共に犬の声 部屋の中にてぐるぐる廻る

女学生若さに色気混じり合い 勉学の事聞いて歳わかり

今日も居る仲良し二匹の猫を見て 通りがかりの子等も喜ぶ

彼の人の住む家の前通るのに えりを正して早歩き哉

門の下顔のぞかせる犬があり あたたかさに喜びの色

新築の木材の香がただよいし 春の近きを風が知らせる

この奥を探検せんか階段の 木々にはさまる空の入口

菜の花の黄色き顔をきらきらと 照らすお日様春を出迎え

さらさらと竹の葉揺らす春風の 匂いも甘き弥生の午後哉

紅白の梅が競うは衣装なり 勝負をつけよ依頼を受ける

柔らかな春の日写す鏡かな 吾の心も見すかされるや

水鳥の友達同士水の上 おやつ食べつつ何を語るか

ピョーピョーとおしゃべり楽し池の水面 かき足けられ鯉が苦笑す

はらはらと梅の花散り鳩つばむ 春の味とは美味なりか

たんぽぽの花に浮かぶは君の顔 清楚なうえに明るき気性

春の日に菜の花畑風そよぎ 踊り子の群れ光り輝く

庭に咲く桃の香に色気あり 厚き唇口づけせんか

桜咲く停留所にて車待つ 優しき日差し女神のほほえみ

はらはらと美女の涙か花びらか 弥生のみそか淋し寒しか

曇天に桜もやる気おこらずに 人の視線をひたすら我慢

春雨にぬれる夜桜ものいわず 可憐な瞳我をみつめる

降るたびに同じ質問繰り返す そんな水分何処にありしや

風に揺れ休むひまなし雨粒を 見送る枝ははなみずき哉

花散らし卯月の初め早々と この調子ではあやめも咲くか

目を覚まし辺りを見回すつくしかな 春風吹きて眠気飛ばさん

春嵐屋内にこもり耳澄まし 雨音聞くはひとりぼっち哉

雨音に混じりて聞こゆ雨どいが 溢れて滝になりゆく騒ぎ

暴風雨眠りさまたげ不敵なる 笑みをこぼして窓よりのぞく

夜が明けて晴れ空残す嵐なり いまだ風吹く休日の空

そば食いて信濃の景色なつかしき 高原列車の男が聞こえる

わざとやる花冷えの夜窓を開け かの人想うむなしき時間

麗しき花の讃歌を吟じよと 言われて照れるだらしなさかな

日向ぼっこ二匹の猫が呼び止める 遊んでくれよとにゃあと啼くなり

青空に新入生のぎこちなき 笑顔の花が咲きほこるかな

新しき制服召して輝きて 綺麗な少女色気増す

花水木晴れ空の下花咲かせ 子供の遊ぶ声に起こされ

轟々と鉄橋を渡る電車の音 土曜の夜に鳴りひびく

真夜中に走る電車の音聞こゆ 帰る途中の妹乗せて

藤の花薄化粧で色気あり 軟派の機会狙いし蜂が

何となく眠気感じず悶々と 電車の音が耳をつく哉

真夜中に起きて居る間に死へと向かう 足掻いてみても無駄な抵抗

総武線まだ音聞こゆ一時前 恩恵受けし市川の街

一輪の芙蓉の花が業終えて 優しき瞳閉じゆく夜更け

小田原の城跡に咲く藤の花 紫色の滝が落ち行く

雨降りの箱根に着きし旅路かな 芦ノ湖の名も楽しく聞こゆ

雨煙る何が悲しか箱根山 聞かせて給われその胸の内

明日もまた楽しきことがあるように 祈るためにも瞳を閉じる

窓を開け涼しき風にくしゃみする 空も風邪ひく予兆のごとし

嗚呼嬉しあやめの花も目覚めたり どれ程君を待ち続けたか

眼鏡かけ優しくほほえむあどけなさ 片恋ばかり苦笑いをす

朝六時真間山の鐘ごんと鳴り 寝ぼけなまこで布団けとばす

玄関に鈴蘭の花可愛らし 清里みやげ思い出深し

あはれなる雲にかすみて満月に 住みたる姫の姿も見えず

路ばたに名も知れぬ花風に揺れ 日差しを受けてまぶた細める

汚れたる心を諫める優しさを 女に求め罪と責められ

鬼と化すみにくき顔の情けなさ つらさも知らぬ女共の笑み

汚れたる我が身清めし巫女さんの 真面目な色気邪心退治す

風邪をひき布団かぶって昼寝をし 深夜放送友にするなり

雨音が病室の窓ぱちぱちと 叩いて叫ぶ早く治せと

(以前作りし歌の改作)
女学生若さに色気混じり合い 業を教わり盛りに想起す

五月晴れ同じ空見る休日の 吾の隣に彼の人おらぬ

さわやかな風に吹かれて読書をす 王朝日記の雅深まる

傘の花綺麗に見ゆる停留所 美人の顔が隠れて並ぶ

雨の中雀さえずる声がして やんだと思い窓の外見る

晴れ空は梅雨の合間のひと休み 雨降る素を探し求める

裏庭で人知れず咲く紫陽花は わが片恋に似たる淋しさ

梅雨空の寒さにふるえお茶を呑む 静岡の香が我をつつむ

台風の露払いかな風吹きて 追い払われるもの共たちよ

雨降りて傘さし歩く美人あり 顔を隠して意地悪をする

雨の中傘に隠れる美人かな 彼の人なのにそれと解からず

快感を与え給われ女神たち 吾の隣に居るだけで良し

立ち退きに同意するなり反対派 敗けて冷たき涙雨かな

雲多し暑さばかりが身に沁みて 女子の薄着我も真似する

紫の紫陽花浮かぶ水たまり 寝顔麗し仰向け美人

あめんぼが居るかと除く湖に 梅雨空映えし淋しさ募り

黒髪と涼しき目もと清楚にて 女の香り泉の如し

君を見て思い浮かべる高山の 山の端ごとき優しさ覚ゆ

色白の雪に触れば僕の手に 優しく伝う君のぬくもり

美人とは君の事よと声高く 呼びたくなる発作におそわれ

甘き香の果実の如き色気哉 恋に酔いしか酒に酔いしか

仰向けに寝かせて腹を触りたし 君の色気は吾を狂わす

雪国で育まれた美人あり 君と語らう月日を欲する

吾隣り理想を超えし美人あり 吾を見つめる視線に惚れる

秩父路の老兵去るとうわさ聞き 胸へ向かいて走り続ける

天の川両岸に立つ男女あり 一人は美人あとは吾なり

雨降りて制服濡らす女学生 水もしたたる色気ふりまく

暑さゆえ薄着なれども汗をかき 呑む水すぐにとび去りてゆく

日常と変わらぬ朝の三十路かな 祝いの品に女欲しけり

雨降りて夏の夕方涼やかに なれよと祈るきびしき暑さ

雷の光にびびる男なり 夜空に輝く悪魔の花火

制服の薄着を透かす色気あり 最も効くなり乙女の兵器

向日葵が咲きたる姿太陽と 見間違えたる夏の昼かな

森閑の禅寺の庭風吹きて 音は仏の声に似たるや

夏の朝合唱するなり蝉の声 今日の演目教えてたもれ

浴衣着た美人集いし花火かな 空と地上に花が咲く夜

亀と亀池のほとりで甲羅干し 座談会にて何を語るや

わが視線胸には行かずお腹に向かう 水着召したる女神の姿

たますだれ小さき花に目がとまり 不埒な心改めるべし


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