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作品名:名前はまだない。 作者:

第1回 1
最初の出会いはいつだっただろうか。

そんなことさえ、もう思い出せない。気が付けば、そこにあの人がいた。
ある日、彼はこんなことを聞いてきた。
「お前……、なんでいっつも俺のそばにいるの」
私は少し悲しくなりながらも、平然を装って答えた。声が震えていた。
「だって……放っておけないから。……あなたを」
私はそこで一旦言葉を切ると、こう言い直した。
「―― 一人になんて、させられないから」
好きとか気になるとか、そういう感情なんかじゃなかった。……たぶん。
でも、これは本当。彼を一人にさせたら、きっと脆く崩れ去って壊れてしまいそうだった。私はそんな彼の姿を見ていられなかった。

 彼はいつからこうだっただろうか。何に関しても無気力で、この世の何もかもがどうでもいいと思っているらしい。彼がどうしてここまで何に対しても興味を示さなくなったのか、私にも分からない。
 ただ一言、彼はこう言った。俺は病気なんだ――と。それ以上は何を聞いても教えてくれないし、彼自身もその原因がよく分からないという。

 私はいつからこうだったろうか。私はおろか、その周りのことにさえ、興味を示さない彼を私はどうしてここまで支えようとしているのか。どうにかして心を開かせようとする気持ちの根底には何があるのだろうか。私もいい年だから、どうにかして男を捕まえて一緒になろうと躍起になっているのだろうか。そんな、醜い動機で?……分からない。そうかもしれないし、そうでないかもしれない。
 ただ、これだけは言える。彼から感じるこの切ない感情がなければ、私はとっくの昔に彼から離れている。


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