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作品名:パラディーズ! 作者:

第1回 剥奪
窓際の争奪戦…それは学生生活で1、2を争う由々しきバトル…中には黒板が見にくいなどとわけのわからぬ理由で闘いに自ら降りる軟弱ものさえもいた…。
けれど、自分はそうではない。もちろんそこに戦場があるなら果敢に挑む。

「それが男でしょーーが!!」
「野崎くん、寝言ぐらいは授業の邪魔をしないでよー」

ハッとした。周りをみれば皆が目をカマボコみたいにしていた。ゲラゲラと笑い声が寝起きの頭に突き刺さる。

そうだ、俺は…

「はは、やっぱり窓際の席はあったかくてウトウトしちゃいますね!」

突然静まり返る教室。俺の一言が、突然この狭き箱にブラックホールを生み出したらしい。
すると左となりの女子、井口さんが心配そうに俺に話しかけた。


「野崎くん…もう、窓際じゃないよ…寝ぼけてる…?」

ハッとした。周りをみれば皆が目を丸くしていた。俺の完全に起きた頭に突き刺さる。

「あ…あーっ、そうでしたー!えへへへ」

手を頭の後ろに乗せて軽く舌をぺろっとした。ほとんどの人が再び笑いだし教室はまたもとの雰囲気に戻っていった。

そうか。俺は敗戦者だった。

あれは、熱い熱い闘いだった。



****


「おいおい早川くんー、俺を誰だと思ってるわけ?生徒会長よ、生徒会長。誰のおかげで君の安眠が守られてると思ってるの?ここはおとなしく譲らなきゃもう眠れないよ」

「いや…別に俺お願いしてないし…頼んだ記憶もないから。ジャンケン提案して負けたのもアンタでしょうよ」

「うぐっ。い、いや、でも普段やっぱお世話になってるでしょ。この前も君が演劇部の部長になるの承認してあげたのも僕なわけだし。ね、ここはやっぱり」

「嘘つけ。あの時ハンコ押してくれたの副会長さんだったじゃないですか。見苦しいよ会長サマ。ま、次回に期待して今回は諦めよう。」

****

ふと窓際の席を見た。そこには俺の好敵手、早川仁が気持ちよさそうに寝ていた。
俺は猛烈ないら立ちを覚えた。

そもそもお前が気持ちよく眠れるのは俺が学校のルールを築きあげたからなのに…!
喉まで上がったその言葉を飲み込んで、黒板に書いてあった文字をひたすらノートに書きなぐった。
英語のノートにびっちりと日本の偉人たちの名前を書き連ねたことに気が付いたのは、日本史の授業が終わった頃であった。




何を隠そうこの俺が、霧ケ谷高等学校生徒会 会長の
「野崎…晴彦くん…」
「ぎゃああああああああ」

背後から聞こえた亡霊のような声に俺は思わずつま先立ちになりそして全身の毛が逆立った。
慌てて振り返るとそこには黄色いネクタイの男子生徒。黄色…つまり2年生だ。

「びびびびっくりさせないでよ、どうした2年。3年の教室に用?てかなんで俺の名前を」
「あ、すみません。実は廊下に野崎先輩宛の封筒が落ちてて。あれだけ偉業を遂げた生徒会長さんの名前くらい、覚えますよ。」

そう言って、封筒を渡される。何の変哲もない無地の白い封筒。大き目の字で「野崎晴彦くん」と書かれたその封筒は、何か手紙でも入っているのだろう。薄いながらにも手触りで中に四角いなにかを感じる。

「偉業ね…いい響き。わざわざありがとう。君、名前は…あれ…」

いつの間にか目の前からその2年は消え
「世田です。では、確かに届けました」
「ぎゃああああああああああああああああ」

真横から聞こえてきた亡霊のような声に俺はつまさき立ちになりそして持っていた封筒を強くにぎりしめるあまりクシャクシャっとしてしまった。
慌てて横をみると、そこには誰もいなかった…。

「なんだあいつ…」

その時思いもしなかった。
その封筒の中身が、俺宛に綴られた脅迫状であると…。


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