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作品名:ハチマタの運命(KAMIKAZE続編) 作者:chihiro

第7回 ナディア
ナディアは施設の別室でラディックラマダンと面と向き合っていた。
「情報ではキプロス付近で商船に拾われたらしい。生きているかどうかは不明だ。」
「願わくば死んでいてほしい。生きていて私たちの情報を漏らされたらこの施設も危ない。」
「施設はどうでもいい。女子供も他からつれてくればいいだけの話だ。」
「じゃあ、この施設を狙われようにするの?」
「そのほうが一番安全だろう。」
「次の保留地は?」
「すでに見つけてある。町をコントロールしているものはただ単にコントロールしているわけではない。新しい場所を見つけるためでもある。男どもはすでに移してある。」
「私の失敗をとがめないの?」
「そういう計画だったからさ。君がこの女は見込みがあると思って知らせたときにすでにこうなることは予想がついていた。だからわざと逃がしてやった。この砂漠や海の自然に勝っても負けても。しかしその女は自然に勝った。きっと誰かに拾われて今頃は静養しているのだろう。」
「そこまで情報が行き届いているのね。」
「キプロスにはシークレットエージェンシーがある。アディルという女だ。ハチマタが生きてアディルに言われて正義感とやらでここに舞い戻ってくる。そのときお前の出番だ。」
「私はどんなことをすればいいの?」
「近日中にこの施設を爆発する。瀕死の重傷者がたくさんのところにハチマタが現れて助けを請うんだ。彼女は断られない。そして違う場所で施設を設立したというんだ。案内する。案内中に殺せ。

「彼女は私を信用するかしら?」
「お前がこちら側の人間だということはこれっぽっちも思わないだろう。あなたが脱走したときに自分の責任で殺されかけたとでもいっておけばいい。その顔を見たら信用はするだろう。」
ナディアは自分の頬をなぞった。体裁として薬品をかけられ肌がただれている。殺されるその瞬間長であるラディックに助けられたのだ。「この女はまだ使えるから生かしてやってほしい。」と。
ナディアはラディックの三人の子供を身ごもり二人の次期テロリストを生み出していた。
「前回みたいに迎えに行くの?」
「連絡は入らない。だからここでくるのを待つんだ。まるで旧友を見たように感激の意を表して。お前のことはすぐに信用するだろう。そこが狙い目だ。」
ナディアはうなずいた。
「三人目の男子を作ろうか?」
「お願いしているの?珍しいわ。いつだっていきなりなのに。」
「たまにはお願いするさ。俺たちの子供は成績が優秀だ。頭の回転もいい。そういう人材を多く作っておけば十年後、二十年後が楽しみだ。」
「私が口を出すことではないけれど資金繰りはどうなっているの?」
「日々苦しくなっている。今までとは別の方法を考えなければならない。そして社会を嫌うものたちの中には武器を持つことを嫌がるやつもいる。車で突っ込む。ナイフで刺す。ほとんど金がなくてもできそうなことをやる。精神異常者も増えてきた。」
「社会にはじき出された人が多いってことね。」
「そういうことだ。政府は底辺にいるものを理解しない。経験がないからだ。自分の居場所が見つからないやつははじき出されてこちらに来る。我々の身が滅んだとしても精神は永久に変わることなく受け継がれていく。グループだって同じことだ。今日の目を見ているものもいずれは滅びるが新しいグループがすぐに名を上げるだろう。地球撲滅までそれは続く。」
「なぜ一気に地球撲滅を狙わないの?地球温暖で騒いでいるのだったら北極か南極の氷にミサイルを発射させて土地を水没させてしまえば政府は何もできないわ。」
「お前は時々悪魔以上のことを考える。いきたくないのか?」
「どうせ死ぬ運命ならば人に殺されるよりも自然に殺されたいわ。時々テロも政府もまどろっこしいって思うときがあるの。」
「残念ながら地球撲滅は俺たちの思考に入っていない。個人で復讐してやりたいだけだ。」
「わかったわ。」ナディアは肩をすくめた。そしてラディックの思いのままに体を操られた。

数日後、夜明けに施設は爆風にあって木っ端微塵になった。たくさんの犠牲者が出た。女子供はもちろんのこと別室に出入りしていた複数のテロリストも犠牲になった。
ラディックは緊張した面持ちでひそかに用意していた次の避難場所をみんなに発表した。隣接されていた病院も機能を維持することはできなかった。つまりこの地方の病院はゼロになってしまったのだ。施設にいたものはもちろんのこと、市民もストレスがマックスになるぐらい緊張した。爆発を仕掛けたのは誰なのかなど誰も思いつかなかった。平和な場所が襲われたことで多くの人間が不安におののいた。
「あわてないで。いずれこうなることは誰でもわかっていたはずよ。今は死んでいった人たちのためにもいきましょう。」ナディアは大声で周りにいたものに叫んだ。「ここからそんなに遠くないところに避難場所があるわ。女性、子供たちは私についてきて。男性陣は後から来る人に指示を仰いで頂戴。」ナディアは女子供たちを引き連れて外に出た。まだ日は昇っていなかった。あたりはしーんと静まり返っている。まるで監視されているような気分だった。彼女たちの集団の塊は二百メートル先の小山から覗くものがいた。しばらく彼女たちの行方を確認してから携帯電話を取り出し短いメッセージを送った。

ハチマタはむっくりとおきると壁にかけてある時計をみた。午前4時だった。急にのどが渇きキッチンに飲料を飲むために向かう。そこにはアディルが座っていた。
「おはよう。早いのね。」
「のどが渇いてしまって。」
「入れたてのコーヒーがあるわ。飲む?」ハチマタがうなずくのを見るとアディルは立ち上がりマグカップにコーヒーを入れた。
「調子はどう?」
「体は大丈夫です。でも体力、筋力がなくなっているような気がします。」
「体を動かしてないからね。それは運動すればすぐに元通りになれるわ。」
「私運動嫌い。」そういって小さく笑った。
「それでも体を動かしてもらうわ。ついさっきある人からメッセージをもらったの。あなたが半年間いた施設は爆発されたわ。」
「そうなんですか?けが人は?」
「かなりらしいわ。でもナディアは生きているわよ。」
「よかった。でも彼女たちはこれからどうなるのでしょう?」
「ちゃんと次の居場所は決まっているみたい。これは彼らによる自作自演の事故よ。」
「どういうことですか?」
「あなたはなぜナディアがあなたを迎えにいける役割を果たせたかわかる?」
「一番信頼しているから?」
「ある意味ではそういうふうに言えるわね。でも正確ではない。彼女はそのグループの長であるラディックラマダンの女だからよ。」


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