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作品名:いつかきっと 作者:chihiro

第4回 夢占い
久美は数分ほど念じてみたが考えてみると今は普通ならば誰もが寝ている時間だ。だから連絡をくれるというのは可能性があったとしても数時間後にならないと出来ない。念じることをやめて携帯電話で夢占いを検索した。
好きな人と別れてしまう夢を検索してみると「それだけあなたにストレスがかかっている。」と書かれてあった。確かにせっかくめぐり合ったのに失いたくないという気持ちが強いように自分でも思う。そのせいなのかと久美は少しホッとした。(考えすぎだ。)久美は自分の気持ちを静めた。
そんなときに携帯電話が振動した。せっかく気持ちを静めたのに鼓動がフル回転を始める。画面を見ると携帯電話からの発信だった。
「もしもし。」久美は恐る恐る応答した。
「ごめん。電話をする時間じゃないってことは十分承知しているけれど我慢できなくて電話した。」高宏だった。久美の鼓動はますます早くなった。「それにしても電話に出るなんて思わなかった。眠れなかったの?」高宏の久美に対する気遣いが久美にはうれしかった。
「夢を見て起きたところだったの。このごろ頻繁に夢を見ているから熟睡できないわ。」
「そうか。どんな夢?もしよかったら教えて?」
久美は迷った。好きな人と別れてしまう夢を見たと正直にいえなかった。
「内容は忘れちゃった。でもとってもドキドキしていたから私にとって嫌な夢だったのかもしれない。」
「疲れているんじゃないの?何も考えず、何もせずにゆっくりできる時間ってないの?」
「うーん、難しいわね。一人暮らししていると家の中でも気張って生きているかもしれないわ。」
「心休まるときがないじゃないか。俺はずっと親と同居だから気張るって経験がないけれど。」
「布施さんはこの時間に起きていることが多いの?」
「起きているんじゃなくて仕事から帰って飯食って早めに寝落ちしてしまうからこの時間にトイレに目が覚める。時にはそのまま眠れないってこともある。」
「そんなときはどうしているの?」
「インターネットでナビゲーション。他には帰ってきて出来なかった仕事の続きをするとか。」
「帰ってきてまで仕事をするなんて大変なんだね。」
「こういうこともう何十年もやっているからいい加減に慣れたよ。」
「外に出て気分転換するとかないの?」
「ドライブ?車の運転も夜は面倒だなって思ってしまうんだ。眠れる状態にして眠くなったらそのままベッドインの状態にしていたいなって思う。俺、引きこもりかも知れない。」そういって高宏は小さく笑った。
「今は必要のないときは家から一歩も出ないって人が増えてるらしいわね。私も何も用事がないのに外に出るのは嫌。いったん家に帰ったら出たくないもの。だから用事があるときは一日で済まそうと朝から予定を組んで仕事の日よりも右往左往しているかも。」
「合理的なんだ。そのほうがいいよね。忘れたものがあったらそれはまた次の機会ってことにして。そのうち優先順位の低いものは忘れて買うってことなくなるんだけれど。」
「私も同じ。ちゃんと買い物はリストに書くけれどね。それでも忘れるときはわざわざまた出かけていかない。」
「ねえ、人間って生まれたときに前世とかこの世での任務とか忘れるものだってどこかに書いてあったけれど覚えている人はどうなるのかな?」
「何故そう思うの?」
「うん、少し俺たちのことを考えてみたんだ。前世からのメッセージをこの年齢になるまで覚えているなんてそして絶対に見つけるって普通の人から見ればとっても異常なことだと思う。それだけ絆が強いからなんだと思うけれど。うまく説明できなくてごめんね。」
「ううん、言いたいことはわかるわ。普通の人はその人が運命の人だとしても必然に出会って恋に落ちて交際している間に運命の人だって確信するのかもしれないけれどそれはあなたが言ったようにこの世での任務や誰と会わなければならないのか忘れてしまうからなんだと思う。でも私たちは覚えていた。だからしっかりと運命を引き寄せたのだと思うの。」
「俺たちって少なくても俺はラッキーな人間なんだろうな。君がそうやって覚えていて強いメッセージを常に俺に与えてくれたから。」
「与えたとしてもそれを受け入れてくれなければ話にならないと思うわ。だから私のほうがラッキーだったとしか言いようがない。そういえば君がどこに勤めているのか聞いていなかったね。どこなの?」
「新杉田。」
「ええ?そうなの?俺の家の近くだよ。やはり出会うべきして出会ったんだな。じゃ、今度君が仕事を終わる時間を見計らってどこかで食事でもしようよ。」
「ありがとう。あなたの勤務先はどこなの?」
「日によって違うんだ。だから終わる時間もわからない。ある程度の予定を立てて変更があったら電話連絡って言うのはどう?」
「それでいいわ。今は携帯電話があるから便利よね。待ちぼうけになることなんてないんですもの。」
「ここだけの話、俺今までガラゲーだったんだけれど、携帯電話にインターネットを入れてもやりかたがわからなくて。だからショートメールで何かを送ってこられても対応が出来ないんだ。電話をかけて直接話をするだけ。」
「別に恥ずかしいことじゃないわ。ネットを携帯電話でもしていたら本当にネット依存症になってしまうと私は思うの。ゲームとか携帯電話でテレビを見るとかそんなこと家でも出来るじゃないって思うけれどそれは人それぞれだから。」
「君はネットでテレビを見たりゲームをしたりするの?」
「テレビは見ない。ゲームは少しだけ。でも歩きながらって言うのはかえって歩きが遅くなるから絶対にやらないわ。歩きスマホって見ているだけで頭にくる。そういう人を見るとその人のスマホを取り上げて使い物にならないようにしてやりたいって衝動にかられるわ。」
「過激なんだね。」高宏は小さく笑った。「君の性格って面白い。ころころと変わってまるでカメレオンみたいだ。」
「ほめ言葉だと解釈します。」久美はそういうと笑った。「あなたと話をしてリラックスしたのか眠気が襲ってきたわ。」
「うん、わかった。お休み。電話して悪かったね。」
「とんでもない。とても楽しい時間を過ごせたわ。だからリラックスできたんだもの。ありがとうって言わないと。」
「お礼を言われることはしていないよ。俺も君と話が出来てよかった。これで俺の携帯電話を君の連絡帳に入れられるね。」
「そうね。電話をくれてありがとう。それじゃおやすみなさい。」
「おやすみ。近いうちに食事の日時のために連絡するから。」
「わかった。ありがとう。」
二人は同時に電話を切った。そしてすがすがしい気持ちになれた。


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