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作品名:killer site 作者:chihiro

第6回 ダブルワーク
レンタル受け渡し場所は偶然にもシティバンク渋谷支店だった。イチローはすでに柏田と面識があり千尋もキラーサイトに登録した後となっては顔を出すわけには行かなかった。桜子自ら張り込むことになったのだった。千尋は三日間の自宅謹慎を言い渡された。どことともなく警視庁長の耳に入りお咎めを受けてしまったのだ。
「内田君、君のうわさはルノアール君から聞いている。彼が一番心配していたことをやってくれたね。」
「ごめんなさい。でも事件の中に入っていかなければ解決できないこともあるかと。」
「それはわかる。だから警察の仕事は大変なのだ。今回は命を落とさずにすんだがいつもうまくいかないということは君だって十分承知の上だ。よって三日間自宅謹慎を言い渡す。これは君の命を守るためでもある。ドア、窓には近寄らずに当然のことながら買い物に行くのも禁止だ。」
「ごみはどうしましょう?」
「三日だったら出さないでも大丈夫なのではないかね?」
「わかりました。おとなしくしています。」

桜子の車が止まったところはシティバンク渋谷支店の裏口を見渡せる場所だった。テナントが沢山入っているビルでそれらしき名前を探したが見つからなかった。銀行の裏口ということでセキュリティもしっかりとしてありオートロックでインターホンと勝手に入れないようになっている。何でもネットでビジネスする時代。加害者と被害者を結ぶ新しいネットビジネスもそれなりに利益を上げているということだ。
(末恐ろしい時代になったものだわ。)桜子はため息をついた。
張り込んでから一時間を経過したとき、いかにも目つきの悪そうな男が渋谷支店裏口にふらりとやってきた。男はゴルフバックを持っている。しかしそのバックの中身はからでライフル銃などの大きなものを運ぶためのカモフラージュであることが見て取れた。男は周りを気にすることなく携帯電話に記入していた暗証番号を使って建物の中に入った。それと引き換えに渋谷支店の幹部の一人である真田しのぶが出てきた。マークしている五名の中で唯一の女性幹部。桜子はなんとなくいやな予感をさせていた。世の中は平等といってもまだ男性上位の時代は続いていて悪者=男性と錯覚してしまうことがあるが、言い換えれば女性はその錯覚を利用して悪事を働く。今回のケースも紅一点というところで 死角になっている感じが返って怪しいと思うのだ。桜子は一人で張り込みをしたことを後悔した。相次ぐ事件で同じ課のものは方々に散らされて単独で行動しなければならなかった。ほかの課からも応援を頼むことは不可能だった。それだけ突然沸いて出た新しく恐ろしいサイトビジネスは流行していたのだった。
桜子はしのぶのために動いたりしなかった。加害者になろうとしている男と加害者と唯一接触を設けられている場所、その人物を暴くのを最優先させた。
その男は三十分もしないうちに出てきた。桜子は車から降りるとその男に近づいた。
「話があるの。」桜子はその男から視線をそらさずに言った。
「俺はない。」
「ゴルフやるのね。腕前はどの程度なのかしら?」
「話ってそんなことか?俺は忙しいんだ。」
「私もゴルフには興味ないわ。あなただって興味ないことでしょ?そのバックにはゴルフではなくライフルが入っているのではないの?」
「何を根拠に?」男は動揺し始めた。桜子は自分の警察手帳を見せた。
「今現在のあなたの罪は拳銃不法所持。数時間後には殺人罪?どのくらい刑務所に入れられているのかしら?そういう話をするために立ち話でもなんだから大声でも話をできる場所に案内するわ。さあ、どうする?ここで逃げたらまたあなたの罪が増えるだけ。利口な人がすべきすることは私と一緒にその場所に行くことね。」

その男の名前は野庭鉄男といった。目上目線は最初の時だけで事情徴収はとてもスムーズだった。野庭は一万円を出してライフルをレンタルしたという。
「あなたにライフルを渡した人はどんな人だったの?」
「女性だった。とても事務的でまるで銀行員。」
「年齢は?」
「二十歳代かな。あまり俺のことを見なかった。」
「部屋はどんな感じだった?」
「普通の事務所って感じだよ。カウンターとパソコンと。部屋の中にはそいつしかいなかった。」
「そう。あなたはキラーサイトをどうやって知ったの?」
「ダチから聞いた。俺が知っている奴らはみんなソーシャルネットワークから仕入れた情報らしい。」
「私の知り合いが殺されたいもののリストとして登録したわ。このサイトの殺したい側のホームページと殺されたいもののホームページは違うのかしら?」
「知るかよ。俺が開いたホームページは殺されたいものの登録はなかった。」
「あなたが開いたURLわかる?そうでなかったらあなたが登録しているソーシャルネットワークでもいいわ。」
「携帯に履歴があるはずだ。」そういうと野庭は自分の携帯を机に放り投げた。桜子はURLをメモした。「なあ、刑事さんよ。ライフルを返さないといけないんだ。それに俺が払った一万円はあんたが返してくれるのか?」
「賠償金一万円だったら安いものじゃないの?いつ返すの?」
「明日。刑事さんの考えていることはなんとなくわかるが残念だが大元には会えないと思うよ。」
桜子はため息をついた。「そんなに簡単にはいかないわよね。ねえ、私たちに協力してくれる?」
「面倒なことはいやだ。」
「あなたの仕事は受け渡し場所の捜査。ただ見て気がついたことを言って貰えばいいの。あなたはキラーサイトの殺したい部門に登録した。殺し足りないって相手に思わせておいてどんどんレンタルして頂戴。」
「そんなにしょっちゅうできるかよ。」
「もちろん毎日というのは無理よ。レンタル料金は警察で払うわ。どう?おいしい話だと思わない?」
桜子は野庭が断らないことを感覚的に感じ取っていた。
「わかった。」


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