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作品名:killer site 作者:chihiro

第13回 決定打
向かい隣の取調べ室では鈴木イチローが柏田隆弘に尋問していた。
「ある情報によると日本人のテクノロジーに関しては世界でも指折りに入るらしいですね。何でもビジネスにしてしまう日本人のことだ。初歩的なたとえばサイトの作り方など知識がなくてもネットで検索すればある程度はできる。それは日本人にとって世界で通用するひとつの利点にもなっている。柏田さん、あなたはまだ二十七歳、これからの人だ。世界がどのように動いていくのかちゃんとアンテナを張って波に乗っているのでしょう。世間は誰も彼もがインターネットでビジネスをする。それはパソコンさけあれば、インターネットさえあればどんな情報でも入手でき、かったるい思いをして会社に行かなくてもはるかに巨大な金額を手にすることができる。」
「刑事さんは何を言いたいんですかね?俺はシティバンクに勤務していることに満足してますよ。」
「確かに銀行員はそれも外資系では世界に顧客がいますからね。僕がいいたいのはそんないいポストにいながら二足わらじを履いてネットでビジネスしていることですよ。」
「そうなんですか?どこの情報だか知りませんが本人も知らないことをよくうそがいえますね。」
「はっきり言いましょう。どうやらあなたはそのものずばりの言葉を使わないといけないようだから。キラーサイトという恐ろしいコンセプトを作ったのはあなたですね。」
「キラーサイト?何の話をしているんです?」
「これですよ。」そういうとイチローは柏田に資料を見せた。「ここにはあなたたち五人の名前が連名としてありますがあなたたち五人の中で一番パソコンにスキルのあるのはあなただ。巷では誰でもネットで出会いを求める。恋活、婚活。人は寂しさゆえに誰かを求める。しかしその一方で人生に不満を持っているもの、絶望しているものも沢山いる。それが今の時代。だったら不満を持っているものと絶望しているものを引き合わせてもいいのではないか。確かに誰も思いつきそうで思いつかなかったものでしょう。」
「なるほど、確かに面白いコンセプトですね。しかしそんなこと思いも就かなかった。そんな人間がビジネスになるくらいのサイトを作れますかね?そもそもそんな紙切れだけの証拠では証拠にならない。証拠がなければないものと同じ。それとも俺たちがそのサイトを作ったという決定的な証拠でもあるんですかね?」
「ありますとも。」イチローは柏田を心底にくいと思った。そしてにらみ殺すぐらい彼を見つめた。


「その若さで外資系銀行の幹部。さぞ幸運に恵まれているのね。」桜子は別室で真田しのぶに嫉妬を含めた口調で言った。
「私はいつでも勝ち組。でも勝ち組でい続けるにはそれなりに努力しなければならないわ。刑事さんだって女で一課を任せられているんだからそれなりに苦労したのでは?たとえば古代から使っている女の武器を発揮するとか。」しのぶは意地悪な笑みを桜子に返した。
「そう、あなたはそうやってのし上がってきたの。人それぞれだからそれについて私が口出しはしないわ。私が興味あるのは幹部としてのあなたの役目。」
「役目?誰が何をするかなんてその時々だわ。」
「キラーサイトでの役目は?」
「キラーサイト?何それ?」
「ここにあなたの名前があるでしょう。私の推理だとあなたはレンタル部門を任されたって感じかしら?」そういって桜子は資料を見せた。
しのぶは興味がなさそうに手短に分厚い書類を見たが何も言わなかった。
「悪いけど知らないわ。ほかの四人が私の名前を無断で使うとも限らないし。だいたいキラーサイトなんて今始めて知ったわ。どんなことをするの?」
桜子はしのぶの質問には答えなかった。「しらばっくれるのも今のうちね。」
桜子はしのぶを解放した。取調べ中に千尋からメッセージが来たからだった。こうして捕獲したはずの五人は数時間後に全員解放されたのだ。

桜子、イチロー、千尋の三人は桜子の部屋でパソコンをにらんでいた。先ほど解放したのは真田、平岡、柏田の三人にカメラつきの盗聴器を取り付けたからだ。解放された直後の五人の行動こそ動かぬ証拠になると思ったからだ。
「洋子が自分の体の下に隠すとは予想しなかった。あの書類を見つけられたときに処分しておくべきだった。」
「過ぎてしまったことは取り返しがつかない。これからどうするかを考えればいい。何、日本の警察はどこか抜けているところがあるから大丈夫さ。」
「でも私たちの連名のサインがあるわ。」
「考えても見ろ、俺たちは何もしていない。ただひとつのサイトを作っただけだ。これは誰でもやっていることだ。それについては誰も攻められない。刑事が言っていた共謀共同正犯は法律では正式に認められていない。だからサイトに関して罪になることはないんだ。」
「洋子のことだけ罪になるということか?ムショに入ると何年だ?五年か?十年か?」
「もし俺たちがムショに入ったとする。しかしサイトは生きている。殺したいものと殺されたいもののセレクトは登録者に任せるようにプログラムを変えた。登録者と接触があるレンタル部門は一人いれば十分だ。もともと利益主体の事業じゃない。二匹目のどじょうを狙ってほかのものも同じようなサイトを立ち上げるだろう。もうあのサイトは俺たちの手を離れたんだ。」
「俺たちを解放した警察の意向がわからない。」
「決定打にかけているから。とりあえず俺たちは毅然としていよう。」

「すべて録音しました。」五人の会話が終了した数分後にイチローは桜子に報告した。
「さ、この事件を解決するわよ。」
「はい!」イチローも千尋も桜子の後に続いた。
三人はまたシティバンク渋谷支店へと向かった。


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