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作品名:クリスマスに生まれて 作者:chihiro

第12回 ダブルアササン
現場となった公園の公衆トイレは血の海だった。そこに真っ白な紙が一枚、「子羊は血で塗られた白い衣を着る」というのが遠くからでも鮮やかに見えた。
桜子は犯人がなぜ二人を細切れにしたかを考えていた。命を絶つだけではだめだったのか?細切れの理由はどこかに書いてあるのだろうかと。
「刑事、一、二番目は青酸カリ、未遂があったものの三、四番目は銃弾、そして五、六番目がナイフ。これは何か意味があるのでしょうか?」
「イチロー君、そうね。なぜ凶器が違うのかというのもあるわね。それよりもなぜこんなに細切れに・・」
「それはたぶんパンの意味を指しているのかと。」
「パン?」
「血がワインでパンが肉だとすると細切れにしたほうが分け与えやすいかなと。」
「なるほど。そのためにナイフで細切れにする必要があった?」
「それはわかりません。でもそうも考えられます。それと。」
「それと?」
「隠れていた四人の中の二人がやられました。英語のクリスマスからスペイン語のクリスマスに移動したわけは何かあるのかと。」
「そうね。二人のことは情報不足だったけれど一緒に公園に来るまで仲が良かったことも意外だわ。これは死亡したものを含めてすべての人間の家族関係を洗ってみるべきなのかもしれないわ。」桜子は暗記しているはずの各プロフィールを思い出しながら言った。
「そもそも隠れた四人ってところがおかしいですよ。なぜ隠れているのか。戸籍に誰が誰の双子の片割れだって書かなかったこと自体がおかしい。」
「四組が四組とも双子として育っていなかった。これは現場で話をしても仕方がないことね。署に帰りましょう。」

桜子と鈴木は直接署に帰ると警察のための特別なサイトで被害者の身元を調べた。そこにはヴィヴィアンヌもダヴィッドもクリスティーナやスザンヌと同じ姓名ではなかった。しかしなぜ離して育てられたのかわからなかった。どの家族も貧困な家族はいなく双子を育てられない家庭ではない。桜子は視点を変えて双子について調べた。世間では双子はどんなに離れていても当人でしかわからないテレパシーでつながっている。それだけに双子は仲がいいと思われがちだが自分と同じ顔をしたものが大嫌いな人物だったら?そんな双子はいるのかどうかという考えだった。検索をしてみるとその多さに桜子は驚いた。少数派という言葉で片付けるにはあまりに多かった。
(メディアに踊らされて私たちは隠れた真実を見落としている。)
桜子は突然アンヌの片割れであるナタリーが安藤望の恋人であることを思い出した。そしてナタリーのプロフィールを調べてみると安藤望と一時期近くに住んでいたことがわかった。
(ここでつながったのだろう。彼らは私たちがまだ知らないことを知っている。)
安藤望はキリスト教宣教師だったのだ。ナタリーは同じ宣教師であるヴィヴィアンヌとダヴィッドの計画を逐一安藤に報告しているのだろう。
(つまり安藤は犯人?)
しかし一人で何でもやるにはアリバイがある。時間的に、距離的に無理がありすぎる。
加えて凶器が違うのは単純に考えてほかの人物であることも考えられる。
(それぞれが同じ時期に殺人計画を立てていたら?)桜子はそこまで考えて寒気を覚えた。
犯人は複数で別々の行動を取っていて、それでもちゃんと統括されている。
「事前に話し合ったようなころ仕方ですね。」鈴木は桜子の背後でそうつぶやいた。「犯人が単数にしろ、複数にしろ、計画殺人の典型的な事件だと思います。」
「どんなところが?」桜子は鈴木の意見を聞こうと思い、椅子を鈴木のほうへ向けた。
「舞浜さんもしょっぱなでクリスマスをアルファベッドにして見せたじゃないですか。そして隠れた四人、つまり双子の片割れはクリスマスのスペイン語で表すようになっていた。普通そこまでたどりつくのに時間がかかります。そもそもランダムにこのメンバーが選ばれたとは考えにくい。ちゃんとクリスマス生まれで英語、フランス語、スペイン語でクリスマスになるように仕向けられている。」
「フランス語は姓名であってファーストネームじゃないわ。」
「それがワンクッションなんですよ。」
「ワンクッション?」
「英語とスペイン語だったら西欧、中央アメリカと的を絞れます。しかしイスラム諸国と英語圏、スペイン語圏は交わりが少ない。しかしフランスが入ると俄然イスラム諸国との関係が太いパイプになる。」
「二つの国の言葉に一致したものを選ぶのでも大変なのに三つとなると苦労したのではないかしら?」
「名簿リストを見ればそんなのは簡単に割り出せます。」
「名簿リスト?何の?」
「クリスチャン。隠れた四人は宣教師ですよ。名簿リストを見るのは自由自在だ。誰が最初にこんなことを考えたのかわかりませんが洗礼されたクリスチャンの名簿からクリスマス生まれ、そして英語、スペイン語、そしてフランス語にちなんだクリスマスを選び出すのはそんなに時間はかからなかったと思います。ま、そういう機能をつかってだと思いますが。そしてその計画は最初に立てた人から偶然にも同じことを思っていたものに伝わったのでしょう。つまり宣教師同士の集いかなにかで。」
「イチロー君はまだ生き残っている双子の片割れ、ナタリーと守が何か鍵を握っているといいたいの?」
「英語のクリスマスよりも何十倍もスペイン語のクリスマスのほうが怪しい。」鈴木は桜子の答えには答えずそういった。「僕はナタリーを追ってみます。」
桜子が返事をする前に鈴木は姿を消していた。

真美の家では真美とリカは次に狙われるのが誰でどんな凶器を使ってくるのかと論争中だった。
「でも意外よね。だいたいあの場にいた八人の中に四人も双子の片割れだったなんて。そして今度はその片割れの人たちが狙われたなんて。」リカは日増しに自分がもう狙われることがないとわかって人事のように言った。そんなリカに真美は少しだけ嫌悪を抱いたが友達を悪く思うなんてと自分の心を戒めた。
「その四人もクリスマスに関係している名前なのかしら?」真美はぼんやりと言った「VとDが入っているクリスマスを意味するものって何語かしら?」つけっぱなしにしてあるパソコンにウィキぺディアを検索して横にある各言語から順番に調べていった。「あった。スペイン語だ。」
「スペインと英語、フランス語は出てこないのね。」
「なぜフランス語?」
「だってクリスマスに貸しホールで刑事さんが書いてあったじゃない。ノエルーNOELこれは姓名のほうで名前じゃないって。」
「ああ、ノエルはアルファベッドが四文字しかないからじゃないの?大して意味がないのかもしれないわ。」真美はそういいながらなぜ大して意味がないのだろうと考えた。
(犯人は文字遊びをしている?でもそれはどうして?本当の目的は違うところにあるのではないかしら?)


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