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作品名:クリスマスに生まれて 作者:chihiro

第11回 子羊の血で塗られた白い衣
年に一度関東キリスト教会の集いがある。集いの目的は日本社会のキリスト教の浸透、各教会での修繕費の問題などだった。しかしまじめに論議しているのは宣教師が五十、六十代の限られた宣教師だけであって四十歳代から若い宣教師はそうは考えていなかった。宣教師だけで生活できるほど現代の社会は甘くないことをよく理解しているのだ。だからほかにも職業を持ったりしているのだがその職業もさまざまだ。
クリスティーナの双子の片割れであるヴィヴィアンヌとスザンヌの片割れであるダヴィッドの生活していくための職業はスタジオミュージシャンだった。
「イサムが殺されたらしいじゃないか。」守はヴィヴィアンヌとダヴィッドに言った。
「ああ、そうみたいだな。これで四人目か?」
「いや、三人だ。リカはまだ生きている。」
「やけに詳しいんだな。」
「ニュースをチェックしているからね。」
「俺は君たちが一番怪しいって思っているんだけれどね。」
「なぜ?」
「だってヴィヴィアンヌ、君の姉であるクリスティーナが死んだんだ。復讐しか理由がないだろう?」
「私は何もやっていないわよ!守こそ何かたくらんでいるんじゃないの?」
「おや、俺は何も殺す理由などないよ。君にはある。」
ヴィヴィアンヌの代わりにダヴィッドが守の胸倉をつかんで殴りにかかろうとした。
「ほら、触発しただけで爆発しそうだ。せいぜいぼろを出さないように気をつけるんだな。」
ナタリーはそんなやりとりを何も言わずに見ていた。そしてしばらく考えてから携帯電話を取り出してメールを書き始めた。
「裏切り者は二名?」
送信を確認するとナタリーは集いの席から離れた。
しばらくするとメールの着信音が聞こえた。ナタリーはメールを確かめた。
「ユダは裏切るように出来ている。それが運命だからだ。子羊の血で洗った衣はまだ増える。」

「舞浜さん、双子の片割れたちの職業をつかみました。」鈴木は捜査一課に戻ると意気揚々と駆け寄った。
「その様子から見るのに納得の行く情報を得たみたいね。」
「そうなんです。彼らの職業は一応宣教師ということになっていますが、いまどき宣教師だけでは生活は出来ません。そこで生活のための職業を調べたところ、ヴィヴィアンヌとダヴィッドは同じスタジオのミュージシャンであることがわかりました。」
「ミュージシャン。つまりイサムが持っていたCDを作った可能性があるってことね。」
「そうなんです。それに守はディーラー。ナタリーはこれといって何もありませんが安東望の恋人です。」
「なるほど、結局つながりがあるのね。」
「彼らも事情徴収を取りますか?」
「まだ早いわ。徴収を取るくらいのネタがない。」
「次の殺人は止めましょう。確証となる事実をその前につかみますよ。」

「ねえ、これからどうするの?」誰もいなくなったスタジオでヴィヴィアンヌはダヴィッドに聞いた。
「どうするって考えている最中さ。」ダヴィッドはヴィヴィアンヌを引き寄せて言った。
「警察の有線をキャッチして聞いて見るとあのCDが見つかったって。」
「落ち着けよ。あのCDを製作したのが俺たちだとわかったとしても何の問題もない。なぜならイサムが死んだのは眉間を銃で撃たれたからだ。つまり俺たちが彼を死に追いやったということではない。問題はユダは複数だってことさ。」
「青酸カリを塗った人物わかっているの?今回の銃は誰がやったの?順番で行くと次はあなたの妹のスザンヌよ。」
「何もわからないさ。お前だって片割れが抹消されたってなんとも思わないだろう?」
「それはそうだけれど。普通双子っていつでも一緒って世間では思われているけれど相性がどうしても合わない双子だっているってことは知られていないわ。あなたと会ってそれが自分たちだけではないって知ったときの喜び、安堵感、これは双子で片割れと相性が会わないことを経験している人じゃないとわからない。」
「俺たちはある意味選ばれたんだ。それがユダであってもなくても。これは生まれたときから定められていた。運命は変えることの出来るものと出来ないものがあってこれは変えることが出来ない。」
「私があなたのそばにいることも運命で変えることが出来ないものだわ。」ヴィヴィアンヌはダヴィッドの唇に自分の唇を合わせた。
「なあ、あそこにあるトイレでやらないか?」
「興奮しているのね。」
「お前が火をつけた。」二人はキスを何度もかわしながらトイレへ向かった。
二人はトイレにつくとヴィヴィアンヌの持っていたバック、ダヴィッドの上着をトイレの入り口に投げ捨てた。二人はお互いのことに夢中になっていて同じ場所にほかのものがいることを気がついていなかった。そのものは二人をめがけて刃物を振り下ろすとヴィヴィアンヌは驚愕の顔をしたまま命を絶った。
「なぜ・・俺たちは・・ギャーッ!」ダヴィッドはあっけなく命を絶った。
その後何度か刃物を振り下ろす音が聞こえたが誰もそのことは知らない。
そこにいたものは刃物についた自分の指紋を綺麗にふき取り、そして自分の胸ポケットから一枚の紙を取り出して細切れになったヴィヴィアンヌとダヴィッドであった肉体の上に乗せた。そこには「子羊の血で塗られた白い衣」とかかれてあった。

桜子は朝早く携帯電話に起こされた。
「はい。」
「三軒茶屋の公園で男女一組が遺体となって残されていた。彼らの名前はヴィヴィアンヌ・・」
「すぐに向かいます。」桜子はヴィヴィアンヌの名前を聞くと一気に頭がさえた。電話の主は桜子の上司からだったが上司が桜子に電話することはめったになかった。未遂を含めてすでに五人の人間が被害にあっており警察の面子を気にして上司が担当の桜子に電話をしたのだった。桜子はいわれなくても充分に理解していた。
三十分後に自宅を出た桜子は鈴木に連絡を入れた。
「イチロー君?事件よ。」
「ええ、聞きました。自分は後数分で三軒茶屋に着きます。」
「私は今自宅を出たところ。調べどころはいろいろとあるけれど黙示録に関するメッセージがあるかないかね。それとなぜ隠れた四人の中の二人が殺されたのか。これもお願い。」
「わかりました。」


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