ドクの案内で森に入る。何となく道っぽいところを歩く。今までと違って、安心だ。 「それでにゃ。どこ行くにゃ」 「そっか、まやちゃん寝てて聞いてなかったのね」 「そうにゃ」 「クルクルを退治に行くのよ。あの花畑に半分の葉があるの」 「にゃるほど。まやちゃん、すごい、大活躍にゃ」 「そうよ、大活躍してね」 なんとなくオニオンは不安になる。 「姫の姉御。ねこの姉御にちゃんと説明しなくて良いのですか」 「ううんと、あんた説明する」 オニオンは理解した。説明出来ない。 四人は池の淵に着いた。どうやらこの池を回って、少し行ったところがクルクルの花畑らしい。 「にゃにゃ。女神にゃん」 「あら池ね」 まやちゃんは姫を押す。 「ちょっと何してるの」 「焼きのりにゃ」 「だからだめだってば。それに、焼き海苔よりもっと良いものがあるでしょ」 「にゃるほど。姫にゃん金ににゃるにゃ」 「あたしは嫌よ」 と、オニオンを見る。まやちゃんはオニオンを押した。 「ぎょぎょ、何するんですか。ああ、どうして」 オニオンは池に落ちた。すると、ぐるぐる渦を巻いて沈んで行った。ドクが首を傾げる。 「この池は、膝ぐらいの深さしかないはずじゃが」 姫とまやちゃんはワクワクしながら待っている。すると、また渦が巻いてバシャっと出てきた。 「助けてください」 オニオンだった。バシャバシャしている。 「なんで」 「オニオンにゃ」 姫とまやちゃんはがっかりした。ドクが助ける。尾を伸ばした。オニオンはその尾をつかもうとして、毒針を見て手を引っ込める。 「なんじゃ。そんなに余裕があるのなら、自分で上がりなさい」 「ち、違うのです。足、足に何かが噛み付いているのです」 オニオンはバシャバシャしている。 「だから、ちゃんと足で立って見なさい。膝ぐらいの深さのはずじゃ」 それで、オニオンは我に返って、その場に立ち上がった。 「本当だ。こんなに浅かったんだ」 そう言うと、ジャブジャブ歩いて池から出てきた。足に何か噛み付いている。魚みたいだ。 「やだ、魚捕まえたの」 「にゃの」 「ほほう。それはブリじゃな」 「ええっ。どうして、池にブリがいるの。確かに大きな魚だけれど、色も黄色いし」 「にゃるほど。ブリキにゃ」 「話しをややっこしくするな」 「やっこをゆでるにゃ、にゃ。ゆでたら湯豆腐にゃ」 オニオンは、ひらめいた。 「じゃあ、この魚を刺身にして、湯豆腐で一杯としますか」 「ちょっと待ちなさい。だから何でって、変なのが増えたよ」 池の中に、赤・青・桃・緑の魚が現れて、池から顔を出していた。 「黄ブリが捕まえた獲物を返してもらおう」 そう赤い魚が言った。 「しゃべる魚にゃ。サーカスに売って、大もうけにゃ」 「そうね、それも良いかもね」 姫の目はキラキラしていた。赤い魚は少し声に怒りを込める。 「何をごちゃごちゃ言ってる。早くよこせ」 「にゃるほど。オニオン獲物にゃ。ブリキに捕まったにゃ。返すにゃ」 そう言うと、まやちゃんはオニオンを押した。 「ええっ。どうして」 オニオンは池に落ちた。 「おお。素直なやつだな。では、黄ブリを返して貰おう」 黄ブリと呼ばれた、黄色い魚は、陸でピクピクしていた。 「生きの良い魚にゃ。これは、刺身にゃ」 魚達は驚く。赤い魚が言う。 「なんて残酷なやつだ」 そして、青い魚が言った。 「合体だ。合体。赤ブリ、リーダー。合体して一気に」 「おお。そうだ。こんな時こそ合体だ。みんな、用意は良いか」 何かヒレをひねってポーズを取っている。 「赤ブリ」 「青ブリ」 「桃ブリ」 「緑ブリ」 陸でピクピクしている黄色い魚の代わりに、赤い魚が言う。 「そして、そこに居るのが、黄ブリ。全部合わせて、ゴブリンじゃ」 「ゴブリンじゃ。って、その為にブリな訳。ねえ、そうなの。ふなだと、ゴフナじゃ、こいなら、ゴコイじゃ。ブリなら、ゴブリンじゃ、なのね」 「まやちゃんにゃ」 「自己紹介するな」 池の中では、合体が始まっていた。とても苦労して、四匹で大きな魚の形になろうとしている。 「なんか、ジグソーパズルみたいね」 「にゃるほど。ジにゃ」 「ジじゃないの、ジグソーパズルよ」 「だから、クソーにゃ」 「クソーじゃないの、ジグソーよジグソー」 「にゃにゃ。クソーがジのパンはズルイってにゃんにゃ」 「ばらばらに言うな」 「姫にゃんがクソーって言ったにゃ」 「言ったわよ、ああ言ったさ。さあ、どう、これで満足」 「満足してないにゃ」 「どういうこと」 「あれにゃ」 と、池を指さす。もう少しで、なんとかなりそうなところで、黄ブリがいないので、完了しないのだ。 「リーダーだめよ。合体出来ないわ」 「くそう、よくも姑息な手を使って」 四匹がバラバラとなる。その時、池が渦を巻いた。そして、とても機嫌の悪い女神様が現れた。どさりと、オニオンを投げてよこした。 「いちいち、私を呼ぶんじゃない。お前らもバカやってないで行くよ」 と、言うと、四匹と、ピクピクしている黄ブリを連れて、池の中に沈みだした。 「そうにゃ。金にゃ」 女神様の顔つきが険しくなる。 「だから、そいつの、上の歯を金に、下の歯を銀にしておいたよ」 それで、沈んでしまった。 「ぼ、僕の歯」 オニオンが口を開ける。 「本当だ。金よ。銀よ」 「パールにゃ」 「何の話やねん」 オニオンが頭を抱える。 「これから一生、こんな歯で生きていくんだ」 「いいじゃん。ステキよ。だって、年取ると歯が抜けるでしょ」 「うん」 「その時、金や銀の歯が抜けるのよ。年金みたいじゃん」 「みたいにゃ」 「おお、おお。いいな、わしも、そんな歯が欲しいの」 四人は先を急いだ。
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